鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド

『鍵泥棒のメソッド』とは、2012年に公開された日本映画で、監督と脚本は内田けんじ。仕事も無くうだつの上がらない生活をしていた桜井武史は、たまたま入った銭湯で身なりの良い山崎信一郎と入れ替わることに成功する。しかし山崎は裏の仕事を請け負う便利屋であることがわかる。桜井は記憶をなくした山崎や結婚相手を探す真面目な雑誌編集者の水嶋香苗を巻き込み、危険な仕事へと足を踏み入れていってしまう。この物語は人生の進路を見失った大人たちが、次第に生きる希望を見つけていくヒューマンコメディとなっている。

鍵泥棒のメソッドのレビュー・評価・感想

レビューを書く
鍵泥棒のメソッド
8

香川照之さんの顔が怖い。

おもしろかったです。香川照之さんは、裏の世界の男?だけど記憶をなくして自分が誰だかわからなくて、堺雅人演じるダメ役者と人生を交換させられるを演じていました。不安げだけど、顔がどうみても怖すぎるってのがおもしろかったです。エキストラの仕事に行けばチンピラ役に抜擢されるのもわかります。
また、香川さんの役はもともとすごく器用でまじめで仕事ができる人の役だったので、どんどん演技論とかを学んでいっていて演技がうまくなっていました。そこがおもしろいです。なるほど、演技って才能かなと思っていましたが、学習できるんだなと思いました。
堺雅人演じる役の人が大成しなかったのは、そういう勉強とか人から技を盗むとかを怠っていたからかもしれません。二人が演技論を戦わせるところとか、実際の役者同士の口論ぽくて、いいなと思います。それに、そういう周りから聞くとちょっとひいちゃうような熱い話をするのが役者あるあるって感じです。ストーリー展開もサクサク進んでたし、観客に謎を残しつつも何となくは筋が読めて、ストレスなく見れました。
また、ヒロインの広末涼子もかわいかったです。広末さんは天真爛漫な少女って感じでしたが、年を重ねてまじめな女性の役が似合うようになったなあと思いました。すごくかわいくて、好きなキャラでした。

鍵泥棒のメソッド
8

入れ替わりコメディのおもしろさ。

殺し屋?と、売れない役者の人生が入れ替わる話です。香川照之さんが、殺し屋?役で記憶をなくして役者だと思い込む役なのですが、もともと勉強家でなんでもうまくこなすせいか、裏の人間とつきあってたせいか、チンピラ役をうまくこなせたりしておもしろかったです。入れ替わりコメディって好きなのですが、本作も自分が一体なんなのかもよくわからないなか、互いに奮闘していておもしろかったです。観客にも香川照之さんの本当の職業がなんなのかは最後の方まで明らかにされず、明らかになったときは驚きました。
もう一人の主役堺雅人さんは売れない役者の役だけあって、劇中劇のときの演技があんまりよくなかったりして、素人の香川照之さんにダメ出しをされたりしてておもしろかったです。売れないのにはわけがあるのかもしれません。ヒロインの広末涼子さんもすごくかわいかったです。父のために結婚をと急に婚活をするとか病院知り合っただけの男に協力するとか、真面目そうで、ちょっとぶっとんでるところがよかったです。あの二人にはうまくいってほしいなと思わせてくれる恋愛模様で、見ていてキュンとする場面もありました。そんなに大爆笑というわけでもないですが、なにやら面白い作品でした。

鍵泥棒のメソッド
10

予測できない娯楽作品

堺雅人さん演じる35歳で役者志望の自殺まで失敗するダメ男と、香川照之さん演じる見るからに勝ち組のゴンドウという男が、入れかわる設定です。香川さんが記憶をなくす前後で、こんなにも人が変わるのかという面白さがあります。努力によって、人の信望を集め、役者として成功しようとしていくゴンドウをつい、応援したくなります。
殺し屋というぶっそうでスリリングなサスペンスを含んだ背景も、どきどきさせますが、誰も死なず、爽快感さえ残る作品です。ゴンドウは几帳面で、部屋もとても素敵です。贅沢な家具や見せる収納は、憧れる部屋です。こんな部屋に住みたいなと思います。ヒロインの広末涼子さんがとても美しく個性豊かです。これまでの役柄と違い、天然な女性を演じています。「私、結婚することにしました。」という唐突なセリフも、彼女のキュートさを倍増させています。婚活や二人の男とのコメディタッチのからみもからんできて、観ている人の予想をどんどんかわしていくリズムとテンポのある展開は見事です。
伏線が随所にちりばめられており、「そういえば」と記憶をたどっているうちに、「えっつ!」と、次の事案が起きているので、ぼっとしている暇がありません。