HELLSING

HELLSING

HELLSINGとは1998年から2009年まで平野耕太により「ヤングキングアワーズ」で連載されていた漫画及びそれらを原作とするアニメ、OVA作品である。舞台は20世紀末の、不可解な吸血鬼事件が頻発するイギリス。大英帝国王立国教騎士団、通称「ヘルシング機関」に所属するアーカード、インテグラ、セラスの3人を主軸に展開する吸血鬼との闘争を描いたバトルアクション漫画である。

worldtour1234a7のレビュー・評価・感想

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HELLSING
10

オタクなら必修科目、あの有名な台詞「よろしい、ならば戦争だ」の元ネタ作品!

英国王立国教騎士団・通称『HELLSING機関』、ナチスドイツの敗残兵によって結成された戦争集団ミレニアム、そして国教騎士団と対立関係にあるカトリック・ヴァチカンの直属機関イスカリオテの三つ巴が織り成す吸血鬼と人間の華麗なる戦争物語!
原作者、平野耕太の大仰で演劇めいた通称「ヒラコー節」が数多のコアなファンを獲得した同作者の代表作であり最高傑作。
古くからのオタクの支持を一心に集め、まだ読んだ事のない人達も一度は台詞やワンシーンを見た事があるに違いない。
作者の豊富なミリタリー関連の知識によって、ド派手ながらもリアルに描かれる戦闘描写は圧巻。
そしてシリアスな展開を思わせながら時に惜しげも無く捩じ込まれるギャグシーンは、読者の読むテンポを小気味よく掻き乱す。
主人公格である、HELLSING機関に使役される最凶の吸血鬼アーカード、吸血鬼絡みの事件に巻き込まれそのアーカードによって吸血鬼となった婦警セラス・ヴィクトリア、HELLSING機関のトップであり吸血鬼アーカードの現主であるインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングの三人を中心に物語は進行していくのだが、この三人がミレニアムとの戦争においてそれぞれに成長し、覚醒していく様はラストに向かうにつれ読む者の心を鷲掴む。
また、物語終盤に語られる『人間であり続ける事の強さ』についてのアーカードの言葉は、当たり前に人間である我々にとってハッとさせられる内容であり、単なるバトルアクション漫画の域を超えた深いテーマを感じさせられる。
「諸君、私は戦争が好きだ」、「よろしい、ならば戦争だ」、の台詞で有名なミレニアムの指揮官・少佐が語る一見狂っているかのように思える言葉の数々も、イスカリオテ所属のアーカードの宿敵アレクサンド・アンデルセン神父の狂気じみた信仰に満ち満ちた台詞達も、時に深く考えさせられる内容が要所要所に散りばめられている。
行き過ぎた個性によって彩られるキャラクター達は、サブキャラクターに至るまで強烈なインパクトで飽きさせることなく我々を楽しませてくれるだろう。
この作品を知らずして、オタクを語るなかれと言っても過言ではない本作。
決して読んでも損する事はないと、読んだ誰もが約束するだろう。