ぶっちぎり?!(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ぶっちぎり?!』とは、アニメーション制作会社「MAPPA」がプロデュースした異色のオリジナルアニメ。主人公の荒仁は転校先で親友の真宝と再会する。ヤンキーだらけの校内で、度胸も喧嘩の心得もない主人公が不思議な魔人の出現や魅力的なクラスメイトの女の子との出会いによって、少しずつ変化していく。作画、アクションシーンの描き方共に定評のあるMAPPAが原作、制作すべて手掛けた不良少年たちの青春をコミカルに描いた作品。

『ぶっちぎり?!』の概要

『ぶっちぎり?!』とは、アニメーション制作会社MAPPAが2024年に発表した完全オリジナルアニメ。2023年12月23日にはテレビアニメ放送に先行して1話から3話までTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都)、TOHOシネマズ梅田(大阪府)、TOHOシネマズ天神(福岡県)、TOHOシネマズ赤池(愛知県)などの全国6つの劇場で上映会が行われた。本作はテレビアニメとしては異色の原作、制作共にアニメーション制作会社が手掛けている事で話題。原作・脚本は『ブルーロック』や『王様ランキング』の制作にも参加した岸本卓、『BANANA FISH』などの監督を務めた内海紘子が原作・監督を担当している。MAPPAのアニメーション作画の美しさはもちろんのこと、ヤンキーアニメとは思えないほどカラフルでファッショナブルな映像が新鮮で海外の評価も高い。また、主人公である荒仁の実家が町中華屋を営んでおり、各話のタイトルにも中華の要素が入っていたり、アラビアンナイトの世界観を取り入れていたりと作中の衣服や学校などのデザインにもこだわりが盛り込まれていて性別問わず楽しめる作品。主人公を取り巻くヤンキーのキャラクター達も個性豊かでそれぞれの葛藤や関係性もしっかり描かれておりボリュームのある内容となっている。ストーリーはアラビアンナイトの『千夜一夜物語』をモチーフに千夜と一夜という魔人たちの因縁と主人公の荒仁とその昔の親友である真宝の変化・成長を描いている。

『ぶっちぎり?!』のあらすじ・ストーリー

本気人(ほんきびと)との出会い

ヤンキー高に転校してしまった主人公の荒仁(右)

主人公の灯 荒仁(ともしび あらじん)は喧嘩が苦手で彼女が欲しいという願望を持った平凡な高校生。しかし、転校する事になった威血頭(いちず)高校は不良しかおらず、喧嘩は日常茶飯事のヤンキー校だった。その事実によって、甘い学校生活の夢は崩れ去ったが、優しく話しかけてくれたクラスメイトの神 まほろ(じん まほろ)に一目惚れする。威血頭高校では、魅那斗會(みなとかい)とシグマスクワッドの二つのグループが学校の頂点(テッペン)を目指し、激しく争っていた。魅那斗會には、荒仁が子供の頃、一緒に本気人(ほんきびと)を目指そうと誓った、親友の浅観音 真宝(あさみね またから)もいた。再会を喜ぶ真宝に、荒仁は冷たい態度を取ってしまう。その理由は、かつて真宝が不良に殴られていたときに、助けずに逃げてしまったことを今でも後ろめたく感じていたからだった。そんなある日、本気神社(ほんきじんじゃ)を訪れた荒仁は、うっかり本気人(ほんきびと)の封印を解いてしまいう。荒仁の前に突如現れた、その千夜(せんや)と名乗る本気人(マジン)は、何でも願いを叶えると言う。荒仁は「童貞を捨てたい」という願いを告げた事で、千夜に取り付かれ生活を共にする事となる。

荒仁の夢見たハーレム

千夜の力を借りて、思いがけない力を発揮した荒仁は、シグマスクワッドのリーダーである神 摩利人(じん まりと)を一発殴ってしまう。その拳に惚れた摩利人は、荒仁に熱狂的な勧誘をして何とかシグマスクワッドに加入してもらおうとする。真宝にも魅那斗會へ誘われるが、まほろの兄・摩利人がリーダーを務めるシグマスクワッドに入る事を決めた荒仁。摩利人に気に入られた荒仁には、彼の不良とは関わりたくないという気持ちとは裏腹に不良の仲間が増えていく。荒仁は、大好きなまほろに気に入ってもらいたい一心で、摩利人に取り入ろうとするが、まほろは極度のブラコンで全く相手にしてもらえない。ある日、シグマスクワッドでは荒仁の歓迎会が行われることになった。「酒池肉林」の会になると聞いた荒仁は期待して会場へ向かうが、なんとそれは「酒“血“肉林」であった。あっちむいてホイの要領で、殴り合うという恐怖のゲームに荒仁はまたしても千夜の力を借りようとするが、千夜は助けてくれず面白がっていた。そんな中、摩利人の相棒・大英 王太(たひで おうた)がトイレで何者かにボコボコにされた状態で発見される。近くには魅那斗會の腕章が落ちていた。

NG BOYSの裏工作

王太の暴行事件でシグマスクワッドと魅那斗會は険悪な雰囲気になり、2グループの睨み合いは激しくなる。それはすべてNG BOYSのリーダー・心土 阿久太郎(しんど あくたろう)の企んだことであった。阿久太郎は過去に魅那斗會に所属し、そのリーダー・道満 拳一郎(どうまん けんいちろう)に恨みをもっていた。グループ同士の抗争を止めたい真宝は、拳一郎とのタイマンを辞めるよう摩利人を説得して欲しいと荒仁に頼み込もうとする。しかし、荒仁は阿久太郎の口車に乗せられNG BOYSのアジトに連れて行かれていた。真宝の思いもむなしく魅那斗會とシグマスクワッドは激しい抗争に発展し、リーダー同士の決闘が行われることになってしまう。2グループが戦っている隙にどちらも潰してしまおうと企んでいる阿久太郎は荒仁と共に抗争現場に乱入し、抗争は更に激しくなるのであった。その中で、荒仁は魅那斗會やシグマスクワッドの仲間を想う気持ちや喧嘩にかけた本気を目の当たりにする。阿久太郎には千夜の古いライバルである一夜(いちや)が取り付いていた。一夜と合体することでグループのリーダーの地位まで上り詰めた阿久太郎は、無慈悲な行動で周りを脅かしていた。一夜の力を借りた阿久太郎は、卑怯な手を使って戦うが、真宝は仲間を守りたい一心で挑んでいく。荒仁も真宝も倒れてしまったが、まほろが2つのグループの抗争の原因を作った阿久太郎を罵る。力尽きていた荒仁だったが、まほろのピンチを救うために千夜と合体し、阿久太郎を撃破することに成功した。この一件で真宝のまっすぐさを目の当たりにした荒仁は、徐々に真宝への態度を和らげていくのであった。

真宝が恐れている闇

NG BOYSの弱体化とお互いの誤解が解けたことによって、魅那斗會とシグマスクワッドは平穏を取り戻していた。兄・浅観音 満邦(あさみね みつくに)が、少年院に入ることになってずっと一人で生活してきた真宝。そんな真宝が待ちに待った兄の出所の日、荒仁たちも出所祝いをしようと「チューチュー飯店」に集まっていた。しかし、出所直前で満邦はトラブルに巻き込まれて致命傷を負ってしまう。現実を受け入れる事が出来ない真宝は、心配するシグマの仲間に対しても心を閉ざしてしまう。希望を失った真宝は、本気神社で一夜と阿久太郎に会う。そこで、荒仁の強さは千夜という本気人(ほんきびと)が関わっているという真実を知る。自分の弱さで闇に飲み込まれると恐怖を感じていた真宝は、一夜の言葉に耳を貸してしまい取りつかれてしまう。一夜は真宝に対して、荒仁を倒すことで弱さを克服出来ると囁く。一夜は真宝を利用して、千夜と決着をつけようとしていた。兄・満邦の事で絶望していた真宝は、次第に身体も心も一夜にコントロールされるようになってしまう。関係のない不良やシグマスクワッドのメンバーに絡んでは殴るという真宝の行動に荒仁や魅那斗會のメンバーは違和感を覚えるが、ショックを受けている真宝への接し方に戸惑うしかなかった。

千夜一夜物語

一夜に見放されて情けない日々を送っていた阿久太郎は、本気神社で魔人(マジン)・千夜が荒仁の身体ごと乗っ取ろうとしているという情報を仕入れる。それを伝えられた荒仁は、千夜に真実を聞こうとする。しかし、千夜は姿を消していた。一方で、一夜に取りつかれた真宝は、摩利人にタイマンを申し込む。真宝の兄の事を知っていた摩利人は戸惑うが、タイマンを受け入れる。元々の喧嘩の実力もある真宝は、一夜の力も加わって予想以上の力を持つようになっていった。摩利人の事を無情なまでにボコボコにしてしまう真宝を見て、両グループのメンバーは驚きを隠せない。そして、真宝は自分にとって特別な存在であった拳一郎に決闘を申し込む。満邦の想いを託されていた拳一郎は真宝の暴挙を止めるために受けて立つが、何かあれば止められるのは荒仁しかいないと考えており、戦いの前に荒仁にそう伝えていた。そんな中、再び姿を現した千夜に荒仁は阿久太郎が言っていた内容は本当なのかを問い詰める。そこで、千夜は一夜との過去を正直に話し、荒仁の身体は後に返すつもりだったが、一夜と決着をつけるために荒仁を利用したことを告白する。

暴走する旧友

真宝は拳一郎との戦いでも、一夜と合体をして脅威の力を発揮し勝利する。慕っていた拳一郎に何の躊躇いもなく拳を入れる真宝。その様は周りから見ても異様で、後戻り出来ない程にすべてを一夜に支配されていた。それを目の当たりにした荒仁は、一夜に身体を乗っ取られるかもしれない真宝を救うために、千夜を再び自分の中に取り入れることを決意する。呼びかけに対して、千夜は身体を乗っ取ってしまう可能性があるが、覚悟があるのかと問いかける。荒仁は決して乗っ取られることはないと強い意志を持って、千夜に真宝を救うという願いを聞き入れてもらい、再び合体する。千夜は一夜と、荒仁は真宝と決着をつけ暗闇から救い出すために決戦の地へと向かう。千夜は一夜に、なぜどちらかが死ぬと分かっていて闘いを申し出てきたのかと問う。一夜は実は病に侵されており、もう先が長くない事を知って千夜に自分の人生の幕引きをして欲しかったと打ち明ける。千夜はその思いに答えて、本気の一撃を一夜に入れ二人はその長い因縁に決着をつけた。その時、一夜を真宝が吸収してしまい、ブラック真宝が誕生してしまう。完全に覚醒してしまった真宝は、容赦なく荒仁に殴りかかる。兄の不幸は弱い自分のせいだと責め、もっと強くならなければという考えに囚われる真宝。荒仁は何度殴られても、立ち上がって思いを伝えようとする。荒仁は、真宝が一人ぼっちになることを恐れているのだと気付いた。荒仁の真宝を救い出したいという気持ちから、ついに荒仁は本気人(ほんきびと)になり、真宝に渾身の一発を打ち込む。そして、暴走する中で怯えている小さな真宝に「お前は一人じゃない、仲間がいる。俺もいる。」と手を差し伸べ、救い出したのだった。

『ぶっちぎり?!』の登場人物・キャラクター

主要人物

灯 荒仁(ともしび あらじん)

出典: www.netflix.com

CV:大河元気
主人公。6月6日生まれ。双子座で血液型はA型。家族構成は父・母の三人家族。威血頭(いちず)高校1年生。5年ぶりに故郷に帰省し転校することになる。童貞であることを気にしていて、彼女と甘い学校生活を送る事を目標にしていたが、威血頭高校はヤンキーばかりの学校でその夢は打ち砕かれる。しかし、クラスメイトのまほろに一目惚れして何とか付き合いたいと必死に機嫌を取っている。本気神社で謎の銃を撃ってしまい跳ね返った弾がこめかみにヒットしてしまい千夜に取りつかれる。千夜の力を借りてピンチを乗り越えていくが、そのことで喧嘩が苦手な荒仁は次第にヤンキーたちの闘いやイベントに参加させられるようになる。不良たちの仲間にはなりたくない荒仁だったが、まほろに気に入られたい気持ちからまほろが大切にしている兄・摩利人からの誘いを断れずシグマスクワッドに所属する。幼少期に真宝を不良たちから救えなかったというトラウマがあり、本気人を目指すという目標も捨ててしまい、再会した真宝に冷たい態度を取っている。実家は『チューチュー飯店』という町中華を営んでおり、荒仁も心得があるようで餃子やチャーハンなど作中で料理をしている場面がある。とにかく女の子が好きで、そのせいで失敗もするが、基本的にはまほろ一筋である。

千夜(せんや)

出典: bucchigiri.jp

CV:声 - こばたけまさふみ
血液型は不明で、6月21日生まれの双子座。家族構成も不明である。本人曰く本気人(マジン)であり、荒仁のこめかみに埋め込まれた不思議な銃の弾から荒仁の前に現れた。『アラジン』の作中に登場するジーニーのような風貌をしていて登場シーンも非常に似ている。戦うことが何より好きで、喧嘩やタイマンとなるとテンションが上がって荒仁を強引に喧嘩に参加させたがる。荒仁の腰にある印が濃くなればなるほど合体率は上がり、千夜はその力を荒仁に伝える事が出来るが、荒仁次第な所があり、千夜がどうこう出来るものではない模様。 千夜も主人公と同様に一夜と本気人を目指していた過去がある。一夜と戦うことを目的に魔人として存在しているようだが、一夜のことを気にかけている描写もあり、敵視しているというよりは良きライバルと捉えているようである。基本的には荒仁と一夜以外には認識されていない。

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