柚木さんちの四兄弟。(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『柚木さんちの四兄弟。』とは、月刊雑誌『ベツコミ』の連載漫画である。累計100万部を突破した人気漫画『ハツ*ハル』の作者、藤沢志月の次作として注目を集めている。両親を亡くした柚木家の四兄弟が、数々のハプニングに遭遇しながらも、周りに支えられながら力いっぱい暮らしている日常を描く。笑いあり、涙あり、感動ありの未体験ファミリーストーリーである。

柚木隼「俺たち兄弟はどんなことがあってもずっと家族なんだから、4人で支えあって生きていこう」

花火を見上げる隼(右下)、尊(左)、湊(中央)、岳(右上)

夏の花火大会で兄弟4人揃って花火を見た時の隼の言葉である。両親が亡くなって以来、隼は弟達の面倒を見なければという責任感のあまり、なかなか弟達に頼ることができていなかった。だが、花火大会で岳が行方不明になった事件をきっかけに、隼は、自分も役に立ちたい、弟である岳を幸せにしてやりたいという湊の思いを知る。1人で抱え込んでいたことを反省した隼は、「俺たち兄弟はどんなことがあってもずっと家族なんだから、4人で支えあって生きていこう」と言い、兄弟助け合って生きていこうと決意した。

柚木尊「そんな湊もすべてかわいい」

湊とは小さな頃から仲良しなのかという桜の問いに対する尊の答えである。お昼休みに桜と出会った尊は、湊や宇多、悠真とともに生徒会室で弁当を食べる。仲良さげな兄弟の様子を見た桜が「小さい頃からずっと仲良しなの?」と聞くと、尊は「昔はいがみあっていたこともある」と答え、一時は湊を疎ましく思ったと前置きしたうえで、あるとき「そんな湊もすべてかわいい」と思うに至ったと答えた。尊のブラコンぶりが集約された一言である。

柚木湊「…人を好きになるってありのままのそいつを好きになるってことだろ!男だからとか女だからとかって型にはめたりおまえのことちゃんと見てねぇやつなんかにふりまわされるな!」

告白された相手と付き合う中で悩む宇多に湊がかけた言葉である。初めての告白を受けて男子と付き合い始めた宇多は、始めこそ大はしゃぎだったが、「女の子らしくした方が良い」と言われて悩んでしまう。だが、その話を聞いた湊は、「…人を好きになるってありのままのそいつを好きになるってことだろ!男だからとか女だからとかって型にはめたりおまえのことちゃんと見てねぇやつなんかにふりまわされるな!」と言って怒りを露わにした。今の宇多を認める湊の言葉を聞いた宇多は元気を取り戻し、相手の男子に謝って別れを告げた。

柚木湊「俺たちは自分以外の人間にはなりたくてもなれねーけど、自分がどんなやつになりたいかは自分で決めれるよ!!」

落ち込む椿(下)を励ます湊(中央)

落ち込む椿を励ます湊の言葉である。優秀な姉・桜をもつ椿は、姉と自分を比較し、強い劣等感に苦しんでいた。「自分なんかいなくていいんだ」と泣く椿を見た湊は、やはり優秀な尊を兄に持つ自分も同じように考えることがあるが、それは自分の思い込みでしかないと話す。生きづらい世界を作っているのは「きっと人からいらないと思われている」と考えてしまっている自分なのだと告げた湊は、「俺たちは自分以外の人間にはなりたくてもなれねーけど、自分がどんなやつになりたいかは自分で決めれるよ!!」と椿を励ました。その言葉に勇気をもらった椿は、まずは自分が自分を肯定しようと考えられるようになった。

柚木岳「俺がにいさんを大切にするのはにいさんが俺を大切にしてくれてきたからだ。人というのは与えられたもので構成されてゆくもの。俺がやさしいとするならばそれはみんなにいさんたちが俺にくれたものでできあがったものだ」

弟の優しさに感動する湊に岳がかけた言葉である。姉を嫌う椿を目の当たりにした湊は、元気をなくしていた。その様子を見た岳はお気に入りの食べ物を分けて元気づけようとする。少しでも元気に貢献できるなら好物がなくなっても良いという岳の優しさに感動した湊は、「どうして俺の弟はこんなに優しいんだろう」とその気持ちをそのまま口にした。それを聞いた岳は、「俺がにいさんを大切にするのはにいさんが俺を大切にしてくれてきたからだ。人というのは与えられたもので構成されてゆくもの。俺がやさしいとするならばそれはみんなにいさんたちが俺にくれたものでできあがったものだ」との考えを伝える。この岳の言葉に感動した湊は、岳に抱きついて最大級の愛情表現を見せた。

霧島宇多「一緒に遊びたいって思ったら友達なんだよ!!」

いじめられていて宇多の言葉に救われた椿

椿をいじめる女子達に対する宇多の言葉である。地味な女子である椿が学年女子の憧れの的である尊や悠真と仲良くしているのが気に入らない女子達は、理不尽に椿に突っかかってきた。そのいじめの場を目撃して止めに入った宇多が椿を友達だと言うと、女子達は全然違うタイプの宇多と椿が友達だとは信じられないと言う。それを聞いた宇多は、「タイプってなんだ!!違おうがなんだろうが一緒に遊びたいって思ったら友達なんだよ!!」と言い放った。宇多が他の意見など気にする事なく堂々と友達だと宣言したことで、椿は少し自信を持ち、宇多を本当の友達だと思えるようになった。

二階堂悠馬「他人がどんだけバカにしてきても、信頼できる友達がいれば、それが自信になって自己肯定感につながる。そうすると自然に自分をバカにするやつがいなくなる」

椿に語り掛ける悠馬

自信を無くした椿に悠真がかけた言葉である。宇多や桜を前に劣等感を覚える椿は、周りからの当たりの強さに悩んでいた。合理的で核心をつく悠真の言葉に心の傷を抉られた気になる椿だが、彼は「弱い個体を理不尽に攻撃していいなんて考えてるやつは発展途上か救いようのないバカだ。友達になるならそういうのじゃないやつにしろ」「他人がどんだけバカにしてきても、信頼できる友達がいれば、それが自信になって自己肯定感につながる。そうすると自然に自分をバカにするやつがいなくなる」と、励ましの言葉をかけた。結果的に椿は宇多という条件通りの友人を得て自信をつけることができ、悠真の言葉が正しかったことを実感するのである。

『柚木さんちの四兄弟。』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者初の高校生不在の作品

作者・藤沢志月は青春ラブコメディを基調としているが、総じて高校生を主人公としている。『柚木さんちの四兄弟。』以前に単行本化されたものは8作品、および短編集が一冊だが、どれも高校生が中心である。同作は隼が高校教師をしているものの、メイン級の登場人物としては、高校生が登場していない。

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