望まぬ不死の冒険者

『望まぬ不死の冒険者』は、丘野優によるライトノベル。小説投稿サイト「小説家になろう」で2016年より連載されているハイ・ファンタジー作品。
2017年からはオーバーラップノベルスよりライトノベルとして刊行(イラスト:じゃいあん)されており、累計発行部数は200万部を突破。
メディアミックスとしては2017年より中曽根ハイジによるコミカライズがコミックガルドにて連載。2024年1月からはテレビアニメ化も決定している。
物語の主人公である下級冒険者「レント・ファイナ」が低難易度ダンジョン「水月の迷宮」の未踏破領域にて、本来居るはずのない強力な魔物「龍」に食われ魔物として復活したことから物語が始まる。レントは人間に戻るため、また自身が置かれた状況の謎を解明するために冒険をすることとなる。
ジャンルとしてはファンタジー・転生ものに区分されるが、同題材をテーマにしたライトノベルの中でも練りこまれた世界観や設定、硬派な物語展開が評価されている。

望まぬ不死の冒険者のレビュー・評価・感想

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望まぬ不死の冒険者
10

死から蘇りミスリル級冒険者を目指す元冴えない男の成り上がり物語

最上位の神銀級冒険者を目指し日々努力を続ける落ちこぼれ銅級冒険者の主人公、レント・ファイナ。冒険者になって十年が経ち未だに最下級冒険者の位置にいる彼は、自分の夢を叶えるため今日も迷宮に潜る。ある日、いつも潜っている低位迷宮(水月の迷宮)で、未踏破区域を発見するが、そこで運悪く龍に遭遇し喰い殺されてしまう。そして、食い殺されたはずのレントは、魔物「骨人(スケルトン)」の姿で目を覚ました。魔物として生き返ったことを受け入れたレントは、魔物の特性である”存在進化”(他の魔物を倒すことで、相手の持っている力を吸収し更に自身を強化することができる)を利用して人間に戻ることを目指す。

その後、迷宮内をさまよいスケルトンやスライムを倒しグールにまで存在進化を果たしたレントは、他の冒険者の助けを得ることで無事に迷宮を脱出することができ、街に戻ることができた。ここから古くからの仲間や冒険者などの助けを借りて、再び神銀級冒険者を目指す第二の冒険者人生をスタートさせる。

落ちこぼれ冒険者として十年活動してきた主人公が、ひょんなことから力を手に入れ成り上がっていく物語。落ちこぼれ冒険者として活動してきたときの経験や知識と、魔物になり手に入れた力がかけ合わさり冒険者としてのし上がっていく主人公を見ているととても気持ちがいい。個人的には、存在進化をする毎に様々な問題(人間の血を欲しがる衝動に駆られる、日光やにんにくに弱くなるなど)に直面し、工夫しながら解決策を練るというこれまでのなろう作品になかったような要素もあり、とても面白い作品だと思う。