灰羽連盟

灰羽連盟のレビュー・評価・感想

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灰羽連盟
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隠れた名作「灰羽連盟」について

「人がバタバタ死ぬアニメは得意ではない」
「丁寧に人の心について描写された作品が見たい」
という方にオススメしたい「灰羽連盟」。
こちらの作品(全13話)はDアニメストアで見ることが可能ですので、興味が湧いたらぜひ見る事をオススメします。

こちらの作品は2002年10月に放送されていたアニメ作品です。
この頃放送されていた作品といえば「機動戦士ガンダムSEED」や「ギャラクシーエンジェルA」、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」など。
もしかしたら当時リアルタイムでこれらの作品を見ていた方々は「灰羽連盟」の名前だけは聞いたことがあるかもしれませんね。

『オールドホームの灰羽達』という安倍吉俊さんの同人誌を元に、このアニメ作品は制作されました。
安倍吉俊さんは『serial experiments lain』のキャラクター原案で知られていますが、他にも『RErideD-刻越えのデリダ-』のキャラクター原案も担当しています。

この物語は、主人公の少女が空から落ちていくシーンから始まります。
少女が目を覚ますと、灰色の羽を身につけた人物たちが主人公を見つけにやってくるのです。
そこで少女が夢について話すと、少女は「ラッカ」と名付けられます。
そうしてラッカは「レキ」を始めとした灰羽達と一緒に「オールドホーム」で日々を過ごす事になるのですが…

ところで、この作品を調べている方はおそらく「lainみたいに鬱っぽい作品だったりするのかな?」という所から検索をかけている事と思います。それには
「鬱作品ではない。しかし寂しさはずっと残り続ける、美しい作品」
とお答えしたいです。
要は「鬱くしい」ではなく、純粋に「美しい」という具合です。

この作品の特徴は「アニメが苦手でも見やすい」という点にあります。
雰囲気は静かでゆったりとしており、しかしほのぼのアニメというわけではなく、しっかりとテーマに沿った物語を魅力的に視聴者に伝えてくれます。
ジブリ作品のような落ち着いた作品が好きな方には特にオススメ。
なお、この作品は見終えたあとも考えさせられる作品ですので、ずっと心に残りやすい作品と言えるでしょう。

毎回なんだかスキップせずに見てしまうオープニングに、本編を見終えた後も余韻を楽しませてくれるエンディング。
1話1話を噛み締めさせてくれる配慮がしっかりなされています。
オープニングの「Free Bird」は『ワンダと巨像』のサウンドラックや『金色のガッシュベル!!』に作品提供をしていた大谷幸さんが作曲・編曲を担当しています。
エンディング「Blue Flow」の作詞は畑亜貴さん、歌うのは『人類は衰退しました』エンディングテーマを務めていた伊藤 真澄さん(Heart of Air)という、豪華で美しい方々が作品の始まりと終わりを飾ってくださっています。

死との向き合い方、自分の過去との向き合い方について深く考えさせられる良い作品です。
毎回のお話が余韻の大きい作品となっておりますので、ぜひお時間がある時にイッキ見することをお勧めします。