バスキア

バスキアのレビュー・評価・感想

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バスキア
8

栄光と悲劇に包まれながら若くしてNYで没した異能の画家の生涯を辿る『バスキア』

『バスキア』は1996年公開のアメリカの伝記映画で、監督・共同脚本・共同作曲はジュリアン・シュナーベルです。本作でシュナーベルは映画監督としてデビューしました。この映画は、米国のポストモダニスト/ネオエクスプレッショニストであるジャン-ミシェル・バスキアの生涯を映画化したものです。バスキアはブルックリン生まれ、壁の落書きに原点を持つコラージュ様式の絵画をカンバスに描き出しました。ジェフリィ・ライトがバスキアを演じ、デヴィッド・ボウイがバスキアの友人であり師であるアンディ・ウォーホルを演じています。その他には、シュナーベルに扮するのはゲリー・オールドマン、詩人で美術批評家ルネ・リカード役にマイケル・ウィンコット、ブルーノ・ビショフベルガー役にデニス・ホッパー、画廊主マリー・ブーンにパーカー・ポウジー、ジャーナリスト役にクリストファー・ウォーケン、電気技師にウィリアム・デフォー。
映画では、バスキアの生涯が若干の虚構も交えて物語られます。トンプキンススクエアパークで段ボールアートで生計を立てていたのですが、1980年代に入ると彼の作品はニューヨークの美術界を席巻し始めます。それはアンディ・ウォーホル、美術ディーラーのブルーノ・ビショフベルガー、詩人であり批評家のルネ・リカード、仲間のアーティストのアルバート・ミロと友人であったことに起因しています。映画は、アーティストとしての経歴の発展を追うと同時に、バスキアに創造の霊感を与えたアーティストであるギナ(クラーラ・フォルラー二)との関係を追います。ギナはバスキアが友人ベニー(ベニチオ・デル・トロ)を伴って訪れるダイナーでウェイトレスとして働いていたのでした。彼らの間に恋が花咲くとともに、バスキアはしばしばヘロインを吸引するようになります。ウォーホルの死と共に、バスキアは名声を獲得しながらもドラッグ摂取癖の孤独に苛まれていることに気づきます。作品のラストシーンでは、1988年8月12日、27歳でヘロインの過剰摂取が原因でジャン-ミシェル・バスキアが没したことが観客に伝えられます。