機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(きどうせんしガンダムシード フリーダム)とは、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのその後を描いた、福田己津央監督による2024年公開のアニメ映画。キャッチコピーは「私の中にあなたはいます。 あなたの中に私はいますか?」 。
2度に渡って世界を絶滅戦争の危機から救ったキラ・ヤマトは、仲間たちと共に地球の小国に招かれ、策謀によって全滅の危機に陥る。この時恋人のラクス・クラインが誘拐されたことを知ったキラは、彼女を取り戻すべく再び戦場に赴く。

機動戦士ガンダムSEED FREEDOMのレビュー・評価・感想

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機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
10

細かく描かれるキラとラクスの絆の行方、『SEED』 『SEED DESTINY』を観た方には是非観て欲しい作品!

人は自分の役割を知り、その役割のみをまっとうして生きていく──。

先のプラント評議会議長のギルバート・デュランダルが提唱した「デスティニープラン」を、キラは真っ向から否定した。そんな世界は傲慢だと、人々の未来は自分の手で得るものだと。否定したのは正しかったはずだ。
しかしデュランダルが死した後、世界は彼が口にした通り、戦争をしている。足元の火種を消したかと思えば、今度は別の場所で戦火が上がる。
人々はどうして争いをやめないのだろう、もしかしたら、デュランダルは正しかったのか?

世界平和監視機構コンパスの准将としてライジングフリーダムガンダムを駆るキラは、本当に正しいのは自分なのかデュランダルなのか、分からなくなりつつあった。
正しい選択をしたはずなのに、その選択に自信が持てなくなっていた。
一方ラクスは初代のコンパス総裁として、キラとは違った立場で戦争を止めようとしていた。

ある日、ラクス、キラをはじめとするコンパスは地球の一国家であるファウンデーション王国を訪れた。
戦争の原因となっているブルー・コスモスのミケールの捕縛に、ファウンデーションが手を貸そうというのだ。
そこでラクスは、かの国の宰相であるオルフェ・ラム・タオと奇異なめぐり逢いを果たす。彼と握手をしたとき、互いに着けていた指輪がふれあい、ラクスの脳内にオルフェの思念が流れ込んでくるのだ。
思わずオルフェの雰囲気に飲まれそうになるラクスだが、耳元でキラに名を呼ばれ、ハッとして我に返る。しかし脳に覚えた違和感が何だったのか、わからなかった。

それからキラはファウンデーションとコンパスのミケール捕縛作戦の中、ユーラシアとの軍事国境線を越えて攻撃したことで、協定違反を犯した。
原因は先のラクスと同じように、脳内に誰かからの思念を送られ、正気を保てなくなったことだった。ラクスとしてもこの事態だけはどうすることもできず、結果的にキラを討てと命じることしかできなかった。

その決断の直後、今度は核ミサイルが撃たれる。停止は間に合わない、避難することしができない。
ラクスはキラの安否を気遣いながらも、オルフェに促され、彼やファウンデーションの幹部とともに脱出。キラを撃ってしまった悲しみから昏倒するのだった。
そして、ファウンデーションに捕まってしまうという結果に陥った。

キラはキラで、ファウンデーションが率いるブラックネイトスコートに命を狙われていた。キラの精神を乱し、核を撃ち、キラを沈めようとファウンデーションが最初から企んでいたのだ。
キラが戦場で追い詰められる。敵に包囲された状況で、ライジングフリーダムもそう長くはもたないほどに損傷してしまっている。
そこに駆け付けたのが、赤いズゴックを操作するアスラン・ザラだった。彼は厳しい表情を崩さず、冷静にブラックナイトスコートのモビルスーツと戦い、絶望の中にいるであろうキラを助けた。

だがキラはラクスに裏切られたことへのショックを隠せない。
「ラクスに会いたい──」
弱気な自分を叱咤してくれたアスランに、その場に集う面々に、キラはポツリとそうつぶやいた。
そう、彼はただラクスに隣にいて欲しかっただけなのだ。ただ笑っていてくれたら、それだけで幸せだったのだ。
ようやく心の整理がついたキラに、アスランは手を伸ばす。一緒にラクスを助けに行こう、と。

ラクスもオルフェからの執拗なアプローチに困り果てていた。それに、自分はコーディネーターを超えたアコードという人間なのだとも打ち明けられた。
アコードとは遺伝子を操作して生まれたコーディネーターの上位種で、無言のうちの意志の疎通がはかれるという人種。世界を導き、繁栄をもたらす存在。ラクスはオルフェとは対の存在で、2人が手を取りあうのは必然なのだという。

アコードとはいったいどんな存在なのか。
キラはラクスを救えるのか、そしてきちんと自分の気持ちを伝えることができるのか。
『ガンダムSEED』、『ガンダムSEED DESTINY』ファンには必見の作品であることは間違いない。

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
8

愛と戦争の狭間で

124分間のアニメーションとSFを融合させた映画で、サンライズによって製作された今作。
遺伝子調整されたコーディネイターと、自然に生まれたナチュラルの人間たちの間の対立と戦争を中心にストーリーは展開。デスティニープランというシステムが提唱されるものの、それを拒否し、自由な未来を求める人々の戦いが描かれています。
映画の見どころは多岐にわたり、ファンからは「スーパーガンダムSEEDオールスターズ」と評されるほど、多くのキャラクターやモビルスーツが登場します。特に、アスランがズゴックで登場するシーンは、多くの観客を驚かせました。さらに、映画の中では昭和の雰囲気を感じさせる愛のテーマや、予期せぬキャラクターの裏切り、感動的な再会など、様々なドラマが展開します。

しかし、映画を観た人の中には、アークエンジェルの沈没など予想外の展開に驚いたり、キャラクターの行動に「なんでやねん!」とツッコミを入れたくなる場面もあった模様。それにもかかわらず、総じて映画を楽しめたとの声が多く、ガンダムシリーズの作品として、見た後も長く味わい深いものがあると評価されています。
アクション、戦争、ドラマといった要素がバランス良く盛り込まれていおり、ガンダムシリーズのファンはもちろん、新しい視聴者にとっても楽しめる内容となっている今作。ガンダムに詳しくない人でも、物語の背景やキャラクターについて理解しやすいようになっています。