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6usarunoatama09のレビュー・評価・感想

藤井風
8

変わり続ける音楽家「藤井風」

あなたは藤井風という音楽家を知っているだろうか。彼は音楽家の中でも変化を恐れない、いや変化にネガティブな感情さえ感じていない音楽家である。彼は中学生からYouTubeにピアノの弾いてみた動画を投稿し始め、当時からあまりにもレベルが高く、グルーヴ感を感じさせる動画が話題になっていた。そして2020年にデビュー。
そこからは彼の魅力的な人柄とピアノスキル、彼の思想をそのまま曲に反映させたような純度の高いオリジナル曲の数々で好評を博し、そしてデビューした時期がコロナ禍にもかかわらず武道館公演、全国アリーナツアー、そして日産スタジアムでの無観客のピアノ弾き語り配信ライブを決行。彼の実力とベテランのチームスタッフ、バンドメンバーが集結し、コロナ禍における音楽シーンを大いに盛り上げ続けてくれた。まさに闇の時代に現れた救世主といえるだろう。
そんな藤井風はコロナ禍が明けた後、どんな活動を始めたのか。それは2ndAlubum「LOVE ALL SERVE ALL」のリリースから展開された様々な会場でのライブ展開だった。2022年には大きく3つのライブを行っていた。1つは全国各地のホールでコンサートを行う「fujiikaze alone at home tour」、そしてパナソニックスタジアム吹田での「LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE」、年を跨いで行われたアリーナツアー「Love All Arena Tour」だ。コロナ禍以上の精力的なライブを行った。より色濃く彼の思想が滲みでたライブの数々は、まさに彼の広すぎる思想の中を探検するような瞬間を届けてくれた。どのライブもそれぞれ面白いぐらいに個性があり、特にホールツアーとアリーナツアーはそれぞれの地域でリクエスト曲に違いがあったり、バンド演奏も彼の自由なパフォーマンスによって変わってくる。これをお金を払ってまで来てくれるお客さんに届けるには相当な練習量とセンスが重要になるが、それを実現し、喜ばすことができたのも彼の確固たる実力である。

彼を見ていて面白いのは彼の作品も時代と共に包み込むような優しい音楽に変容していき、彼自身も包み込むようなオーラを放ちはじめる。彼の音楽と彼自身には1mmもズレが無く、矛盾が無い。彼の曲は彼自身を表現していて、内から出たものを表に出したような曲なのだ。作者と共に変わる作品。そんな彼だからこそなぜか目を離せない、ずっと気になってしまうような活動が出来るのだろう。

ラストエンペラー
10

芸術的な歴史大作

『シェルタリング・スカイ』、『リトル・ブッダ』と並んで、巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督のアジア3部作と呼ばれる作品の中の一つとなっています。中国清朝最後の皇帝・溥儀の激動の一生を描き、1987年度のアカデミー賞で9部門を受賞し、音楽を担当した坂本龍一も作曲賞を受賞しました。

この作品で有名な場面は、主人公の溥儀が幼いながらに皇帝となったときの即位式の場面です。まだ赤ちゃんと言ってもいいような小さな溥儀が鮮やかな黄色の幕をくぐり抜けると、段上から見下ろす先に広がっていたのは膨大な数の臣下達が整列する姿でした。色とりどりの着物を着た臣下達が一斉に頭を下げる様子は圧巻で、ハッと息を飲む素晴らしさです。この色使いの美しいドラマチックなシーンは映画史に残る名場面と言われています。

しかし溥儀のそんな輝かしい栄光は長くは続かず、名ばかりの皇帝となって城の中だけで生活することを強いられるようなります。その後、城から出されたのちも、時代は第二次世界対戦を控えており、その歴史の波に揉まれていくこととなるのです。ひとりの人間としての類い稀なる人生に驚くと共に、歴史を目の当たりにして厳粛な気分になる映画です。