目次

  1. 『羊のうた』-世にも奇妙な美しい吸血鬼の物語
  2. 油絵のような色彩とタッチ
  3. ユニークな人物造形
  4. まとめ

少し個人的な話になりますが、私がこの作品を読んだきっかけは友人に「面白い吸血鬼の漫画があるよ」とすすめられたからでした。
正直、吸血鬼などといった一種オカルトのような類には興味がなかったのですが、物々しいただならぬ雰囲気をまとった二人の男女の表紙を見た瞬間、漫画を手にとってページをめくっていました。
みなさんにとってもこの記事がそのようなきっかけになればと思います。

『羊のうた』-世にも奇妙な美しい吸血鬼の物語

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(左)千砂、(右)一砂

妖艶でものものしい雰囲気を持ち、佇む二人の男女が写っています。これが『羊のうた』の主人公であり、吸血鬼なのです。
普段はごく普通の高校生として日常を送っているのですが、ふとした瞬間に血を求める”発作”を起こす病気を抱えています。この病気の性質を指して、吸血鬼と称されるのです。

この二人の美しい男女は実は血の繋がりのあるキョウダイなのです。
冒頭では主人公の一砂(かずな、と読む。男の名前)はまだその事実を知らないのですが、発作を起こしわけがわからないまま学校から帰っている途中に、姉である千砂(ちずな、と読む。女の名前)に偶然会い自身の家系の病気について教えられます。
もちろんそんな病気は現実に認められていないので最初は一砂も信じません。しかし物語が進行するにつれ、病気をひっくるめた事実やさらには千砂のことも受け入れていきます。

油絵のような色彩とタッチ

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カラーページや表紙をよくご覧ください。
油絵によくあるような、キャンバスに絵の具を塗ったような印象を受けます。
また、輪郭が黒色の部分と茶色で縁取られた部分があります。しかも太さがまちまちで、かすれている部分もあります。
この画風が、見た人に「普通の漫画と違うな」と思わせる所以であり、効果的に重厚感を出すことによって物語の内容が意味深であることを示唆しています。

ユニークな人物造形

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作中の人物は、すべて万年筆のような(あるいは本物の万年筆を使った)線で書かれています。
そのため線が均一な太さにならず、強弱を出して微妙なニュアンスを表現し、人間のかすかな表情の変化や着ているものの質感を捉えられています。
また複雑な柄のトーンと使っていないので華美にならず、一つひとつのコマに重厚な印象を受けます。

登場人物の名前の固有性も際立ちます。
主人公の一砂(かずな)、姉の千砂(ちずな)、もう一人のヒロインの葉(よう)。
それぞれどのような意図で名付けられたのかは明らかにされていませんがインパクトが強く、まず他の漫画と被らない名前ですよね。この唯一無二のネーミングというのが大事なのです。なぜなら、登場人物の名前を言えば漫画の内容に結び付けられるというのは、それだけ読み手の記憶に残りやすいからです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
冬目景さんの作風を伝えやすくするため、『羊のうた』という完結している作品をとりあげました。
他にも短編や連載中の作品もありますので気になったら是非チェックしてみてください!