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snw15のレビュー・評価・感想

新九郎、奔る!
10

パトレイバーのゆうきまさみが送る新感覚の戦国歴史漫画

伊勢新九郎盛時――またの名を、北条早雲。
戦国大名の先駆けと言われた男の生涯を描いた大河歴史漫画です。

物語は応仁の乱直前の京都から始まります。新九郎の生まれた『伊勢家』は代々足利幕府の高官を務める家柄で、新九郎の伯父・伊勢貞親は権謀術数を用いる腹黒オヤジっぷりを発揮します。また新九郎の父・伊勢盛定は伊勢貞親の手足となって謀略の片棒を担いでいますが、貞親と違ってどこか抜けてて憎めない人物として描かれています。

そんな父と伯父の元で、権力にまつわる汚い面を目の当たりにしながらも新九郎は真っすぐに育ちますが、やがて新九郎自身も足利将軍家にまつわる様々な権力闘争に否応なしに巻き込まれていきます。
世の中の汚さや不条理に悔しい思いを噛みしめながらも、家臣や郎党と言った仲間と力を合わせて難局を乗り切ろうとする新九郎の姿に強く引き込まれていきます。

歴史の表に現れない暗闘を描きながらも、ゆうきまさみの独特なタッチと軽快なコメディ構成のおかげでとても読みやすくなっています。
歴史を題材にした漫画はあまり詳しくない人には馴染みにくい物ですが、現代風の言葉遣いと、随所に散りばめられたブラックジョークのおかげで思わずクスリと笑わされてしまいます。
また、「盛定スクリーン」という解説パートが非常に分かりやすく、歴史に詳しくない人でも充分に理解できるように配慮されています。

足利義政、山名宗全、細川勝元など、歴史の教科書で見た覚えのある人物がそれぞれ個性的で魅力的に描かれており、歴史ファンならずとも一気読みしてしまうこと請け合いです。
しかも、最新の歴史研究によって提唱された新説をふんだんに採用しており、読んでいるだけで歴史ファンも思わず唸ってしまうほど知識が身につきます。

戦乱の時代に翻弄されて自分の無力さに涙する伊勢新九郎が、どのようにして北条早雲へと成長していくのか。
その先を見届けたくなる作品です。

FINLANDS
9

聴けば聴くほどクセになる中毒性バンド

私がガールズバンドのなかでも特にお勧めしたいのがFINLANDS。ボーカル塩入さんの力強い独特な超ハイトーンボイスは聴く人の耳に突き刺さり、一度聴いたら忘れられないのです。聴けば聴くほどどハマりする中毒性バンド。初めて曲を聴いたときは衝撃的でした。「まるで喉を締め付けられているかのような独特な歌声だけれどなぜか聴き苦しくない、むしろもっと聴きたい」そんな感じでした。
歌声に聴き入ってしまいますが、肝心の歌詞はというと正直1回聴いただけでは趣旨がよく分からないです。といいますか、何度聴いても理解出来るような出来ないような抽象的な歌詞が多いように思えます(私の読解力が乏しいだけかもしれませんが)。そんな歌詞が聴き手の想像力をかき立たせてくれるのかもしれません。
彼女のもう一つの魅力が服装です。彼女はどんなに暑くてもモッズコートを脱がないそうです。調べたところ、これはバンド名『FINLANDS』に特に意味がなかったため、冬をイメージしてモッズコートを着るようになったとのことです。
ライブハウスという狭い箱の中で人が集まって熱気に包まれて…となると、ものすごく暑いと思うのですが(めちゃくちゃ3密です)、そんな中でも涼しい顔をしてモッズコートを脱がずに歌う姿が何ともスタイリッシュでかっこいいんです。
そんな魅力たっぷりな彼女の歌を、ぜひ聴いていただきたいです。

ダイヤのA / ダイヤのA actII
8

王道青春野球マンガ!

主人公は田舎の弱小野球部出身で野球好きのサウスポー少年・沢村栄純です。沢村の中学最終戦を偶然見に来ていた高校野球の名門・青道高校のスカウトマン高島に素質を見抜かれます。同級生らの後押しもあり、一念発起して東京に上京し、プロ選手を多く輩出した青道高校に入学します。沢村は当初は球速130キロにも満たず技術的には未熟でしたが、柔軟な関節から生み出されるクセ球・ムービングファストボールを武器に、持ち前の負けん気と闘志で成長を重ねます。上級生捕手・御幸一也やクリス、同じ一年生である孤高の豪腕投手・降谷暁らと出会い、時に衝突しながらも互いに切磋琢磨し、全国の舞台を目指していく王道スポーツ系と言える物語です。アニメ化もされた、言わずと知れた超人気野球漫画です。内容は野球漫画の王道といったストーリーで、最初は決して優れた能力ではなかった主人公のピッチャーとしての成長過程も、読者の心を引きつけます。主要キャラ以外にもチームメイトの小湊春市、倉持洋一、川上憲史、鬼監督・片岡ら豊富なキャラクターと、その画力の高さは男女問わずファン層を拡大しました。仲間との寮での共同生活や厳しい練習、試合など、純粋に高校野球の青春を描いていて胸が熱くなります。少年漫画にありがちな恋愛のエピソードが意外にも本作には少ないというのも特徴でしょうか。野球の描写も細かくて、野球ファンも十分に楽しめる内容になっています。