神様のバレー

神様のバレーのレビュー・評価・感想

レビューを書く
神様のバレー
7

天才アナリストと弱小バレー部が全国制覇を目指すバレーボール漫画

実業団男子バレーボールチーム「日村化成ガンマンズ」のアナリスト阿月聡一が、万年一回戦負けの弱小中学バレー部のコーチとなり全国制覇を目指すバレーボール漫画。

阿月聡一は「嫌がらせバレー」を武器に弱小だった「日村化成ガンマンズ」を2年連続でリーグ優勝に導いた実力を持つ敏腕アナリスト。自分のバレーは世界に通用すると自負する阿月は、全日本バレーの監督となり世界一になるという野望を持っている。しかし大胆不敵かつ歯に衣着せぬ物言いが原因で、チームの監督とは良い関係が築けていない様子。
ある日の試合後、日村化成の会長がチームの激励に訪れる。その際、監督の指導力に不満を持つ阿月は会長の前で監督に対して「俺に監督の席を譲れ」と発言。それを聞いた会長は一つの条件を提示する。それは、会長の友人が経営している学校のバレー部のコーチとして全国優勝に導くことができれば「監督の座」を用意するというもの。しかもその監督の座とは、阿月が現在所属している「日村化成ガンマンズ」ではなく「全日本男子バレー」だと言う。世界一の野望を持つ阿月はこの条件を快諾。さっそくコーチに就任する学校に訪れた阿月は、自分がコーチをするのは中学生だということに気づく。高校バレーでは全国制覇のチャンスは「インターハイ」「国体」「春高」の3回あるが、中学バレーでは「全中(全日本中学校バレーボール選手権大会)」の1回しかチャンスがない。全日本の監督の座はそう簡単に手に入らないことを自覚する阿月だが、それでも自信ありげな様子。
阿月がコーチとなった学校は「私立幸大学園中学校」。学問に力を入れる進学校であるが、今後はスポーツにも力を入れるために優秀なコーチを探していたという。監督には元全日本女子バレー代表候補の鷲野孝子がいたが、指導方針は精神論主義で非効率。鷲野の指導レベルの低さに呆れる阿月だが、なぜか補欠メンバーに目をつけ、2週間後に全中の地区予選を控えた彼らに秘密の特訓を命じる。地区予選前日、阿月は秘密の特訓を積んできた補欠メンバーに衝撃の事実を告げる。それは明日の試合を補欠メンバーでジャックするというもの。秘密の特訓はそのための準備だったという。うろたえる補欠メンバーたちを尻目に、阿月は不適の笑みを浮かべる。全国制覇への第一歩となる初勝利を目指して、弱小バレー部の快進撃が始まる。

神様のバレー
9

大人のスポーツ漫画~神様のバレー~

王道とは少し違った目線で描かれたバレーボール漫画『神様のバレー』がとても面白い。
題材は中学バレー。万年一回戦負けの有名私立進学校が主人公のチーム。ここまでの設定だと熱血主人公が猛練習の末に試合に勝ち進んでいく王道にありそうな雰囲気。
ところが、この漫画の主人公はチームのコーチを務める現役アナリスト。ひん曲がった根性の持ち主で、相手の嫌がるところをつくことが好きで嫌がらせバレーが得意。非常に優れた戦術・戦略でチームを勝利に導いていく。
この話で実際に試合をするのは中学生選手たちだが、そのチームを取り巻く大人たちに多くのスポットが当たっており、競技としてバレーボールを観戦するのではなく、チームのバックアップをする側からの目線で描かれている。そのため、バレーボールという競技について、ただ見て興奮するのではなく、冷静にその奥深さというものを感じさせてくれる。それ故に、選手である中学生たちの性格を把握し、選手だけでなく自チームのスタッフや相手チームのまで手玉に取り、勝利をものにしていく様は王道スポーツ漫画とは異なる痛快さを感じさせてくれる。王道に少し食傷気味という方にぜひ読んでいただきたいと思う。
もちろん純粋な中学生男子が真剣に取り組む姿もあり、忘れていた青春を思い出しながらも、それを取り巻く大人たちの本気を見てスポーツの側面を楽しんでもらいたい。