竜とそばかすの姫

竜とそばかすの姫

『竜とそばかすの姫』とは、2021年の夏に公開されたスタジオ地図製作の細田守が監督を務める日本アニメーション映画。心に大きな傷を抱えた主人公の女子高校生が、仮想世界と現実世界での出会いを通して成長していく姿は見る人に勇気を与える。監督特有の空想と現実による2つの世界と2つのアニメーションによって紡ぎだされる物語は、かつてない圧倒的スケールとなる。SNSが当たり前になり目まぐるしく変化していく世界で、変わることの無い大切な物は何かを訴えかける作品となっている。

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竜とそばかすの姫
9

大人も子供も楽しめる 時代を描くヒューマンストーリー

自分に自信が持てない主人公のすずは、幼い頃に川で母親を亡くしている。
すずの母親は、川で身動きが取れなくなってしまった子供を助けるため、流れの速い川の中を一人で助けに向かう。だが、母親は川に流されてしまい姿が見えなくなった。助けようとした子供は違う大人に助けられたが、すずの母親はすずの目の前で亡くなってしまった。歌う事が大好きだったすずはこの日以来、歌う事ができなくなってしまったのだ。

そんなある日、コンピュータに詳しい友達に「U」というネットの世界を紹介される。ネットの世界でのすずは、名前は「ベル」と言う。顔は学校で男子からも女子からも人気の友達の顔だ。
すずは現実世界では歌う事が出来ないが、ネットの世界のベルになる事で歌うことができるようになる。ネットでベルが歌うと、それを聞いた人達が「ベルの歌は凄い」と称賛するようになり、たちまちベルは有名になっていった。

そんな中、ネットの中で傷だらけの竜と出逢う。竜は、見た目は恐く背中にたくさんの傷があった。そんな竜の事が気になったベルは、竜との接触を試みた。しかし、ネットの世界は皆んな素顔を隠していて竜の本当の姿がわからない。そこで、ベルは竜に信頼してもらうために、ネットで素顔をさらけ出し歌を歌った。
その姿を見た竜はベルに心を開き始めた。そして竜の背中の傷は虐待のものだとわかり、ベルは現実世界で竜に会いに行く事を決意した。ネットでしか会った事がなかったベルと竜は現実世界でも会う事ができ、ベルは竜の虐待を阻止し、竜を救うことができたのだ。心を閉ざしていたすずと竜は、Uの世界をきっかけに前を向いて生きられるようになったのだ。