月とライカと吸血姫

月とライカと吸血姫のレビュー・評価・感想

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月とライカと吸血姫
9

心を動かされる!ただの吸血鬼アニメじゃない一作!

毎年たくさんのアニメ作品が公開される中でそれなりに根強く人気のあるタイプに"吸血鬼が登場する作品"があります。
空想上の存在としてとてもオーソドックスな素材のためにとても目にする機会が多い印象もあります。

この作品もタイトルだけ見ればそういった沢山のうちの一つに映るかもしれません。
ですが、それだけで敬遠してしまうのはとても勿体ない!

原作はライトノベルであり、過去には宝島社の『このライトノベルがすごい!』にて初登場作品ながら文庫部門第4位を受賞する実力をもっています。

作品の舞台は現実世界の冷戦期にも似た情勢下、宇宙開発競争が過熱するとある国家にて吸血種族(ノスフェラトゥ)と呼ばれる人類とは別の、迫害を受けている存在が登場します。

主人公の青年レフは人間の宇宙飛行士候補生であり、ヒロインのイリナは吸血鬼の宇宙飛行実験体です。
色々な作品に触れてきた方であればもう察しが付いているかもしれませんが、この作品もまた"ロミオとジュリエット系"と呼ばれるタイプの作品です。
これは一種のネタバレになってしまうでしょうか。

ただ、この作品のオープニングや序盤からのキャラクター達の言動から視聴者はきっとすぐにその性質に気付くことと思います。
ですがこの作品の魅力は"先がわかっている"からといって減衰してしまうようなものではありません。

先がわかっているからこそ、キャラクター達の表情や言葉の一つ一つに心動かされる作品です。
このアニメ最大の魅力はこうした一人一人の役割がとても丁寧に作り込まれているという所にあると筆者は考えます。

心動かされる感動を求める方にとてもオススメできるアニメの一本です。
もちろん、先の読めない作品が好きという方もいらっしゃる事でしょう。
その点を考慮して10段階中、9点とさせていただきました。