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bump27mugi235のレビュー・評価・感想

復讐者たち
9

戦後ドイツ人戦犯を「処刑」してまわったユダヤ人グループの顛末を描いた衝撃の問題作『復讐者たち』

第2次世界大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った国家的な絶滅政策、すなわちホロコーストの惨劇は、600万人以上のユダヤ人の命を奪ったとされています。
この人類史上最悪の蛮行は膨大な数の映画の題材となり、歴史ものや戦争ものの一大ジャンルを形成しているのは周知の通りです。
今なおホロコーストにまつわる戦中戦後の知られざる史実が次々と掘り起こされ、映画ファンの根強い関心を集めています。
テレンス・マリック監督作品『名もなき生涯』での名演技が記憶に新しいアウグスト・ディールが主演を務めた『復讐者たち』は、まさしく「知られざる」破格の驚きに満ちた実録ドラマです。
戦争犯罪の被害者であるユダヤ人が加害者のナチスに復讐する映画と言えば、クエンティン・タランティーノ監督の荒唐無稽なバイオレンスアクション『イングロリアスバスターズ』が有名ですが、
『復讐者たち』は本当にあった「目には目を、歯には歯を」の復讐計画に関わった生存者たちへの取材に基づく正真正銘の実話映画です。
ナチスによって愛する者の命を奪われ、生きる目的を復讐にしか見出せない主人公マックスがたどる運命を、衝撃的なストーリー展開で映像化。
ドイツの5都市に張り巡らせた秘密作戦によって600万人の殺害をもくろんだナカム、英国軍の指揮下にあった対ナチス部隊のユダヤ旅団、パレスチナの軍事組織ハガナーといった実在のグループの活動が描かれている点も興味をかき立ててやみません。
監督を務めたのは、イスラエル出身のドロン・パズとヨアヴ・パズ。『エルサレム』、『ゴーレム』という歴史や聖書をモチーフにしたホラーを手がけてきた若き兄弟ユニットが、ジャンル映画で培ったサスペンスフルな語り口を披露。
戦禍で荒廃したニュルンベルクの街並みをリアルに再現して、現代に伝えるべき重いテーマをはらんだ歴史ドラマを完成させました。
また、『イングロリアスバスターズ』にも出演していた実力派俳優アウグスト・ディールが、埋めようのない喪失感とナチスへの怨念を内に秘めたマックスを渾身の演技で体現。
さらにオランダ人女優シルヴィア・フークスが、マックスと心を通わせるナカムのメンバーに扮して鮮烈な印象を残します。
憎悪と良心の狭間で道徳的なジレンマに引き裂かれる男女の凄まじい葛藤、そしてクライマックスの「決断」から目が離せません。

Diner ダイナー
6

序盤?終盤手前の引き込まれ感がすごい。

やはり主演の藤原竜也が強い。
アクションも出来、さらに演技力もよく、藤原竜也らしく引き込む力も強い。
絶対にこの立場のキャラクターに思い入れることはない、と序盤は思うが
気がつくとここの目線で物事を見ていたりするからやはり彼はすごい。
そして蜷川実花にしか持ち得ない世界観。
好き嫌いは分かれるかもしれないが、私は非常に好みである。
映画館でみる価値のある映像だ。
ドラマではチープになりかねない彼女の世界観が存分に楽しめる。
こんなダイナーに私も通いたい。
そして序盤の盛り上げは本郷奏多・窪田正孝にあるといっても過言ではない。
彼らの演技力というのか、憑依力というのか。
一番怖かったのは彼らだ。役柄はそれぞれだが印象には強く残る。
主演の女の子より遥かに残る。

アクションあり、演技力の見応えあり。
キャスティングも有名どころを揃えており、「誰だ、全員知らない」というようなこともなく
どんな世代の方でも見入るきっかけや役者がいる。
脇役にもこんな方が?!と思うようなキャスティングをしており、
最後まで「実はこの人が出てるということは、こんな展開になるかも…?」と思わざるを得ない。
それなのに「え、本当にこんなちょい役…?」と思ってしまう方もいる。
すごいキャストだ、と心から思う。

でもやはりすごいのは冒頭で述べた通り藤原竜也。
そして本郷奏多と窪田正孝。
他のキャストも役所次第では印象に残ったとは思うが
このキャストのバランスは素晴らしいと思う。よりたくさんの方に見て欲しい。
…が主演女優がこうなると影薄くなってしまうのとやはり最後が消化不十分な映画だった。
彼女の売り出し用映画でなければ素晴らしかったと思う。

朝が来る
9

アサノヒカリ

都内の高層マンションで幸せに暮らす清和と佐都子の夫婦、幼い息子の朝斗。
その幸せは一本の電話で動揺が走る。
朝斗が幼稚園で友達を怪我させたというのだ。
しかしこれは相手側との誤解で、事無き終えたが、佐都子は心労を重ねた。
実は朝斗は、特別養子縁組で迎え入れた念願の子供であったのだ。

夫の無精子症で子供を授かる事が出来なかった二人。
離婚や体外受精、子供を諦めるという事も…。
そんな時知った、特別養子縁組。
何らかの理由で子供を育てられない親が、我が子との関係を解消し、子供を育てたい養親に引き渡す制度。
その架け橋となる団体“ベビーバトン”。
親が子供を選ぶんじゃなく、子供が選ぶ事があってもいい。
二人はベビーバトンから至って元気な男の子の赤ちゃんを譲り受ける。
その時、産みの母親にも会った。まだ14歳の女の子、ひかり。
二人はひかりに感謝をし、ひかりは我が子との別れを惜しみ…。

そんな事情で二人にとって朝斗はとりわけ大切な“息子”。
それから6年、その電話で動揺走ったが、別のもう一本の電話で今度は衝撃が走る…。

「子供を返して下さい…」
電話の主は、ひかりと名乗る。朝斗の産みの親。
二人は直接会う事にするのだが、かつての面影は全く無く。
お金を要求したり、我が子の年齢を言い違ったり、直感する。
「あなたは誰ですか…?」

いつものドキュメンタリータッチの演出や繊細な心理描写に加え、今回ちと小難しそうな特別養子縁組制度などの事もあって、かなり構えて見たのだが、どうしたものか!
それらと考えさせられる社会問題、意外やエンタメ性&感動が見事に合わさり、河瀬直美監督の新たな代表名作と言っていいのではないだろうか。

序盤、過去に遡り二人が朝斗を迎え入れるまでに引き込まれた。
本当に二人にとって、長く、苦難の歳月。
酒に酔った清和が言う。「子供を授かるって奇跡だよ」本当にそうだと思う。
結婚して子供を授かるのが一般だが、どうしても子供を授かれない夫婦も居る。
その一方、我が子を虐待し、死に至らしめる親も。この不条理。恥を知れ!
特別養子縁組制度についても分かり易く描いてくれる。
説明会は演者以外本物の希望者を起用し、さすがここはドキュメンタリータッチの手腕が活かされ、台本もナシのリアリティーにこだわった撮影。

そんな二人の前に現れた“ひかり”。
本人か、別人か。
辻村深月の原作小説はヒューマン・ミステリーのジャンルに位置付けられ、確かに色々考え巡らしてしまった。

でもまずそれはさておき、佐都子らが“育ての親”なら、ひかりは“産みの親”。
前半は佐都子ら側のドラマが描かれていたが、後半はひかりの妊娠〜我が子を手離すまでが、感情たっぷり、じっくりと描かれる。

地方の中学生のひかり。
両想いだった同級生と付き合うように。
毎日が光り輝き、幸せ。愛し合い、結ばれた果てに…妊娠する。
まだ14歳。中学生。子供が子供を産む。
嘆き悲しむ両親は特別養子縁組制度を知る。
学校や周りには内緒で出産まで預かって貰い(悪い病気で遠くに入院と説明)、受験までに復帰。
自分の意見など聞かず勝手に決め、彼氏とも一方的に別れを…。
そんなひかりの心を癒したのは、ベビーバトンでの暮らしだった。
子供が子供を産む。何らかの理由で子供を育てられない。
同年代や似た事情を抱えた少女が多い。
佐都子らが申請した頃は大きな団体だったが、今はもう縮小し、小さな島でひっそりと。
しかしそれが、共に暮らし、心に傷を負った少女たちの心を癒していく。

ひかりのお腹はどんどん大きくなっていく。
私自身はまだ子供かもしれない。
そんな私の身体の中で間違いなく育まれていく命。
でも、産まれたら別れがやって来る…。
産まれる前に“ちびたん”と一緒に見た朝の光り。
一生、忘れないよ…。

出産し、佐都子らに惜別と共に我が子を手離し、実家に戻る。
放心状態…。
親族の心無い一言に傷付く…。
家を出たひかりは再びベビーバトンへ。
しかし、ベビーバトンは間もなく閉鎖されるという。
行き場を無くしたひかりはこっそり書類を調べ、我が子の所在を知り、上京するのだが…。

ただ少しでも我が子の傍に居たかった。
が、地方からやって来た“子供”にとって、大都会は余りにも無情だった。
その後ひかりが歩んだ6年間は、壮絶。
とても一言では言い表せない。
自分から身を汚し、堕ちていったかもしれない。
でも、全て彼女が悪い訳じゃない。
純真だった少女を無視し、翻弄と過酷の海に放り投げた大人たち、この社会…。
見た目も変わったのは無理ないだろう。
そう、別人ではなく、紛れもなく本人。
見た目が変わったからって、何を否定する?
ひかりはその純真な心は荒んでいない。
寧ろ、荒んでいるのは周りや社会、さらに言ってしまえば、佐都子ら。
「あなたは誰ですか…?」じゃない。
見た目が変わると、こうも疑うものなのか。
「あなたたちは何故覚えてていなかったんですか…?」

キャストたちは演技を通り越して、役と一心同体に成りきった。
永作博美演じる佐都子の動揺、井浦新演じる清和の引け目…。
二人の悲しみとようやく迎え入れた幸せ。
朝斗役の佐藤令旺のナチュラルさ。
ベビーバトン代表の浅田美代子の佇まい。何かの評か記事で、樹木希林との共演も多く、いずれそんな女優に…と書いてあった気がするが、幾ら何でも言い過ぎと思ったが、本作での彼女の存在感はそれも頷けた。
そして、蒔田彩珠。ひかりを演じるとか成りきるとかじゃなく、いたいけなひかりを、純真に痛ましく儚く、生きた。
だからこそ我々は、本作を見て、何よりも誰よりも、ひかり=蒔田に惹かれ魅せられる。

そんな彼らを、美しい映像が包み込む。
河瀬監督の演出は前述の通りだが、もう一つ。“産みの親”と“育ての親”どちらが相応しいか、本作はそれを問い掛けているのではなく、双方にある葛藤を描いている。

もし、自分だったらどうするか…?
佐都子の立場だったら…?
ひかりの立場だったら…?
明確な答えなど出ないだろう。
でも、かつて見た美しい朝の光りのような、子供の為に。

キング・コング(2005年の映画) / King Kong(2005 film)
4

モンスター・パニック洋画感想

1933年に公開されたモンスター映画の金字塔「キングコング」のリメイク作品として2005年に公開されたアメリカ映画です。
監督は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで知られるピーター・ジャクソン氏で、監督自身幼少期にキングコングを観て育った体験談から「キングコング」のリメイクと言う事で監督の気合いの入りようは窺えます。
主なストーリーも旧作とほぼ同じ流れですが、旧作以上にラブロマンスやホラー映画の要素が強調されている印象になっています。
個人的な話としては私自身コングは映画「キングコング対ゴジラ」を子供の頃ビデオで観てゴジラのライバルの一体という誤った認識で知ったため(苦笑)(さすがに世代間のギャップというのでしょうか)、コングの旧作は知らない期間もあったため、そこまでコングに過剰な思い入れがなかったからか、個人的には3時間という尺はいささか長すぎたり、また髑髏島の生物は恐竜もいてコングとの迫力ある対決は描かれますが、大量の虫が襲い掛かるシーンを始め全体的に気持ち悪く描かれてる印象であまり好印象が持てなかったり、コングを見世物として連れてきた結果、多くの被害を出した興行師カール・デナムが(劇中描かれてる分では)特にお咎めがなかったりと今一つ納得いかない印象であり、「怪獣映画」としてみた場合2017年公開の「髑髏島の巨神」の方が個人的には楽しめた印象でした。
しかし、監督のコングへの思い入れは感じられる作品であることは間違いありません。