バーバー(映画)

バーバー(映画)のレビュー・評価・感想

New Review
バーバー(映画)
7

渋い作品

平凡な理髪師が、とある詐欺師から投資話を持ちかけられたことをきっかけに転落の一途を辿るという話です。
主人公のエドは無口であまり表情も変えない男でした。
それでも、やりたくない仕事をさせられていることとか、ピアニストに夢中になっていることとか、わかるから、すごい演技力だなと思いました。
意に沿わぬ結婚、やりたくもない仕事、不倫をしている妻と孤独な生活をしてきて、そこから抜け出したくてついしてしまった恐喝、金持ちっぽいからちょっと金を取っても平気だろうというところもあったと思います。
でも、恐喝相手は秘密だらけだったし、性格も暴力的だったせいで、思いもよらない方向に進んでしまって、因果応報とは思いますが、哀れでした。
ラストは思いもよらないものでした。
理髪師では終わりたくないと言っていたエドなのに、エドの目線は人の髪型をとらえていることがなんとも皮肉だなと思いました。
結局理髪師に満足していれば、良かったのにと思いました。
でも、そうはできないのが、人間の性なのだと思います。
ああ、コーエン監督はいじわるな人だなあと思います。
全体的に渋い作品でした。
音楽もほとんど流れなくて、たまに流れるのがベートーベンのピアノソナタというのが、悲愴感あふれてて良かったです。