ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました

ハズレポーションが醤油だったので料理することにしましたのレビュー・評価・感想

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ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました
8

料理上手な専業主婦、異世界に行って自分を取り戻す

亭主関白の夫から離婚届を出され、10年間妻をやっていたユーリは怒り、家を出てハローワークに行ったつもりが、異世界のギルドに来ていました。
驚きながらも、ギルド職員に言われたステータスを確認すると5歳児並みの地位しかなく、紹介できる仕事が何もなかった中、唯一お屋敷で家事の仕事ができました。
「家事しかできない」と夫に馬鹿にされ、ユーリはお屋敷での仕事を嫌がりました。そんなユーリにS級冒険者の「ローファス」が、5歳児並みの地位でもできる、初心者用ダンジョンでレベル10まで上げ、ポーションを収穫する仕事を紹介しました。
早速連れて行ってもらったダンジョンの小屋には、ユーリより年下のエルフの「プライス」、獣人族の「キリカ」、人間の「カーツ」の3人がいました。
教えてもらったダンジョンのスライムに行ってみると、色や大きさ、動きからゴキブリに見え、気持ち悪かったユーリはどんどん倒していきました。スライムを倒すと出てくるさまざまな色のポーションのうち、当たりの黄色以外のハズレは、捨てていました。
ハズレポーションを捨てたとき、調味料の醤油の匂いがしたことをきっかけに調べると、「ほかの調味料」とわかりました。
「普段パンしか食べていない子どもたちに調味料を使った料理でお腹を満たし、笑顔を増やす」という物語です。
全て食べられるモンスターが登場し、調味料で料理するとステータスが上がるところが見所です。
巨大タコや蛇のしっぽが生えたニワトリなどのモンスターを、異世界の人たちは食べませんでした。しかし、ハズレポーションを使ったユーリの料理は、毒耐性や命中量が上がり、異世界の人たちが知らないことばかり起こりました。
美味しいとき上がるステータスの驚き方は、見ていて楽しかったです。異世界のとても面白い食材の出現場所も楽しめました。そのまま食べるため、異世界の人が知らなかった調理の美味しさをユーリが教え、みんなで食べているときの笑顔は最高でした。
亭主関白の夫を忘れたユーリが、異世界で出会った人たちとの交流を通して自分を取り戻し、毎日を楽しむ姿は必見です。ユーリが異世界で持つすご過ぎる調理道具と、活躍をぜひ見てほしいです。料理や異世界が好きな人にお勧めです。

ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました
7

ほかとは違う「俺TUEEE」作品

コミック版のみ読了しました。全5巻なので気になったら全巻購入して一気に最後まで読めるのがいいです。いわゆる「なろう系小説」の派生作品で、現代日本人がい世界に行ったら、とんでもない能力を発揮してしまう「異世界転生モノ」のジャンルになります。そういった内容の似通った作品が乱立しているため、あまりこのジャンルは好んでは読まなかったのですが、なんとなく読み始めました。異世界に行ったら急に剣の才能が発揮されたり、最強の魔法がじゃんじゃん使えたりというような使い古されたネタと展開ではなく、日本人の専業主婦が異世界ではもはやゴミとされている「ハズレポーション」の秘密に気づき、先頭に役立つ料理を率先して作っていくという新たな切り口のストーリーが大変気に入りました。「冒険者たちがゴミだと思っていたハズレポーションを調味料として活用して料理で無双する」という、昨今の日本で軽視されがちな専業主婦にスポットが当たっていて、個人的にとても嬉しい作品でした。主人公が「異世界の事なんて何もわからないから、強い冒険者に守られてるだけの少女漫画的ヒロイン」でなく、なにか役に立たないと!とガンガン料理を駆使して前に出ていくのも高ポイントでした。ただ、魔法石に命令をする時の文言が現代の言葉でも普通に通じてしまい、しかも失敗がないという「ご都合主義」展開は「やっぱりなろう小説原作だなー」という感じでした。