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やべ

やべのレビュー・評価・感想

オーバーロード / Overlord
9

深遠な世界観と多面的なキャラクターが織りなす、異世界ファンタジーの金字塔『オーバーロード』

『オーバーロード』(Overlord)は、日本のライトノベル作家・丸山くがねによる作品であり、アニメ、マンガなど多くのメディアで展開されています。この作品は、主人公アインズ・ウール・ゴウンが仮想世界のゲームから異世界へと転送されるというプロットから始まります。しかし、この異世界はゲームの世界とは異なり、アインズ自身もそのルールや制約がまだよくわかっていない状態でのスタートとなります。
一つ目の魅力は、世界構築の深さです。多くの異世界作品が独自の世界観を持っていますが、『オーバーロード』はその中でも特に詳細にわたって世界が設計されています。魔法のシステム、各種の種族とその文化、政治的な力関係など、非常にニッチな背景が描かれています。
二つ目の魅力は、キャラクターの多面性です。主人公・アインズは、一見冷酷で計算高いように見えますが、その内面にはかつてのゲーマーとしての疑問や葛藤が常にあり、非常に人間味のあるキャラクターです。また、彼を取り巻くNPCたちは、プログラムされた性格と異世界での自由意志との間で揺れ動く複雑な存在として描かれています。
三つ目の魅力は、ストーリーの展開とテンポです。多くの異世界作品が「主人公が最強で無双する」という一方的な展開を取る中で、『オーバーロード』は敵も味方もしっかりとした個性と力を持っており、その結果として非常に緊迫感のある戦闘シーンや対立が生まれます。
ただし、この作品は非常に多くのキャラクターとサブプロットを持っているため、全てに興味を持つ読者でないと、時として情報過多に感じることもあるでしょう。
総じて、『オーバーロード』は異世界ものが好きな人、深い世界観と複雑なキャラクターが登場する作品が好きな人には非常におすすめの作品です。

ビッグ(映画) / Big
8

子どもに見えた。

大人のジョシュも、ちゃんと子どもに見えて、さすがトム・ハンクスと思いました。なんか表情が違うんですよね。
子どもの頃、おもちゃ屋で働けば、おもちゃで遊んで金がもらえると憧れたことがあります。
この映画を見て、もちろん遊んでるだけじゃ仕事にならないんだけど、すごく楽しそうで、やっぱりおもちゃ屋っていいなと思った記憶があります。なんか、大きな床ピアノを弾いている場面が印象的でした。
また、女性とお泊まりの場面もよく覚えていて、大人になってこの映画を見ると、その場面がすごくユーモアに富んでるなと思いました。
どんな生活にしろ、その生活に慣れると、元の生活に戻るのが嫌になったりするし、大人になってしまったジョシュの気持ちがよく分かります。
でも、ジョシュには両親も親友もいるし、ほんとはまだ大人じゃないしと考えると、このままではいけないなっていうのが本人もわかっていたんでしょうね。とても素敵な恋なのに、終わらせなきゃいけない恋もあるんだなと思いました。
また、この映画の始まりは移動遊園地が舞台なのですが、日本にはないものなので、その場面もすごく好きです。
子どもの頃に見た作品ですが、今見てもおもしろい、いい作品だなと思います。

ロッキー5/最後のドラマ / Rocky V
10

ロッキーシリーズ一番の家族愛

一般的にロッキーシリーズファンは、『ロッキー5』に辛口である。
スタローン自身が本作に対してネガティブな発言をするなど、公な失敗作品として語られる作品だ。しかし私は、ロッキーシリーズの中でも、『ロッキー5』はかなりの良作だと思っている。前作で、イワンドラゴとの死闘は見応えもあり、まさにアメリカンヒーローの地位を確固たるものしたロッキー。だがこのシリーズは、ロッキーの泥臭さく不器用な街のゴロツキから始まったはずだ。
『ロッキー5』は、何も持たざる者だった初期ロッキーの原点回帰ともいえる作品だと思う。脳のダメージにより引退を決意したロッキーは、肉体的には限界だったかも知れないが、まだまだ燃え尽きてはおらず、トミーガンという若手ボクサーのトレナーになる。自分がミッキーにしてもらっていたように二人三脚で全てを注ぎ込み、チャンピオンボクサーに育ってあげる。その間に、息子ロッキージュニアは、思春期特有の家族との距離感が生じておりロッキーに対しても距離を持ち始める。悪徳プロモーターに唆され、自分が一番だと証明したいトミーガンは、ロッキーとの対戦を要求する。かつての教え子との子弟対決。ただしこの作品は、リングには上がらない。ファイトマネーも無しの、ストーリートファイトでの戦いが始まる。そのシーンがテレビに映し出されエイドリアンやロッキージュニアが駆けつけ、かつての愛弟子をKOし家族が一つになり、ロッキーがただの父になる。
これぞまさにアメリカといえる家族愛でヒーローからただの父になるロッキーの燻る事のない晴れやかな気持ちが映し出されている。次作に繋がる父と息子の絆は必見である。