SMASH(海外ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『SMASH』とは、2012年2月よりアメリカ合衆国で放送開始されたテレビドラマ。ミュージカル制作の裏側を描いた、ショービズ・サバイバル・ドラマである。劇中では数々のヒット曲のカバーの他、魅力的なオリジナル楽曲が多数登場する。過酷なショービズ界の裏側を描きつつ、登場人物たちの恋愛模様も楽しめるのも魅力的である。主人公のカレンは、マリリン・モンローを題材とした新作ミュージカルの主演オーディションに挑む。落選はしたが、高い歌唱力が審査員の目にとまり、アンサンブルとして稽古に参加することとなる。

『SMASH』の概要

『SMASH』とは、2012年2月より、アメリカ合衆国で放送開始されたテレビドラマである。スティーブン・スピルバーグのアイディアから企画が始まり、長い年月を経て、NBCで放送が開始される。制作総指揮のスピルバーグをはじめとするスタッフ陣は、映画・TV・ブロードウェイ作品のプロデューサーとして高い評価を受けている、グレイグ・ゼイダン&ニール・メロン(制作総指揮)、ブロードウェイ・映画で活躍するマーク・シェイマン(制作総指揮/作曲・共同作詞)&スコット・ウィットマン(制作総指揮/共同作詞)、劇作家として多くの賞を受賞している、テレサ・レベック(企画/制作総指揮/脚本)、これまでに30本以上のミュージカル作品の振り付けに携わり、本作にもダンサーとして出演しているジョシュア・バーガッセ(振付)、数々の映画やTVシリーズで衣装担当の経験があるモリー・マギニス(衣装)と、各界のビックネームが集結。シーズン1の視聴率は好調で、2013年2月から2013年5月まで第2シーズンが放送された。
主人公のカレンはスター女優を目指して、ウェイトレスとして働きながら、日々オーディションに挑戦し続けている。あるとき、マリリン・モンローの人生を題材とする新作ミュージカルの主演オーディションが開催される。カレンはマリリン役を勝ち取るべく、オーディションに応募するが、経験豊かな中堅女優、アイヴィーもこのオーディションを受ける。オーディションの結果、マリリン役はアイヴィーに決定するが、カレンはアンサンブルとして稽古に参加する。オーディションの頃からカレンの実力を見抜いていた演出家のデレクは、アイヴィーが不調に陥った際に、カレンをアイヴィーの代役として立てる。だが、主演役はスポンサーを納得させるために、有名スターのレベッカとなる。様々なトラブルに見舞われながらも、新作ミュージカルの名前が『ボムシェル』に決定し、いよいよボストンでのプレビュー公演を迎える。初日の公演が無事に終了したが、ピーナッツアレルギーを持つレベッカのスムージーに何者かがピーナッツを混入させ、レベッカが救急搬送される事態に。主演女優降板により、急遽主役を務めることになったカレンは何とかリハーサルをこなしていくが、精神的に余裕の無い状況のカレンは、アイヴィーと彼氏のデーブが一夜を共にしたことを知り、パニックを起こしてリハーサル中に逃げ出してしまう。このままカレンが戻らなければアイヴィーが主役となるが、デレクの励ましを受けたカレンは、主役として舞台に立つ決心をする。圧倒的な歌声で観客を引き込み、ラストシーンでスポットライトの下、喝采を浴びて、シーズン1は幕を閉じる。
シーズン2は、『ボムシェル』のその後と、もう一つの新作ミュージカル『ヒット・リスト』の制作裏が描かれている。無名の新人女優であるカレンが主役の座を勝ち取るという、誰も予想しなった展開で『ボムシェル』のプレビュー公演を終えたが、次はいよいよブロードウェイ公演に向けて、関係者たちは慌ただしく動いていた。カレンとの関係が悪化したアイヴィーは、『ボムシェル』とは離れ、オーディションを受け続ける日々に逆戻りすることとなる。一方、成功したかに見えたカレンは『ボムシェル』の次回公演に向けて準備をすすめていたが、バーで偶然耳にしたジミーの曲が忘れられず、曲の売り込みを交渉する。最初は断られるが、デレクの協力も得ながら、ジミーとカイルを説得し、新作ミュージカル『ヒット・リスト』の上演準備をすすめる。『ヒット・リスト』の制作と出演に専念するため、カレンは『ボムシェル』の主演を降りる。カレンの降板をきっかけに、『ボムシェル』の制作陣はアイヴィーを主役に再び起用し、このことをきっかけに、カレンとアイヴィーは和解する。また、『ヒット・リスト』公演の準備を経て、ジミーとカレンは恋人同士となる。さらに、ジュリーの後ろ盾を経て、『ヒット・リスト』のブロードウェイ進出が決定する。アイリーンやアイヴィーをはじめとする関係者たちの奔走により、『ボムシェル』の評判も徐々に上がっていき、2つの新作ミュージカルはそれぞれノミネートされ、トニー賞の授賞式を迎えるのだった。

『SMASH』のあらすじ・ストーリー

第1シーズン

新作ミュージカルの制作と主演女優のオーディション

主演をめぐるオーディションの1シーン。カレンは圧倒的な歌唱力を審査員に見せつける。

人気作詞作曲家コンビのジュリアとトムは、新たなミュージカルの制作に着手していた。内容は、マリリン・モンローの人生を題材にした作品だ。創作意欲にかられた二人は早速デモテープを作成するが、トムのアシスタントのエリスがその映像をネットに流出させてしまう。それがもとで、新作ミュージカル制作の噂が業界内に広まり、上演に向けてプロデューサーのアイリーンが動き出す。有名演出家のデレクも加わり、主演のマリリン役のオーディションを開催することを決定する。トムは友人でもあり、自身が作曲の担当をしているミュージカルで脇役を務めている女優、アイヴィーをマリリン役に推薦する。一方、舞台女優を目指す主人公のカレンは、カフェで働きながらオーディションを受け続ける日々を送っていた。アイヴィーとカレンはマリリン役の座を巡るオーディションを受け、それぞれ圧倒的な歌唱力を審査員たちに見せつける。

難航する稽古とそれぞれが抱える人間関係の悩み

カレンはアイヴィーに歩み寄ろうとするが、主役の座をとられると危惧しているアイヴィーはカレンに冷たく当たる。

オーディションの結果、アイヴィーがマリリン役を勝ち取る。だが、実力を買われたカレンはアンサンブルとして参加することになり、新作ミュージカルの稽古が本格的にスタートする。カレンは周りと上手くなじめず、経験不足ゆえ、アンサンブルとしての歌い方に悩んでいた。田舎出身であることを度々からかわれ、「少しは後輩を助けたらどうなの?」と、怒りと悔しさの感情を同僚にぶつける。そうした中でカレンは次第に仲間と打ち解けていき、ボビーやジェシカをはじめとするアンサンブルのメンバーと仲良くなる。アンサンブルとしての歌い方も教えられ、経験を積みながら見事に成長をとげる。一方、アイヴィーは最終選考で落とされたはずのカレンが稽古に参加していることに戸惑い、アンサンブルの中でもひときわ目立つ彼女の歌唱力の高さに焦りを感じる。また、アイヴィーはオーディション中からデレクと深い関係になっていたため、彼がカレンに目をかけたり褒める度に、いらだちを募らせていた。
出演者だけではなく、制作陣の悩みも尽きない。ジュリアがかつて不倫関係にあったマイケルが、マリリンの夫であるジョー・ディマジオ役の第1候補となる。反抗期の息子や養子縁組手続きの難航など、すでに色々な問題を抱えているジュリアは、過去の過ちを繰り返さないためにもこれに反対するが、ディマジオ役はマイケルに決定する。一方、プロデューサーのアイリーンは、新作ミュージカルを無事に世に出すべく奔走するが、業界内では大きな影響を持つ夫、ジュリーの妨害工作に悩まされていた。ジュリーとは離婚訴訟中であり、「ミュージカル制作はあきらめろ」と度々絡まれる。

アイヴィーの不調と新たな主役候補

アイヴィーの母親であり、大女優のリー・コンロイが稽古を見学にやってきた。母親の歌声を聴いて、自信喪失してしまうアイヴィーを、デレクは優しく慰めるが、主役を務めるプレッシャーや、カレンがいることの焦りから、アイヴィーはのどに不調を抱えて声が出なくなってしまう。それに加え、「有名なスターが出演すること」を投資家たちが出資の条件としたため、アイヴィーは絶望する。薬が手放せなくなり、ついにはハイになったまま出演中の舞台で歌い、そのまま夜の街に飛び出してしまう。そこでカレンと出会い、初めて互いに本音で話す。舞台を放棄してブラックリストに載ったアイヴィーは、しばらく全ての公演に出ることができなくなってしまった。投資家たちの出した条件に当てはまる女優を、製作陣はリストアップする。その結果、ハリウッド女優のレベッカ・デュバルを起用する方向で話が進むが、キューバで足止めをくらい、稽古に間に合わないと一報が入る。デレクはレベッカ到着までの代役に、カレンを立てる。

それぞれが更なるトラブルに直面

マイケルからの熱烈なアプローチに押され、ジュリアは再び不倫という過ちを犯してしまう。ジュリアの書いた歌詞をみて嫌な予感がした夫のフランクは、彼女を問い詰め、ついには不倫が発覚する。フランクと息子のレオが出ていき絶望するジュリアに、トムは厳しい言葉をかけつつも、相方として支える。そのころ、カレンは同居中の恋人、デーブとすれ違い気味になっていた。稽古が忙しいというのも理由の一つだが、デーブに気があるそぶりをみせているRJの存在が、2人のすれ違いを生んでいた。また新たな主役候補、レベッカが到着するが、ここでまさかの問題が発生する。下手とまではいかないが、彼女には歌唱力が圧倒的に足りないのだ。レベッカもそこは自覚があるのか、ストーリーの改変案や新たなアイディアを提案し、それにスタッフたちは振り回される。レベッカはカレンを気に入り、食事や買い物に2人で出かけるようになるが、そのせいでカレンと一緒に過ごせないデーブはあまり良い顔をしない。レベッカもなぜかデーブに失礼な態度で、ますますカレンとデーブは険悪なムードになる。

新作ミュージカル『ボムシェル』のボストンでのプレビュー公演

ミュージカルのタイトルも決定し、いよいよボストンでのプレビュー公演が始まった。その頃、デーブはカレンにプロポーズするためにボストンを訪れていたが、初の大舞台を控えるカレンはそれどころではない。なかなか思い通りにことが運ばず、1人夜の街で過ごすデーブは偶然アイヴィーと出会う。寂しさを募らせたデーブと、デレクがレベッカにまで手を出したことにショックを受けたアイヴィーは、酔った勢いで一夜を共にしてしまう。
トラブルはあったものの、リハーサルを終えて公演初日を迎える。舞台を成功させるためにチームで手を尽くすが、公演初日の結果は今一つであった。そして、何者かがレベッカにアレルギー発症の元となるピーナッツ入りのドリンクを飲ませ、レベッカは救急搬送される。たった一日で主役が降板してしまい、制作陣は大混乱に陥る。マリリン役を、カレンとアイヴィーのどちらにやらせるのか、スタッフたちはすぐに協議に入る。これまで積んできた経験から、マリリン役はアイヴィーに相応しいという声が多く上がったが、デレクの強い後押しで代役はカレンに決定する。また、問題はレベッカ降板の件だけではない。公演初日の結果をふまえて、ラストシーンに1曲新曲を追加することになり、トムとジュリアは大急ぎで作詞作曲に取り掛かる。

喝采(スマッシュ)

リハーサルから逃げ出したカレンに対し、デレクは「いつも君はマリリンみたいだった。」と話す。

すさまじいプレッシャーの中、リハーサルに取り組むカレン。アイヴィーと自分の恋人が寝たことを知らないカレンは、代役に選ばれたことをデーブに報告する。一方、アイヴィーは自分のしたことに罪悪感を感じ、デーブと一夜を共にしたことを、カレンに告白する。それを聞いたカレンはパニックになり、リハーサルの真っ最中に逃げ出してしまう。カレンがパニックになった原因を知ったデレクはデーブを殴る。衣装部屋の奥にうずくまるカレンを見つけたデレクは、カレンがマリリンに見えていたことを話す。そして、いまや痛みまでもマリリンと同じだと伝える。その頃、アイリーンたちはアイヴィーに衣装を着させ、代役を急遽務めてほしいと話していた。もうカレンは戻ってこないと誰もが思っていたが、デレクと一緒に戻ってくる。その表情は覚悟の決まった女優の顔であり、アイヴィーを強いまなざしで見つめていた。
リハーサルが終わり、いよいよ本番を迎えた。問題なくステージは進行し、残すは、急遽付け加えたラストの1曲のみである。舞台袖で待機するカレンにデレクは「この先何が起ころうと自分を疑うな。君はスターだ」と伝える。カレンは最後の一曲を、スポットライトの下、堂々とマリリンとして歌い上げる。観客からは大きな喝采(スマッシュ)が起こり、ミュージカル『ボムシェル』、そして『SMASH』のシーズン1は幕を閉じる。

第2シーズン

もう1つのミュージカル

『ボムシェル』のプレビュー公演は、カレンの大健闘で成功をおさめる。デープとの浮気が原因でカレンとの関係が悪化したアイヴィーは、『ボムシェル』から離れて、オーディションを受け続ける日々に逆戻りしていた。一方でカレンは、話題の新人女優として活動を続けながら、『ボムシェル』のブロードウェイ進出に向けて関係者とともに準備を進める。忙しい日々の中、カレンは偶然立ち寄ったバーで、ジミーの歌声を耳にする。そのときの楽曲が忘れられないカレンは、曲の売り込みをジミーに提案するが、軽くあしらわれる。一度は断られたが、ジミーの友人であるカイルの説得により、再びジミーと交渉する。カレンとカイルの熱意が伝わり、ジミーの楽曲でミュージカルを制作することとなる。新作ミュージカルを本格的に世に出すために、カレンはデレクに演出家として協力するように頼みこむ。デレクはあまり乗り気でなかったが、女性関係のゴシップにより業界から干されかけていたデレクは、結果を出すためにこれに応じることにした。

『ボムシェル』と『ヒット・リスト』

『ヒット・リスト』を通じて2人の仲も深まっていく。

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