黒子のバスケ / 黒バス / Kuroko's Basketball

黒子のバスケ / 黒バス / Kuroko's Basketball

『黒子のバスケ』は藤巻忠俊による漫画作品。『週刊少年ジャンプ』にて2009年2号から2014年40号まで連載された。全30巻。2012年4月から2015年6月まで、3期にわたってテレビアニメ化された。藤巻の初連載作品でもある。
読み切り版が第44回(2006年11月期)ジャンプ十二傑新人漫画賞を受賞し、『赤マルジャンプ』(集英社)2007 SPRINGに掲載された。その後、本編が『週刊少年ジャンプ』にて連載。
中学バスケットボール部強豪の「帝光中学校バスケットボール部」の中でも特に最強だった「キセキの世代」の、「幻の6人目(シックスマン)」と呼ばれた影の薄い少年・黒子テツヤ(くろこ てつや)と、アメリカからの帰国子女・火神大我(かがみ たいが)が高校バスケ日本一を目指す物語。
本編の後日談として、『少年ジャンプ+』2014年9月22日から12月15日まで隔週連載で『黒子のバスケ番外編』が連載された。また、『少年ジャンプNEXT!!』(集英社)2014 vol.6から2016 vol.1まで『黒子のバスケEXTRA GAME』が連載された。

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黒子のバスケ / 黒バス / Kuroko's Basketball
10

”10周年”でも色褪せないキャラの魅力・主人公の魅力

アニメ『黒子のバスケ』は、今年10周年イヤーであり、多くのファンが祝福している。「黒バス」の根強い人気の理由は何だろう。登場キャラクター、ひいては、彼らの所属する高校それぞれが持つ個性的な魅力は、「黒バス」を語るうえで欠かせないと思う。主人公・黒子のかつての相棒、青峰属する「桐皇学園」バスケ部は、実力主義で、調和よりも個々の技術をいかに引き出すかを重視する。メンバーに深入りせず、掴みどころがないが、試合での冷静さ、計算高さ、確かな実力でチームを確実に統率する主将・今吉は、自由奔放な青峰も恐れる存在だ。海常は対照的に、チーム内での礼儀や上下の秩序を重んじる。率いるのは「正統派」バスケスタイルで、厳しいが面倒見がよい「古き良き」な熱血漢、笠松。キャラ及びチームひとつひとつが細かく作りこまれ、必ずひとつは「推し」の高校が見つかるというのが「黒バス」の魅力だと思う。
しかしなにより、試合中は「透明人間」に徹する主人公・黒子の人間的な魅力が、「黒バス」人気の根っこにあるのではなかろうか。彼は、バスケの試合において、勝利のみにこだわるやり方を嫌い、勝利より大切なことがあると信じている。しかし、その考えを無理に押し付けようとはしない。彼は、勝利を絶対視し、バスケを無感動に、作業のようにこなすようになったかつてのチームメイトたちを「変えたい」とも思っている。しかしそれは「自分の思い通りにしたい」とは似て非なるものだ。彼は「自分が強くなること」で相手を変えようとする。そしてなにより「自分を認めさせたい」こと以上に「笑顔でバスケをほしい」と願う。かつて自分があこがれた、自分がやりたい「楽しいバスケ」を体現していた相手に、笑顔でもう一度プレーしてほしい。「相手を変えるために自分が変わる」「相手のやり方も尊重する」その人間としての謙虚さ、思慮深さは、時代が変わろうとも、普遍的な、人としての魅力的な在り方なのではないかと思う。
単純に推しキャラ・推し高校をみつけてライトに楽しむもよし、黒子や彼を取り巻く人々の人間性から学ぶもよし。いろいろな楽しみ方ができ、10周年を迎えてなお、根強い人気を誇っていることに納得のいく作品だ。