追悼のざわめき

追悼のざわめきのレビュー・評価・感想

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追悼のざわめき
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お勧めは出来ないが、悩まされる事だけは間違いない大問題作

映画のレビューの点数を参考にされる方も非常に多いと思うのだが、点数がついてないから面白くないわけではない。
たまにではあるが、点数が付けられない映画も存在するのである。
まさにこの映画がそうだ。満点をつければ、私のぺらぺらの道徳心が痛む。
この映画は私を悩ませ、苦しめる邦画ナンバーワンであることは間違いない。
世の中には、沢山のタブーが存在する。
倫理的、道徳的な事から外れることは悪い事だとされている。
だが、悪い事とされていても、過ちを犯すのが人間なのである。
人間の醜い欲望の数々を、この映画の中でみせられる。非常にパワーを吸い取られる映画ではある。
が、この醜い行為の数々を、純粋と捉える事もできるし、狂気と捉える事も出来るのである。
純粋と狂気は紙一重なのである。
観ながら、私の善とするもの、悪とするものに対する基準が段々と揺らいでくるのだ。
圧倒的な欲望パワーの後に残るのは、哀れさと寂しさ、悲しさである。
とんでもないものを観た(目撃した)ような気持になり、どう自分の中で処理をしていっていいのか、迷う作品なのだ。そして非常に疲れる作品でもある。
知り合いに勧めようとは決して思わないが、観なきゃよかったとは思わない映画だ。
興味のある方は是非体感して頂きたい映画ではある。