ミワさんなりすます(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ミワさんなりすます』とは2021年より青木U平が『ビックコミックオリジナル』にて連載しているコメディ漫画である。2023年にはNHKでテレビドラマ化も果たしている。アラサーの映画マニア・久保田ミワが、ひょんなことから憧れの映画俳優・八海崇の下で他人に成りすましながら家政婦として働くストーリーである。本作の魅力はミワの八海に対する感情の変化であり、神同然として崇めるほど好きだった八海を前に恋心を抱きつつも罪悪感があるという心境を、コメディ要素を多く取り入れて演出している。

『ミワさんなりすます』の概要

『ミワさんなりすます』とは2021年より青木U平が『ビックコミックオリジナル』にて連載しているコメディ漫画である。
青木U平は2013年に『ヤングマガジン』で『リベンジマン』を連載し漫画家デビューする。また2014年に『月刊コミックフラッパー』にて『服なんて、どうでもいいと思ってた。』の連載を開始する。その後も『妹はメシマズ』、『マンガに、編集って必要ですか?』などの作品を公開する。そして2021年に『ミワさんなりすます』の連載を開始し、2023年にはNHKにてテレビドラマ化を果たす。
映画マニアの独身アラサー女性・久保田ミワ(くぼた みわ)はレンタルDVDショップでアルバイトとして働いていた。しかしある日、お客さんに強すぎる映画愛を押し付けてしまい、それが原因でお客さんを怖がらせアルバイトをクビになってしまう。そんなこともあり、ネットで求人サイトを見ていたミワだが、憧れの存在である俳優・八海崇(やつみ たかし)の家で家政婦を募集しているという情報を発見する。募集要項の条件に当てはまらなかったミワであったが、諦めきれず八海宅まできてしまう。そしてひょんなことから、本来採用されるはずであった美羽さくら(みわ さくら)と間違えられて家政婦として働くことになる。
本作の魅力はミワのさまざまな心情をコメディに描いていることである。憧れの存在である八海のそばで働くことになり有頂天になるミワであったが、それと同時に八海に対して嘘をついてしまっているという罪悪感に板挟みになる。その様子をコメディ要素ふんだんにちりばめて書いており、読んでいて思わず笑顔になってしまう力を持った作品である。また八海のミステリアスながらも紳士的な性格も大きな魅力であり、ミワが憧れてしまう気持ちに共感を持つことができ、八海の魅力を通してより読者はミワの心境にリンクすることができる。

『ミワさんなりすます』のあらすじ・ストーリー

なりすましと家政婦

映画好きなアラサー独身女性・久保田ミワ(くぼた みわ)はレンタルDVDショップでアルバイトとして働いていた。しかしある日、強すぎる映画愛がゆえにお客さんを怖がらせてしまうトラブルを起こしてしまい、それが原因でアルバイトをクビになってしまう。落ち込んでいたミワであったが、自宅に帰り小さい頃から憧れの存在であった俳優・八海崇(やつみ たかし)が出演している映画を見て元気を取り戻す。その流れで八海の情報をネットで探っていたところ、求人サイトで八海の家で家政婦を募集していたことを知る。その情報をみて八海の元で働けると喜ぶミワであったが、TOEIC800点以上など厳しすぎる募集条件を満たすことができず落ち込んでしまう。
数日後、ミワは八海の家に出向いてしまう。そこで新しい家政婦らしき人物を見つけるが、その人物が車に轢かれてしまう。ミワはすぐに救急車を呼びその人を見送るが、その女性が搬送された直後に八海のマネージャーである藤浦華純(ふじうら かすみ)が現れる。そしてミワは藤浦に本来家政婦になるはずであった美羽さくら(みわ さくら)に勘違いされてしまう。ミワはすぐに正直に人違いであると言おうとするが、憧れの存在である八海に会いたいがために、身分を偽り家政婦として働き始める。
身分を偽ったミワは藤浦に紹介されついに八海と出合う。そして軽い紹介の後、八海が趣味であるボトルシップの制作をしている間に部屋の掃除をするように藤浦に命じられる。八海と同じ部屋にいることに喜びを感じるミワであったが、嘘をついて八海の側にいる事実に罪悪感を覚えてしまう。その後部屋の換気の際にボトルシップを壊してしまうトラブルが発生するが、八海は快くそのミスを許し、ミワは家政婦として働き始めるのであった。

蔵でのトラブル

身分を偽って家政婦として働いた後にミワは、八海の心の広い人格に惚れつつもこれ以上嘘をついて働くことがつらくなり、真実をしたためた手紙を書く。
手紙を書いた翌日、手紙を懐にひそめ、家政婦として働いていたミワは庭の蔵で八海を見つける。不注意から蔵のカギを誤ってかけてしまい、閉じ込められている八海をミワは助けたが、その後再び八海の不注意により二人で蔵に閉じ込められてしまう。八海は蔵で台本を探しており中々見つからず困っていたが、八海がふと呟いたセリフを元にミワは数多の台本がある本棚から、八海が求めていた台本を探し当てる。そのことに感激し八海はミワにハグして感謝を述べるが、あまりの嬉しさにミワは気絶してしまう。その際に真実を書いた手紙は蔵の窓からどこかへ飛ばされてしまうのであった。
気絶したのち藤浦に蔵のカギを開けてもらい無事に二人は救出された。しかし藤浦はミワの自己主張が弱い性格を見て、海外で長年暮らしていた帰国子女であるかどうか怪しみ、身元を疑い始める。それに対し八海はミワの控えめながらも真摯に物事に取り組む姿勢に好印象を持つ。またミワが他人になりすますために己を必死に律している様を見て、八海は秘密に対して強い覚悟を持っていると直感で感じていた。八海はその面も含めて評価し、今後も家政婦として雇い続けてほしいと藤浦に伝える。その後目覚めたミワは会話の流れで、八海に映画を見ることが好きだと話す。それをきっかけに映画の話を始めた二人は意気投合し、八海はミワに「また映画の話をしましょう」と告げる。
その帰り道、結局真実を八海に告げることができなかったと落ち込むミワであったが、同時に八海の側にもっといたいという感情も芽生え始める。そんな中、ミワは偶然元カレである紀土健太郎(きど けんたろう)に出会う。そして健太郎はよりを戻さないかと話をし、さらに話の流れで「八海はオワコン」と八海をけなしてしまう。それを聞いたミワは健太郎の発言を許すことができず、健太郎の提案を「私にとってはとても大事なものだから」と強い言葉で拒否する。

突然の来訪者と美羽との出会い

ある日、ミワは家政婦の仕事として玄関前と掃除していると一人の青年・泉飛露樹(いずみ ひろき)に話しかけられる。その泉は八海に会いたがっていたが、正式なアポを取っておらず八海に会えずにいた。
ミワはその泉の対応に困っていたが、ふと泉と庭先に咲いていた沈丁花の組み合わせに引っ掛かりを感じる。そして泉の真剣な眼差しにシンパシーを感じたミワは青年をこっそりと八海の家に招き入れる。その後、八海と泉が対面を果たし、泉は涙を流し八海にお礼をいう。泉はかつて暴力団に所属していたが、八海との出会いをきっかけに役者の道を目指し、暴力団から足を洗っていたのであった。結果として俳優として八海との共演は一度しかなかったが、暴力団から足を洗うきっかけとなった八海に感謝を述べに来たのであった。八海がミワになぜ泉を家に招き入れたのかと聞くと、ミワは「泉と八海の共演シーンを、その映画のキーアイテムでもあった沈丁花をきっかけに思い出した」と答える。その答えを聞いて八海はよりミワに関心を向けるのであった。
後日、家政婦の仕事の帰りにミワは美羽さくらに出合う。さくらは近場のカフェでミワが家政婦として働いていることを淡々と聞き出す。ミワは偽って働いていることに罪悪感を覚えていたため、さくらに問い詰められるのではいかと覚悟を決めていた。しかしミワの予想に反して、さくらは怒っておらず「八海の様子を教えてほしい」とミワに話しかける。さくらも八海の大ファンであり、八海の様子を嬉しそうに聞き始める。その様子を見てミワも「同じ同士を見つけた」と嬉しくなり、しばし二人で八海について楽しく語り合うのであった。
また後日、話の流れでさくらとミワはミワの家で八海に渡すためのクッキーを作ることになる。クッキーを作りながらミワは「さくらになりすましたまま家政婦を続けていいのか?」とさくらに聞くが、さくらはそれを了承する。その代わりにさくらは「家政婦として働けなかった分として、せめて自分が作ったクッキーを八海に渡してほしい」とミワに頼み込む。ミワはその頼みを了承し、次の仕事で八海にクッキーを渡すことを約束する。

BAR らすべがす

ある日、ミワはさくらとの約束を果たすために勇気をもって八海にクッキーを渡す。しかしさくらはクッキーの袋の中にミワの連絡先を書いた手紙を忍ばせており、八海はその手紙を受け取ってしまう。ミワはただのファンであるにも関わらず失礼にも八海に手紙を渡してしまったという事実に落ち込んでしまい、家政婦の仕事の帰り道一人涙を流してしまう。そして涙を流していた時に、八海からミワに連絡が来る。八海自身はミワと映画の話をしたいと思い、ミワと仕事場ではなくプライベートで会いたいと連絡したのであった。それに対してミワはあまりの嬉しさに呆然としながらも、八海とプライベートであう約束を取り付けるのであった。
後日、八海とミワはとあるレストランで待ち合わせをしていた。八海とミワは無事に出会うことができるのだが、ミワは緊張しすぎてしまって八海の顔を見ることができずにいた。しかし八海の巧みな話術により、いつしかミワの緊張はうまくほぐされ、二人で映画の話を楽しむようになっていた。
会話が弾んだ二人は店を変え、有名人御用達のBAR「らすべがす」を訪れる。しかしらすべがすについて早々、八海はお手洗いにいってしまう。しばらく一人残されていたミワであったが、そこに海外の凄腕監督であるニコラス・シラーがらすべがすに訪れる。らすべがすの店員がニコラスと話し合っていたが、ニコラスの気難しい性格もあり気まずい空気になってしまう。そこに場違い感を感じたミワはらすべがすを早急に立ち去ろうとしたが、うっかりニコラスに飲み物をこぼしてしまう。ニコラスはその事に激怒したが、お手洗いから戻ってきた八海が間を取り持ち、なんとかその場を収める。ニコラスと八海は映画の話をし、盛り上がっていたが、八海が上手くミワに会話を投げかける。それに答えるためにミワは膨大な映画の知識を披露し、ニコラスを喜ばせる。
ニコラスと別れた帰り道、八海はミワに「楽しかった」と気持ちを述べる。さらにミワに対して「かけがえのない人だ」と続けて話し、ミワはその言葉を嬉しさのあまり呆然と聞いてしまうのであった。

『ミワさんなりすます』の登場人物・キャラクター

久保田ミワ(くぼた みわ/演:松本穂香)

29歳独身の女性。ショートな髪型が特徴である。
性格は控えめで引っ込み思案。学生の頃から自己主張を控えていたせいで、人に意見するのが苦手である。しかし一途な性格であり、趣味である映画には並々ならぬ愛情を持つ。また幼いころから八海を追いかけており、彼が出演している映画をすべて観賞するほどである。
趣味は映画観賞で年に150本以上鑑賞している。メモをしながら鑑賞するのが癖であり、その癖も相まって映画の特徴的なシーンの時間を記録するほど映画に造詣が深い。
映画好きなこともありレンタルDVD屋でアルバイトをしていたが、映画愛が強すぎるがために客を怖がらせてしまいクビになる。その後、美羽さくらに成りすまし八海の家の家政婦として働く。

八海崇(やつみ たかし/演:堤真一)

54歳の男性。グレーの口髭が特徴的なダンディな男性。日本を代表する国際的な俳優であり、本名は横山崇である。
性格は穏やかで紳士的な男性であり、誰に対しても優しい態度で接する。言葉使いも丁寧であるが、本心を誰にも悟らせないような一面がある。
趣味はボトルシップ作りで、佐藤ハムが好物である。

美羽さくら(みわ さくら/演:恒松裕里)

イギリス帰りの帰国子女。セミロングの髪型が特徴である。
性格は冷静沈着。はっきりとものを言う性格であり、サバサバとした一面を持つ。
八海のファンであり、八海のことを語るときは感情がはっきりと表れる。映画もよく見るが、倍速で見る習慣がある。

藤浦華純(ふじうら かすみ/演:山口紗弥加)

八海のマネージャー。明るい髪が特徴的な女性。
完璧なマネジメントをし、八海をサポートしている。

泉飛露樹(いずみ ひろき)

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