ディーン、君がいた瞬間

ディーン、君がいた瞬間のレビュー・評価・感想

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ディーン、君がいた瞬間
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伝説的俳優、その生涯を知る

ジェームズ・ディーンという人物をご存知だろうか。1955年に24歳という若さでこの世を去った、アメリカの俳優である。端正な顔立ちの裏に深い孤独を纏い、死後何十年経とうと人々を魅了してやまない、伝説的な俳優だ。彼の生き様や言葉、演技は、役者だけでなく若者やその他多くの人に影響を与え続けている。
『エデンの東』『理由なき反抗』などで彼の素晴らしい演技を観ることができるが、それ以外になぜ彼がそこまで魅力的な人物であるのか、その手掛かりを知るにふさわしい映画がこの『ディーン、君がいた瞬間』だ。
ジェイムズ・ディーンを演じたのは『アメイジング・スパイダーマン2』で主人公の友人役などを演じたデイン・デハーン。そして本作の語り手であり、ディーンに魅せられ彼を撮影するべく熱を燃やした実在の写真家デニス・ストックを、『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンが演じている。
物語はストック目線で進み、現在も様々な場面で観ることのできるディーンの写真たちを彼がいかに撮影したのか、その経緯を描きながらディーンがどのような人間であったかを紡いでいく。ディーンとストックがたどったアメリカの風景をロードムービー的に楽しむもよし、ジェームズ・ディーンという人物と“出会う”のもよし、ただ本作鑑賞後には彼の魂がこもった作品たちを再度鑑賞することをお勧めしたい。
憧れの俳優が亡くなったとき、心にぽっかりと穴が開いた気分になることは免れない。だが彼らは映画の中で息づき、私たちはまたフィルムを通じて彼らと出会うことができるのだと、再認識させられる作品だった。
エンドロールでは実際にデニスが撮った実際のディーンの写真が流れ、涙を誘う。最後の瞬間まで見逃せない一作だ。