SIREN / サイレン

SIREN / サイレン

『SIREN』とは、2003年にソニー・コンピューターエンタテイメントが開発、PlayStation2用に販売されたホラーゲームである。他人の視界を利用してマップを見渡せる幻視ジャック(視界ジャック)や純日本風の舞台設定など、他にはないシステムや世界観から、国内外で大ヒットとなった。主人公の進め方次第でシナリオの難易度が変化はするも高難易度であることも知られている。

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SIREN / サイレン
8

日本ならではのホラーな雰囲気にゾクゾクします

インターネットが普及し始めた頃から頻発していた、日本各地の伝承や怪奇現象にまつわるオカルトホラー。都市伝説などの怖い話も、信じるかどうかは別としても、好奇心が先行して見たり聞いたりした方も多いかと思います。そうした雰囲気が好きな方にぴったりなのが、『SIREN』という和風ホラーゲーム。『どうあがいても、絶望。』というキャッチコピーが、鮮烈な印象を与えたゲームでもあります(当時放送していたCMが、怖すぎて放送禁止になったことでも有名です)。
物語の始まりは、オカルト好きの高校生が、掲示板に書き込まれた「一人の村民による、全住民の大虐殺が起こった奇妙な村」の噂を聞き、興味本位で羽生蛇村へ向かった。奇妙な儀式を目撃したのをきっかけに、彼は異変に巻き込まれるのですが……。
山奥にひっそり佇むこの村は、特有の文化や風習を重んじる、社会から隔離され、閉ざされた村の様相を呈しています。時代錯誤を感じるほど、昭和の山村のひっそりした空気を感じさせ、しかし風習や儀式など時おり鳥肌がたつような恐ろしさをも備えた村。日本の純ホラーではありますが、主人公たちに襲い掛かってくる敵がいます。『屍人』と呼ばれる「村人だった者たち」は、最初のうちは理由もわかりませんが、村を訪れた者、また同じ村人でも容赦なく襲い掛かってきます。もちろん主人公たちは殆どが「一般人」なので、抵抗するすべはそう多くないので、そこがまた怖いのです。
猟師は猟銃があり、護身用の銃を持っている人もいますが、全員ではありません。しかし何故か、主人公たちは『幻視』と呼ばれる能力を使うことができます。他人の視覚と聴覚を一時的にですが盗める能力で、これが攻略の要となるのです。このゲームの楽しさは、この『幻視』を駆使しながら、キャラクターたちの頭脳や技術と共に攻略していくところにあると言っても、過言ではありません、襲ってくる敵から逃れ、抵抗し、隠れたりとアクションもあり、ハリウッド映画のスターのようにきびきびとは動いてくれないキャラクターたちの生々しさが、また怖さを増幅させてくれています。謎解きは正直「ぜったいこんなの気付けないよ!」と思うものばかりなので、何度も何度も同じルートを繰り返しながら進み、解き明かしていく必要があります。村に響き渡るサイレンの音がしたら、「どうあがいても、絶望」な中を生き抜くこのゲームが始まります。村に起きている事態の謎を辿っていき、決して言葉数多いとは言えない登場人物たちの心理を読み進めていく楽しさは、日本のホラーゲームならではだと思います。