トラ・トラ・トラ!

ishikawa1のレビュー・評価・感想

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トラ・トラ・トラ!
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トラ・トラ・トラ

この作品はいわくつきの作品になってしまった。当初の予定では、巨匠黒澤明がメガホンをとることになっていました。しかしながら現場スタッフとの軋轢などが取り沙汰され、解任されてしまった。マスコミは親黒澤、アンチ黒澤に分かれて蜂の巣をつついたような有様で連日連夜映画の事よりも黒澤の精神状態の事ばかり報道する始末で、その間に映画会社の人たちは会議を重ね、膨大な製作費がかかっているために中止することもできずに、新しいスタッフ、キャストを決め、撮影を早急に進めたのです。
出来上がった映画の評判はまずまずの出来だとのことで20世紀フォックスも、胸をなでおろした。この映画の一番のポイントは日米双方の立場から、太平洋戦争をリアリティ豊かに描いた点にあるのだろうと、映画を見て私は強く感じました。日米双方から選ばれた俳優たちの魂のこもった演技のすばらしさを見るにつけ、俳優の実力には国の違いなどないのだと思える。また戦闘場面の映像の凄さは、いまのコンピューター・グラフィックなどとは違います。ほとんどが本物を使って撮影されていることを見ても、この映画を製作した意味が伝わってくるのです。
しかし残念なことは、やはり黒澤が作っていたらまた別の偉大な作品になっていたのだろうかと思ってしまうことです。