コタローは1人暮らし / Kotaro Lives Alone

『コタローは1人暮らし』とは、2015年7月号から『ビックコミックスペリオール』(小学館)で連載を開始した、津村マミによるヒューマンドラマ漫画である。コミックスは9巻刊行され、累計発行部数は2022年9月時点で電子版を含め170万部を超えた。本作は「電子コミック大賞2018」の男性部門を受賞した。
物語は1人暮らしをする4歳のさとうコタローと、売れない漫画家の狩野進(かりのしん)を含む周りの大人との交流をシビアな現実と共に温かく描いている。
テレビドラマは2021年4月から6月まで放送され、狩野進役を横山裕、さとうコタロー役を川原瑛都が演じた。原作漫画はコタローが4歳だが、ドラマでは5歳に変更された。また篠田大介によるドラマのサウンドトラックが、2021年6月23日にVAPから発売された。Webアニメは2022年3月10日から、Netflixで全世界に独占配信された。コタローの声を釘宮理恵、狩野進の声を増田俊樹が担当した。

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コタローは1人暮らし / Kotaro Lives Alone
10

現代の闇をコミカルに

アパート清水で1人暮らしをしている主人公の「コタロー」を中心に描かれるストーリー。
この漫画の肝は、このコタローが4歳児であるということ。
最初は「4歳児が1人暮らしって?」と不思議に感じますし、漫画内でも詳細な部分はあまり明かされていません。
ただ、コタローとアパート清水の住人との触れ合いの中でコタローがネグレクト経験者であること、なぜ1人暮らしをしなければいけないのかなどの謎が少しずつ明かされていきます。
「ネグレクト」をテーマにしていると分かるのも2巻以降ぐらいですし、そんな奥深いテーマだってことも気付かないくらいに作風は全体的に非常にコミカルで、読んでいても思わず声を出して笑ってしまうほどです。
その普段の雰囲気とシリアスな展開の差が非常に絶妙で、大笑いした話の後には思わず号泣してしまうという事も何度もあります。アパート住人が泣きはらした目の時などは、すぐに気付いて目を冷やせといいながら「泣いても、わらわはおぬしのことを嫌ったりせぬ。泣くのはだめではない」と言ってなぐさめるのですが、コタロー自身は「弱いわらわは嫌いぞ」と泣くことすら許しません。たった4歳児の男の子がどうしてそこまで追い込まれてしまったのか、4歳なんて一番多感な時期なのに泣くことすらできないなんて…と考えるだけで涙が止まらなくなりました。
昨今では、ネグレクトに関するニュースは後をたちませんし、時には命を落としてしまう子までいます。そんなテーマを神妙な立場ではなく、少し違った観点で訴えてくるこの作品は本当に素晴らしいです!色んな人に一度手に取ってみてほしい作品です。