名探偵コナン 黒鉄の魚影

名探偵コナン 黒鉄の魚影のレビュー・評価・感想

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名探偵コナン 黒鉄の魚影
7

スリルと人間ドラマが交錯する、心動かされる作品

『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は、シリーズにおいても特にスリル満点の展開と深い人間ドラマが見事に交錯する作品です。
海洋施設「パシフィック・ブイ」を舞台に、全世界の警察ネットワークと黒ずくめの組織の陰謀を描いた本作は、『コナン』シリーズの中でも異色の試みと言えるでしょう。

この映画の中核をなすのは、灰原哀というキャラクターの深掘りです。彼女の過去と現在が絶妙に絡み合い、ストーリー全体に深い影を落とします。その複雑な背景と感情の動きが、見る者の心を掴み離しません。また、赤井秀一をはじめとするサポートキャラクターたちも物語に厚みを加えています。彼らの関わり方が、シリーズファンならではの楽しみを提供してくれます。

しかし、全体としてはいくつか不満なポイントがあります。
まずアクションとミステリー要素のバランスがやや不安定な場面も見られ、従来の『コナン』シリーズのファンには物足りなさを感じさせる可能性があります。
また物語の一部には予測可能な展開もあったため、驚きの要素をもっと強く感じたいと考える観客にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。

それでも、人間関係の描写やキャラクターの成長は本作の大きな魅力です。
特に、灰原哀の内面に焦点を当てた部分は見逃せません。スリル溢れるアクションシーンと緊迫感ある展開も、このシリーズならではの魅力をしっかりと保っています。

総じて、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は、『コナン』シリーズの新たな一面を見せる試みとして評価できる作品です。
推理ものとしての面白さと、人間ドラマとしての感動が融合した、心を動かされる物語を堪能できるでしょう。

名探偵コナン 黒鉄の魚影
10

史上最速100億円初突破探偵アニメ!!

知らない人はほぼいない「名探偵コナン」の劇場版。
26作目にして、4/14に公開したにも関わらず5/8には興行収入を100億円突破した歴代1位の作品です。
今回は、コナンの宿敵・黒の組織とコナンのよき相棒で理解者の灰原哀にスポットを当てた初作品でもあります。
過去にも、組織も出ていて灰原との関連はありますが、ここまで濃厚になった作品は初めてになります。
尚、灰原哀の正体がバレてしまうというピンチがほぼ序盤で始まり、109分間ハラハラな展開が続きました。
コナンを知らない人には、毎年恒例の5分程のコナンの説明があるので、なんとかなるはず!!
でも、知っていた方が100倍楽しめるでしょう。
更に、灰原は組織に拉致されてしまうなど、「え?どうやって無事に終わらせるの?」と本気で思います。
灰原がコナンの事を思うシーンが、これまでもありましたが、灰原とコナンの二人が一緒のシーンは、ファンにとってはとても切ないものです。
テレビシーズンを見ている人には、「あ!あのシーンだ!」というものがいくつか出てきます。
コナン作品では、滅多に涙腺やられることはないと思いますが、ここはグッとくる人が多いのではないでしょうか。
そして、何よりこの映画!伏線が凄いです!1回見ただけではラストに「えええええ!!」となります。
確認するためにリピーターも多かったと思います。
そして、今年コロナが緩和され久々の応援上映などがされました。
これを観たらきっと他のコナン映画やテレビシリーズを観たくなると思います!!

名探偵コナン 黒鉄の魚影
10

大人から子供まで楽しめる映画!

この映画は、事件の容疑者として拘束された男が自殺した後、その事件の真相を調べるためにコナンたちが奔走するストーリーです。
劇場版としては珍しく、大人も十分楽しめる本格ミステリー映画で、物語が進むにつれて、さまざまな謎が明らかになっていきます。
映像も美しく、音楽も印象的で、全体的に見応えがあります。原作ファンはもちろん、この作品を見るのが初めての人でも楽しめるおすすめの作品です。

今回の作品では特に、主人公コナンの友達の灰原がとてもかわいく描かれているシーンが多く、恋愛の回想シーンも見どころになっていました。
コナンの映画作品はたくさんあり、様々な人物や組織が敵として登場します。本作のメインとなる敵は、原作でもお馴染みの黒の組織でした。

作品全体の仕上がりやミステリーの内容がとても面白かったです。子供から大人まで幅広い年代の人に見てほしい作品だなと感じました。

名探偵コナン 黒鉄の魚影
10

コナン映画史上、最も泣ける作品

今作は、人気投票で主人公の江戸川コナン(工藤新一)を抑えて1位を取ることもあるキャラクター、灰原哀がメインの映画。

灰原哀は『名探偵コナン』のサブヒロインといえる人物だ。
コナンを幼児化させた毒薬の開発者であり、姉を殺害されたことで黒ずくめの組織を裏切ったという過去がある。その後、追い詰められた彼女は服毒自殺を図ろうとしたところ、コナンと同じように幼児化し、小学1年生として過ごしているのだ。
登場した当初の彼女は暗かった。
「いつ組織に見つかるかわからない、私は存在してはいけない人間」と思いながら過ごし、周りに心は開かず、組織に見つかった際は命を諦めて死のうとしていた。
そんな彼女を大きく変えたのがコナンを始めとした少年探偵団(同じ学校に通う小学1年の同級生)のメンバーや、ヒロインの毛利蘭たち。
灰原哀の「死にたい」という気持ちがいつしか、「生きたい」に変化していく。

そして今作では、裏切った黒ずくめの組織から再び狙われるという展開に。
灰原哀を必死で守ろうとするコナンたちの活躍からは、目が離せないであろう。
彼女は大切にされている、生きていてほしいと思っている人たちが大勢いる。そして、彼女もまたそのことをわかっており、なんとしてでも生きようとする。
長年のコナンファンは間違いなく泣ける作品だと思う。この映画で初めてコナンを見た方には、是非とも灰原哀の初登場シーンや、2001年公開の映画『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』も見て、彼女の変わった姿を見てほしい。
コナン映画の中で最高傑作といっても過言ではない!

名探偵コナン 黒鉄の魚影
10

毎年更新する傑作。名探偵コナンに触れたことがある人なら必ず見るべき。

「コナン映画」というのは、日本アニメ映画の1ジャンルとして地位を確立している。

原作である漫画は、高校生探偵・工藤新一が、黒の組織の取引現場を目撃してしまい、少年化させられてしまい、組織の行方を追いながら数々の事件を解決していくというストーリーだ。今作は、その話の根底となる黒の組織との接触がメインとなっており、シリーズ全体を通しても重要な位置づけになるのではないだろうか。

映画プロデューサーの方が「今年は興行収入100億円を目指す」と宣言していた。「いくらなんでも…」と半信半疑で観に行ったというのが正直なところだが、さすがコナン映画。前作までも好成績を続けていたにもかかわらず、個人的には歴代最高の出来ではないかと感じる。

主軸となる事件を、映画版らしいド派手なアクションで魅せていたのも高評価の要因のひとつであるが、何より私が重要視したいのが、キャラクター個々の魅力が大いに出ていたという点。そして、彼らの関係性の描写が丁寧で、すべてにおいて高水準、満足度の高いものだという点だ。
キャラクターに標準を当てすぎると、時としてファン側で様々な論争が起きがちだが、本作はあくまで「名探偵コナン」シリーズが提示するそれぞれのキャラクターの最適解を解説されたような気さえする。
私は、劇場版に関しては毎回見るくらいの熱量があるが、原作やアニメシリーズを欠かさず見ているわけではない。そんな私が、映画だけでなく今後のシリーズの行方が気になってしまう作品だった。