告白する相手を間違えました(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『告白する相手を間違えました』とは、2015年にBコミから発売された、原案がちゃいで、作画がちごによる恋愛漫画である。ちゃいのケータイ小説を基に漫画化された。『コミックシーモア』や『Kindle』で閲覧可能な電子書籍である。神山菜穂(かみやま なほ)は、野瀬哲平(のせ てっぺい)に思い切って告白。しかし、振り返ったのは野瀬と同じ赤髪の見知らぬ青年、大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)だった。間違いの告白から始まる恋愛物語である。

優芽(ゆめ)

菜穂の学校での友達。同じクラスである。しっかり者の性格で、ズバズバとものを言う。原作の表記は「優芽」のままで、フルネームは不明。
菜穂が野瀬と間違えて祐介に告白したとき、最初に相談したのは優芽である。優芽は、すぐに祐介に本当のことを言うように菜穂に言うが、菜穂は出来なかった。だが、優芽は話を聞いてあえて言わずにもう少し祐介と付き合うことを提案する。その魂胆は、菜穂が祐介と付き合うことで、本命の野瀬に近づくことができると考えたからだ。そんな生半可な気持ちで付き合うことに、菜穂は違和感を覚えていた。そして、祐介と過ごすうちに菜穂は祐介と付き合うことは、祐介を知るためであって、野瀬に近づく為ではないと思った。だから優芽が、祐介のことが本気か聞いてきたとき、菜穂ははっきり本気であると伝えた。優芽はそこから2人の恋愛を応援してくれている。

北高の野球部

横山(よこやま)

北高の2年生。菜穂と同じクラス。人見知りせず、いつも明るい性格で誰からも愛されるキャラクター。菜穂も横山とは喋りやすいと思っている。爽やかで、ルックスも良い横山。所属している野球部のなかでは一番人気である。
菜穂が応援委員になり、野球部の見学に行った時、横山を見に来る後輩たちで席が埋まっているほどだった。「横山先輩ほんとにかっこいい」「付き合いたい」と後輩からハートマークが飛んでいた。横山は愛想も良いので、ギャラリーの後輩たちに手を振って挨拶している。それがまた横山の人気を呼ぶのである。
横山は、相良が南高の野球部にバットで殴られた事件を知っていた。相良が犯人を野瀬と祐介と報告したことで、それ以来横山は野瀬と祐介を嫌っていた。だから菜穂が祐介と付き合っていると知った時、横山は反対した。そこに、菜穂への恋愛感情があったということもあるが、祐介が菜穂の彼氏ということに猛反発であった。「あんな奴最低だ」と横山は菜穂に祐介の悪口を言う。それを聞いた菜穂は、怒り心頭で横山の頬を叩いた。だが横山は頬を殴られても、菜穂に告白した。横山は本気で菜穂に惚れていたのである。
だが、菜穂が野瀬と祐介が相良暴行事件の犯人でないと知ってから状況が変わる。菜穂は、真犯人の牧田を探すために必死であった。証拠はないが、祐介を救いたい気持ちでいっぱいの菜穂。そんな菜穂の言動を聞いた横山は「神山がそんなにいい人と言うのなら一回会ってみたい」と言い出した。そして、横山は祐介に会い、犯人が牧田であることと、相良が脅されて野瀬と祐介を犯人に仕立てあげられたことを知る。再会した横山と祐介は、メールアドレスを交換するほどまで和解した。
横山はそこから菜穂の牧田捜索活動に協力してくれた。当初真美と菜穂の2人で元南高の野球部の先輩を探す予定だったが、男の子がいた方が安心だということで横山も加わった。武石宅に行った際、反省の色を見せない武石に「謝ってください」と申し出た横山。横山は度胸があり、頼りになるのである。だが、武石に騙され横山は部屋を追い出された。そのとき横山はすぐに祐介にメールをした。そのおかげで野瀬と祐介が助けにきて、事なきをえた。
横山が菜穂のことが好きだったのは事実であるが、祐介の優しさを知ってからは菜穂と祐介を温かく見守る。

相良(さがら)

北高の野球部マネージャー。冷淡で、笑顔をほとんど見せないキャラクター。マネージャーの仕事に責任を持ち、しっかり仕事をこなす。
菜穂が応援委員になり、野球部に見学にきたとき初対面の菜穂に向かって「もうすぐ試合で忙しいんです。横山くんはエースです。恋愛にうつつを抜かしている暇はないんです。初対面でこんなこと言うのもなんですが、私はあなたを好いていません」と言い切った。なぜ相良がそんな風に冷たい態度を菜穂にとったかというと、横山を見にくる他のギャラリーたちと同じように野球部のためではなく、横山目当てで菜穂はやってきたと相良は思い込んでいたからである。横山から応援委員として菜穂が見学に来たということを聞いた相良は、自分の勘違いを反省し、菜穂に謝った。だが、なかなか菜穂との距離は縮まらず、相良は冷たい態度を取り続ける。
菜穂が相良が南高の野球部に暴行された過去があると知ったのは、この見学に来た時である。横山狙いの後輩たちが相良の過去を話していたからだ。はじめはその犯人が「南高の野球部」ということしか知らなかった菜穂だが、相良の前で祐介の話をすると明らかに様子がおかしかった。そして横山の話や北高のキャプテンから話を聞き、その犯人が祐介と野瀬であることが判明した。
だが、菜穂は相良が先輩の牧田に脅されて、嘘をついて野瀬と祐介を犯人と報告したことを知る。どうにか祐介たちの誤解を解くために、相良に「祐介に会ってほしい」とお願いをする。だが相良は「会いたくない」の一点張りだった。真相を明らかにして、誤解を解くために菜穂は真美、横山と協力し尽力した。さらに、野瀬と祐介も牧田本人に会いにいき、相良が今も深い傷をもって苦しんでいることを伝える。牧田は謝罪動画で相良に謝った。それを見た相良は、大粒の涙をこぼす。今まで抱えてきた辛い過去と、野瀬と祐介をずっと苦しめてきたことに相良はようやく向き合う。そして菜穂にもお礼を言った。
相良は祐介と野瀬が犯人でないことを南高と北高の試合終わりに告白する。にわかに信じない北高野球部員たちに、相良はいかに祐介と野瀬が良い人であるかを力説する。その相良の話を聞いた南高の野球部の監督が野瀬と祐介に謝ったことで、皆の誤解を解いた。一年間に及ぶ長い苦しみから抜け出せた相良は、スッキリした顔でマネージャーの仕事をするようになった。

南高

大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)

菜穂が間違えて告白した人物。南高の2年生。赤髪で、ピアスを開けてアクセサリーもしている。野瀬との見分け方は、祐介は目がつり目なところと前髪がセンターパートなところ。見た目はかなり厳つく、笑顔をほとんど見せない不愛想な性格だ。だが、実はくまるんのキーホルダーが好きだったり、メールには顔文字をつけて送るタイプ。見た目は怖いが、中身は可愛いところがある。虫も苦手である。
菜穂に告白された時、面白そうという理由で菜穂の告白をOKした。そのままアドレスを交換し、菜穂と付き合うことにした。菜穂が祐介のタイプであったことも関係しているが、菜穂とのメールや駅で会って話していくうちに、祐介は菜穂のことを本気で好きになる。だから、菜穂が野瀬と祐介を勘違いして告白したということを聞いた時も、祐介は別れなかった。「絶対に俺のことを好きにさせる」と言って、菜穂と距離を縮めていく。菜穂が本気で祐介のことを好きになり、菜穂は祐介に告白をする。その時祐介は菜穂を抱きしめて、本気で喜んだ。
南高では、野瀬と祐介はコンビである。表では明るい性格の野瀬が「光」で不愛想な祐介が「影」と言われている。だが、2人をよく知る真美から言わせると、本当の影的存在は、野瀬である。それには、相良の暴行事件が関係している。
祐介は、高校1年まで元南高の野球部である。当時は真面目に野球をし、髪も黒髪で祐介は腕のあるバッターだった。毎日放課後遅くまで祐介は素振りをするほどまで熱心だった。だが、先輩の牧田は、祐介の才能に嫉妬していた。だから、「1年のくせに試合に出るな」と野瀬と祐介に因縁をつけ、挑発。そのことにカッとなった野瀬が牧田に反抗したことで、牧田は相良に暴行する。そして、その犯人を野瀬と祐介にしろと相良に脅した。怖くなった相良は、本当のことを言えずに、南高に祐介と野瀬に暴行されたと嘘の報告をした。野球が大好きだった祐介は、このことにかなりショックを受けた。また、相良に「あなた達が余計な事をしたせいであたしがこんな目に遭ったのよ。どんなに謝られてもあたしの傷は一生消えない!あなた達は絶対に幸せになんかなれないから!!」と言われたこともあり、祐介は野球からも離れて、自分は幸せになれないと思い込んでいた。野瀬は、祐介が女の子と付き合っても、相良絡みの話が出ると別れていくことを何度も見ていた。だから「祐介は俺が守らなきゃいけない。俺達は幸せになれない。俺が心を開けるのは同じ傷を負った祐介だけで、祐介もまた同じだ」と野瀬はある意味祐介を縛っていた。そんな2人の関係性を真美は知っているので、野瀬のことを「影」だと言っていたのである。
祐介は、菜穂が祐介の過去を知った時、自分は菜穂の隣に立つべき人間でないと告げる。だが菜穂は、祐介のことを本気で好きだった。だから、うやむやな話だけで別れるつもりはなく、祐介のことを守りたいと菜穂は野瀬に言う。そこから、菜穂は真犯人の牧田に繋がるまで奮闘。結果、祐介を苦しめていた誤解も解くことができた。
祐介は、照れ屋で恥ずかしがり屋なところがあるので、物語序盤では自分の気持ちをSNSに呟いていた。「菜穂が可愛い」「菜穂と手を繋ぎたい」という気持ちさえも、祐介は菜穂に伝えられなかった。だが、菜穂と一緒に過ごすうちに素直に気持ちを伝えるようになった。物語の終盤では、菜穂の私服姿を「可愛い」と褒めている。そして、自分から菜穂の手を繋ぎにいっている。
高校卒業後の進路は決まっていなかったが、相良の事件が解決したことで、もう一度自分の好きな野球に携わりたいと決めた祐介である。

野瀬哲平(のせ てっぺい)

祐介と同じ赤髪の青年。南高の2年生。祐介とは小学生の頃から仲が良く、ずっと一緒にいる。性格は明るく、笑顔が爽やか。だが、感情的になることも多く、祐介が制することが多い。菜穂が一目惚れした相手。赤髪で、前髪がある。目は大きめで祐介と比べると優しい顔立ち。
祐介と同じく元南高の野球部である。祐介にも劣らず腕のあるピッチャーとして活躍していた。そもそも祐介と出会った頃、なにも分からない祐介に野球を教えたのは野瀬である。だから、野球に関して知識を持ち合わせているのは野瀬だ。
野球部に所属していた頃、野瀬は先輩の牧田に目をつけられる。だが野瀬は物怖じしない性格なので、牧田に反抗する。牧田にしてみれば、野瀬は生意気で癪にさわる存在だった。だから、牧田は北高の野球部マネージャーである相良をバットで殴り、その犯人を野瀬と祐介に仕立てあげた。南高の顧問は、相良の言い分を信じ、野瀬と祐介を野球部から強制退部させた。その時も野瀬は納得がいかず、顧問の胸ぐらをつかんでまで反抗した。それが更なるあだとなり、顧問に無実を信じてもらえなかった。また、相良が「あなた達が余計な事をしたせいであたしがこんな目に遭ったのよ。どんなに謝られてもあたしの傷は一生消えない!あなた達は絶対に幸せになんかなれないから!!」と言い放ったことで、野瀬は責任を感じた。それ以降、「自分は幸せになれない、なってはいけない」と思いながら学園生活を送っていた。
その時告白してきたのが、菜穂の幼なじみでもある新藤真美(しんどうまみ)である。野瀬も真美のことが好きだったのだが、相良の一件があり真美を振っている。また、祐介が野球部を強制退部させられたこと、付き合っていた女の子たちが相良の話を知った途端に祐介から離れていくことをずっとそばで見てきた野瀬は、祐介を守れるのは自分しかいないと思い込んでいた。「祐介を傷つけるものは俺が排除しなければならない」という気持ちをずっと持っていた。
だが、菜穂の存在がそれを変えた。菜穂は、祐介の過去を知っても祐介から離れなかった。ましてや、誤解を解くために頑張った。一時危険な目に晒され、野瀬と祐介が助けに行くことにもなったが、結果的に野瀬と祐介にのしかかっていた負の十字架は、牧田の謝罪動画により消えた。さらに真美が「ゆうちゃんは守られなければならない程弱くないよ。あんたももう自分のこと許してやんな」と野瀬を抱きしめなだめたことで、野瀬は祐介を過剰に縛ることやめる。その後、「祐介が俺を必要としていたのではなく、俺が祐介を必要としていたんだ」と野瀬は気づくことができた。
菜穂を信用することもでき、相良の事件の誤解が解けたあとは、野瀬は菜穂と祐介の恋を応援している。

新藤真美(しんどう まみ)

菜穂の幼なじみ。菜穂のことを昔から「なぽ」と呼ぶ。小学一年の頃は一緒にあそんでいたが、だんだん連絡を取らなくなって、知らぬ間にギャルになっていた真美。今では地元界隈の不良とは大方顔見知りである。真美と菜穂が再会したのは、菜穂がスーパーに買い物に行った時である。祐介と野瀬とは特別仲が良い。原作には描かれていないが、野瀬に屋上で告白したり、祐介と学校で話している描写があるので、おそらく南高の生徒だと思われる。菜穂と家が近く、両親も共働きでほとんど家にいないので、菜穂の家によく泊まる。あまり学校には行っていない。進学校に通う菜穂とは正反対の性格だが、頼りがいがあり、優しいので真美と菜穂は仲良しである。
一時期、金髪の彼氏と付き合っていた。彼と付き合うまでは菜穂とメールを頻繫にしていたのだが、突然連絡がこなくなった。心配した菜穂が真美と久しぶりに会ったのは、金髪の彼氏と一緒に駅にいるところだった。その時真美は、「助けて」というメッセージと新しい電話番号を書いた紙を菜穂に渡して彼氏と電車に乗ってしまう。菜穂が真美のSOSに気が付いたのは、真美が電車に乗ってからだったので菜穂は慌てる。そして、菜穂は祐介に助けを求めた。元々真美と仲が良かった祐介はすぐに野瀬にも連絡を入れて真美を救出した。過剰な束縛に耐えられない真美は、金髪の彼氏と別れる。
真美は、高校1年の頃からずっと野瀬のことが好きだった。だから告白をしたのだが野瀬に振られてしまう。その事情は、野瀬が相良暴行事件の犯人として認知されているから、そこに真美を巻き込みたくないという思いからだった。真美は、一途に野瀬のことを想っていたので屋上で泣く。祐介はそんな真美の横でただ座っているだけだった。真美は、野瀬にやきもちを妬かせたくて祐介にキスをする。それを見た野瀬は、「俺がダメなら祐介かよ」と失望する。ほどなくして、真美は野瀬が自分を振った理由が相良暴行事件に関係しているからだと知る。そこから真美は1人で、先輩の牧田に繋がりそうな人たちの連絡先を持っていた。真美も、野瀬と祐介の誤解を解こうとずっと思っていたのである。
菜穂が祐介と野瀬の過去を知り、真美と横山を協力して先輩の武石に会いに行く。菜穂と一緒に武石宅に閉じ込められるという危険な目にも遭うが、野瀬が助けてくれた。そして、誰よりも責任を感じ、祐介を苦しめるものを排除しようと思っていた野瀬に「あんたももう自分のこと許してやんな」と抱きしめる。この行動は、2人をずっと見てきた真美だからできたことである。
祐介に昔キスしたことを、菜穂が知り菜穂は1人で悶々としていた。だが真美は、野瀬に振られた腹いせに祐介にキスをしたと菜穂に正直に話す。こうして菜穂のモヤモヤも消えて、菜穂は祐介とファーストキスを交わした。
菜穂が祐介と初めて私服でデートする時、真美は菜穂の髪と結い可愛い服を選んであげた。誰よりも2人の恋を応援する良き友人である。

南高の野球部関係者

牧田(まきた)

元南高の野球部。野瀬と祐介が野球部に所属していた頃、彼らの才能に嫉妬し、因縁をもっていた。牧田は武石を連れて野瀬と祐介の教室にやってきて、「次の試合には出るな」と勝手な言い分を叩きつける。だが野瀬は牧田を怖がることなく「俺と祐介の方が才能ありますけど」と言い返す。さらに野瀬は「そんな頭して格好だけの野球してる先輩方が、試合に出られるわけないじゃないですか」と食ってかかかった。牧田は「ンだとッ…!」と野瀬の生意気な態度に腹を立てる。野瀬の胸ぐらをつかみ、「やんのかゴルァ!!」とつっかかる。野瀬も負けじと「あんたに野球やる資格ねえよ!!」と言った。2人はそこで喧嘩になるかと思われたが、牧田は卑怯な手を考えた。それが、相良をバットで殴り、犯人を野瀬と祐介にすることだった。牧田は相良に「恨むなら俺達じゃなくて大蔵祐介と野瀬哲平を恨め。あいつらが俺達を怒らせたからこうなったんだ。またこんな目に遭いたくなければ大蔵祐介と野瀬哲平に暴行されたと学校に報告するんだ。そうすればもうお前の前には現れない」と脅す。脅迫された相良は、牧田の言う通りに、野瀬と祐介を犯人として学校に報告したのだった。
この真実が明らかになった時、菜穂は牧田を探して謝ってもらうように行動した。最終的に、野瀬と祐介が牧田の居場所を突き止める。牧田は社会人になっており、性格がだいぶ変わっていた。あっさりと自分がしたことを反省し、野瀬と祐介に頭を下げた。さらに、相良に見せるために野瀬のスマホに謝罪の言葉を残す。
現在は、コンビニで働く牧田。コンビニの店長によると牧田が問題行動ばかりしていた頃に母親が倒れて、介護が必要な体になった。それ以来介護士の資格を取るために頑張っている牧田である。

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