ハイキュー!! / Haikyu!!

『ハイキュー!!』とは、古舘春一による高校バレーボールを題材にしたスポーツ漫画。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2012年12号より連載され、2020年33・34合併号にて完結した作品。
春高バレーの中継を見た主人公、日向翔陽が「小さな巨人」と呼ばれるエースに心奪われ、憧れの烏野高校から全国大会を目指す話。「劇的青春」というキャッチコピーを掲げ、バレーボールのリアルな試合や個性的なキャラクターからファンの心をつかみ人気を博している。また、作中でバレーボールのルールや戦略を解説しているため、バレーボール経験のない人でも楽しめる内容になっている。
2018年には「高校生が"好きなマンガ・コミック"BEST10」の女子部門で1位となっており、シリーズ累計発行部数は最終45巻発売時点で5000万部を突破している。2014年よりテレビアニメがTBS系列で放送されており、2021年時点で第4期まで放送されている。原作とは違った試合の迫力や躍動感を感じることができるものとなっている。原作漫画、アニメ双方共に人気が高くファンが多い要因になっている。

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ハイキュー!! / Haikyu!!
10

とっくに過ぎ去ってしまった青春時代を懐かしく、そして少しだけ後悔をもって思い返させる作品。あの時この作品に出会っていたら、もっと打ち込める何かを見つけられたのかもしれない。

『ハイキュー!!』はバレーボールを題材にしたスポーツ漫画だ。けれど「スポーツ漫画」とひと言で表すことのできない深みを持っている。
今まさに青春真っただ中にいる学生たちは、自分たちの日常と照らし合わせて夢中になるのだろう。
対して、もうとうに青春時代が過ぎ去ってしまった大人たち(私もそうだ)は、かつて自分も過ごしてきた高校時代のひと時を懐かしく思い返すのではないだろうか。

部活動に懸命に打ち込んだ経験のあるものは、作品の中の彼らと自身を重ね合わせて感情を共有したりするのかもしれない。
けれど、私は少し違う。私は学生時代、とりたてて打ち込めるものと出会えていなかった。なんとなく勉強し、なんとなく卒業して、流されるままに大学へと進学し…。ずいぶんと中途半端だったと思う。
そんな私にとって、『ハイキュー!!』という作品は「自分が過ごすことのできなかった、思い切り何かに打ち込む青春の日々」を追体験させてくれるものだった。
そして同時に、「もし高校時代に戻れたら私も何か打ち込めるものに出会えたかもしれない」「違った人生があったのかもしれない」と思わせられた。

だからこそ思う。
青春の日々は、本当に一瞬に過ぎ去ってしまうものだから、今そのさなかにいる若者達にこそこの作品を読んでほしい。読んで、打ち込める何かに出会ってほしい。
『ハイキュー!!』はあらゆる世代の人間に、青春時代の熱い気持ちを強く伝えてくれる作品だ。