火花(映画)

火花(映画)

『火花』は2017年11月23日に公開された又吉直樹の『火花』を原作とする映画。監督は板尾創路、脚本は板尾創路と豊田利晃、主演は菅田将暉と桐谷健太。売れない芸人の徳永と、先輩芸人の神谷の関係性を描いた作品で、劇中には漫才のシーンもある。徳永は神谷の弟子になり、神谷の伝記を書く。天才かつ人間的な神谷の魅力に、どんどん徳永が惹かれていく。神谷の方もまた徳永に心を開いていく。
原作の又吉直樹の小説は第153回芥川龍之介賞を受賞。また第28回小学館・DIMEトレンド大賞「レジャー・エンターテインメント部門」、Yahoo!検索大賞 2015・小説部門賞も受賞した。
映画は興行収入8億円を記録。多くの人が劇場に足を運んだ作品となった。

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火花(映画)
8

映画火花を見ての感想

お笑い芸人・又吉直樹の作品です。
奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼と師と慕う後輩・徳永。二人は笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は「俺の自伝をかけ」と命令した。彼らの人生はどう変換していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶということで、あらすじはこんな感じです。

大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。熱海湾に面した沿道は白夜の激しい陽射しの名残りを夜気で溶かし、浴衣姿の男女や家族連れの草履に踏ませながら賑わっている。沿道の脇にある小さな空間に、裏返しにされた黄色いビールケースがいくつか並べられ、その上にベニヤ板を数枚重ねただけの簡易な舞台の上で、僕たちは花火大会の会場を目指し歩いていく人たちに向けて漫才を披露していた。

中央のスタンドマイクは、漫才専用のものではなく、横からの音は殆ど拾わないため、僕と相方の山下はお互いにマイクを頬張るかのように顔を近づけ唾を飛ばしあっていたが、肝心な客は立ち止まることなく花火の観覧場所へと流れていった。人々の無数のほほえみは僕たちの向けられたものではない。祭が常軌を逸するほど激しくて、僕たちの声を正確に聞き取れるのは、おそらくマイクを中心に半径1メートルくらいだろうから、僕たちは最低でも3秒に一度の間隔で面白い事を言い続けなければ、ただ何かを話しているだけの2人になってしまうのだけど、3秒に一度の間隔で無理に面白い事を言おうとすると、面白くない人と思われる危険が高すぎるので、敢えて無謀な勝負はせず、あからさまに不本意であるという表情を浮かべながら与えられた持ち時間をやり過ごそうとしていた。というところから物語は始まります。