ダンジョン飯 / Delicious in Dungeon

ダンジョン飯 / Delicious in Dungeon

『ダンジョン飯』とは、年10刊漫画誌「ハルタ」(KADOKAWA)にて2014年2月から2023年9月に連載されていた、九井諒子原作の長編連載作品である。古典的ファンタジーな世界観をもつ作中のダンジョンに登場する魔物を、現実にある方法で料理し食す、グルメ&アドベンチャー漫画となっている。作中で作られた料理にはレシピが記載され、これにより作者の持ち味である、架空と現実が融合した世界観が存分に発揮されている。

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ダンジョン飯 / Delicious in Dungeon
9

真面目で面白い、ダンジョン図鑑

「このマンガがすごい!」「全国書店員が選んだおすすめコミック」など各賞で1位を獲得しているので既にご存じの方も多いであろう本作は、九井諒子による初の長編作品。現在もハルタにて連載中。
主人公ライオス一行はダンジョン内に残された妹を救出するため深部へと向かっていく。その道中で古典的ファンタジー作品に登場する様々なモンスターを、現実に存在する調理方法によって料理しながらダンジョンを踏破していくという、ファンタジー×グルメ漫画といった内容。

「ダンジョン」「モンスター」「冒険者」など、多くの人が想像しやすい王道テンプレートを使って展開され、見慣れない設定や入り込みにくい世界観は存在しない。だが、すべてのダンジョンにいるモンスター、トラップなどへのファンタジー内での合理的回答を用意しており、図鑑や資料集のようなある種の知識欲をも満たしてくれる堅実な設定は見事と言う他ない。
また、ハルタ作品らしい緻密でかつ抑揚に富んだ線で描かれる上、漫画として教科書にして良いような原稿の美しさ、構図のわかりやすさ、空白の使い方の巧みさは普段漫画を読まない層こそ驚くのではないか。

各種賞を獲得するにはそれ相応の理由が、人気の裏には面白さがあるということがわかる良書である。