シン・仮面ライダー / Shin Kamen Rider

シン・仮面ライダー / Shin Kamen Rider

『シン・仮面ライダー』(シンかめんライダー)とは、改造手術でバッタと融合させられた青年と、それを成した秘密結社ショッカーとの戦いを描いた、2023年の映画作品。日本を代表するクリエイターである庵野秀明が監督を務める、国民的特撮ヒーロー『仮面ライダー』の生誕50周年記念作品である。
バッタとの融合人間に改造された本郷猛は、恩師の娘である緑川ルリ子に巻き込まれる形で秘密結社ショッカーと戦うこととなる。当初成り行きで戦っていた彼は、やがて正義の意志に目覚め、ショッカーの暴威に立ち向かっていく。

シン・仮面ライダー / Shin Kamen Riderのレビュー・評価・感想

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シン・仮面ライダー / Shin Kamen Rider
8

オリジナルを見たことのある方は楽しめます。

劇中のBGMもバッチリ。昭和ライダーファンにはドストライクです。俳優も決してイケメンすぎず、セリフもカッコよすぎず楽しく見れました。
オープニングから迫力の展開です。驚いたのは、高精密な変身シーンが映画開始すぐに見られたことです。ライダースーツはもちろん、バイクの変形シーンも素晴らしい!早すぎてYouTubeの公式動画でなんども再生して確認しました。
同監督の作品をゴジラ、ウルトラマンと立て続けに見ましたが、仮面ライダーは一番テンポが良く、第一話から最終回までをギュッと凝縮したような映画です。見どころは当時の俳優のNGシーンや、名台詞をそのままオマージュとして採用しているところや、ライダースーツに当時のオリジナルのものを用いているところです。あとは、バイクの排煙が昭和ライダーのサイクロン号そのまま、眩しい花火と大量の煙で演出されているところでしょうか。
ライダーマスクから襟足が出ているところや、コートを着ている部分に違和感を感じていましたが、映画が始まればそれもかっこよさを演出する素晴らしいパーツの一つです。
ネタバレではありませんが、エンドロールが終わるまで席を立つことはしないでください。エンディングテーマもエンドロールの最後も最高です。

シン・仮面ライダー / Shin Kamen Rider
8

庵野監督「シン」シリーズ三作目 令和に蘇る仮面ライダーの原点

ゴジラとウルトラマンに続く庵野秀明監督による「シン・」を冠する映画の三作目「シン・仮面ライダー」のレビューです。

「変わるモノ。変わらないモノ。そして、変えたくないモノ。」というキャッチコピーを持つこの作品は、ゴジラやウルトラマンと比べると一見には優しくありませんでしたが、「仮面ライダー」というヒーローの在り方と原点を丁寧に紐解いた作品であるように感じました。
「イー!」と叫ぶ黒タイツの戦闘員……と多くの人がイメージを抱いているであろうショッカーという存在、その根幹である組織について新たな解釈を示してくれたのも興味深かったです。シン・仮面ライダーにおけるショッカーという組織は「最も深い絶望を抱えた人間を救済する行動モデルが、最大多数の最大幸福であり、人類の目指すべき幸福」を軸に持ち、そのため人間社会に適合できなかった人間が改造手術を受け、幹部として各々の幸福実現に向けた非合法的な活動に従事しています。人類を脅かす悪人たちも元を正せば幸せになりたかった只の人間であり、絶望によって拗れた思想からくる手段と、それがもたらす結果の歪さにはどこか物悲しさすら覚えます。そして、利己性と絶望に屈した彼らがいてこそ、自分以外の誰かのために戦う「仮面ライダー1号」の姿に胸を打たれるのです。