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whoyoutan1のレビュー・評価・感想

パンズ・ラビリンス / Pan's Labyrinth
8

だから少女は幻想の国で、永遠の幸せを探した。

この映画は、内戦後のスペインを舞台にしたダークファンタジー作品です。
主人公は、オフェリアという一人の少女。彼女は父を亡くしたあと、母と一緒に母を見染めた軍人の幹部のもとへ行くことに。母親のお腹にはその男の赤ん坊もいます。父を亡くした悲しみを抱えながらも、環境の悪い森の奥の砦で母親と一緒に移り住みます。新しい父親、ビダル大尉は冷酷残忍な男。母親の具合が悪くても、お腹の中の赤ん坊の命を優先しろと医者に命じるほどです。そんなビダル大尉がオフェリアに優しく接してくれるはずはなく、とても冷たい態度で接します。彼女には居場所がなくなっていくのです。オフェリアの救いは、使用人のメルセデスという女性だけでした。そんな中出会うのが、パンという迷宮の番人や、妖精たちです。パンは、彼女を地底の王国の姫君だと言います。地底の王国へ戻るためには試練を乗り越えないといけないとも。そして数々の試練を彼女に与えます。パンは完全に彼女の見方、というわけではありません。彼女が試練に失敗すれば、その見た目の通りの恐ろしい様子も見せます。オフェリアのストーリーと同時に、現実面では、ビダル大尉がレジスタンスとなっている民衆へ与える惨い拷問のシーンもあり、子どもには刺激が強い場面も。激化する、軍とレジスタンスの戦い、その中で懸命に生きようとするオフェリア。一見、王女として最後は幸せになるのだろうと思わせられますが、話が進むにつれて暗い影に覆われていきます。
ビダル大尉の赤ちゃんを産んだ母親は死に、パンから最後の試練が。赤ちゃんを犠牲にして、地下王国の扉を開くといったもの。しかし、最後に死を迎えたのは、オフェリアでした。彼女は赤ちゃんを守り死んだのです。そこへ駆けつけたレジスタンスや、使用人のメルセデスは悲しみに包まれます。悲劇のラストのように思われますが、その後のシーンでは
純粋無垢なオフェリアの魂が地下王国の扉を開き、最後には地下王国の王女として幸福の光に包まれるのです。
それが彼女の空想なのか、どうなのかは、あなたの判断にお任せします。
「ありのままの現実は、生きるにはつらすぎた。しかし、絶望はやがて金色の光にかわるー。」(DVDパッケージ参照)

半妖の夜叉姫 / Yashahime: Princess Half-Demon
8

犬夜叉の行方

高橋留美子原作の漫画の多くがアニメ化される中、2020年に放映された『半妖の夜叉姫』は『犬夜叉』の続編であり完全オリジナルストーリーとして制作された。
『犬夜叉』を知っているだろうか?戦国時代にタイムスリップしてしまった女子中学生・日暮かごめと、戦国時代に封印されていた半妖の少年・犬夜叉、そしてその仲間たちが四魂の玉を集めながら宿敵奈落を倒すという物語だ。一番の見どころは、犬夜叉とその仲間たちの恋模様、ではなく、多彩なキャラクターの織りなす巧みなストーリーと、舞台設定である戦国時代を活かしたアクションシーンの数々だろう。全56巻の長編作品となった作品だが、シリアスなシーンとギャグシーンが巧みに組み合わさり、つい一気読みをしたくなる面白さである。
そんな傑作『犬夜叉』の続編である『半妖の夜叉姫』は、ファンの間ではとにかく期待された作品であったのは言うまでもない。何よりもこのアニメの主人公は、『犬夜叉』が連載されていた当時の人気投票一位である犬夜叉の兄・殺生丸の双子の娘たちであるから、発表された時はとにかく沸いた。さて中身、と言いたいところだが、こちらは完結していない。2021年に第二期が放送されることになっている。ファンにとってはこの待ち時間でさえ嬉しいのだから、『犬夜叉』の魅力は底知れない。