ナポレオン ―獅子の時代―

ナポレオン ―獅子の時代―のレビュー・評価・感想

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ナポレオン ―獅子の時代―
10

大陸軍は世界最強!

フランスの「英雄」ナポレオン・ボナパルトの生涯を描いた、長谷川哲也氏による漫画。こちらで紹介するのは「獅子の時代」編だ。タイトルが醸すパワフルな雰囲気に負けない骨太な作品で、ガンダム作品のキャラデザインなどでも著名な美樹本晴彦氏に「息が詰まりそう」と評されたほどである(なおこのコメントは単行本の帯広告にそのまま載せられた)。

フランスを舞台にした漫画といえば日本では「ベルばら」が有名だが、本作品の作者は「北斗の拳」の原哲夫さんの下でアシスタント経験がある。初期の絵柄はまさに世紀末、劇画タッチで「ベルばら」とは似ても似つかない。台詞回しもストーリーも暴力的な勢いで進んでいくが、内容はかなり史実に忠実らしい。
専門家の監修もしっかりと入っており、話と話の間にはさまる読み物「大陸軍戦報」は、「この漫画にこのスタイルで?」と思えるほど緻密で読み応え十分。歴史上に実在する偉人たちも実に魅力的で、彼ら彼女らが圧倒的な勢いで躍る誌面は、読めばいつのまにか引き込まれてしまう。

「獅子の時代」編は、ナポレオンが生まれてから皇帝になるまでのエジプト遠征あたりまでを描く。知っているようで知らないフランス革命期の歴史について、この本を入り口にするのは消して悪くないかもしれない。私はそうだったが、後悔はしていない。