LAMB/ラム / Lamb (2021 film)

LAMB/ラム / Lamb (2021 film)

『LAMB/ラム』とは、ある夫婦が羊から生まれた羊ではない「何か」を我が子として育てるスリラー映画。アイスランド・スウェーデン・ポーランドの合作だ。「何か」の得意なビジュアルがSNSを中心に話題を呼んだ。
『プロメテウス』、『ミレニアム』シリーズで知られるノオミ・ラパスが主演・製作総指揮を務めた。
第94回アカデミー賞国際長編部門のアイスランド代表作品に選出、第74回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門でオリジナリティ賞を受賞するなど、世界的な評価を得ている。

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LAMB/ラム / Lamb (2021 film)のレビュー・評価・感想

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LAMB/ラム / Lamb (2021 film)
6

好みが分かれそうな作品...でも子羊は可愛い

CMに興味をそそられて観ました。
物語は静かに始まります。
農場で暮らす夫婦の日常と、その間に垣間見える得体のしれない何者かの存在。
ホラーなのか何なのかと見る側が戸惑っているうちにも、物語は淡々と進んでいきます。
タイトルにもあるように羊がこの物語の重要なもので、そして「その羊」は普通では無い事もわかります。
しかし、その全貌は見ることが出来ず、こちらの好奇心をうまくくすぐるのです。まぁ、おおよその見当は付きますが、答え合わせしたいのが心情。
「もしかして、最後までこの子(アダ)の正体は見られないのかしら」となりますが、アダがとても可愛らしくて、そんな事はどうでもよくなり、思わず子羊を飼ってしまいたい衝動に駆られました。
やがてアダが成長するとあっさりとその姿が見れます。それでもアダは可愛いし、何の裏切りもなく想像していた通り。
もしやこれはアダと夫婦の世界を見るだけの和やかホームドラマなのかしらと思い始めます。
しかし、途端に不穏なシーンが出てきて、だんだんと雲行きが怪しくなってくるのです。実にうまい作りだと思いました。
ラストは見てのお楽しみです。ネタバレは見ない方が楽しめる作品だと思います。
R15のようですが、そこまで残虐なシーンは無いように思いました。

LAMB/ラム / Lamb (2021 film)
4

容易に解明できないオチをぶち込んでくる考察系映画

子供を早くに亡くした羊飼いのマリアとインクヴァルの夫婦が飼育している羊の家畜から生まれた、半分羊で半分人間の「アダ」。
終始不穏な空気一色の広大なアイスランドの山の中で暮らす家族の生活を眺める一作だ。映画終盤でアダと同じ羊頭で、首から下が全裸の人間の男が現れてインクヴァルが殺されて、本当の父親らしき羊男にアダは連れていかれた。冒頭の吹雪の夜の中、羊小屋に侵入して雌羊を妊娠させたのはこいつだろうと確信が持てる。その後、マリアが助けに行く描写もなく、エンドクレジットに入った。「え、終わり!?」と、当時、劇場で本当に声を出してしまった。この映画はどういったものであるかを見た人たちが考察して楽しむ系統の作品なのだろうけれども、説明のない唐突な展開と終わらせ方がショッキングで、胸の中でモヤモヤができた。
しかし、時間がたって今思うと、この映画のオチに対して違う考えが浮かんできた。町などの集団の人間社会から隔離された山中で生活しているとはいえ、アダはマリアたち人間と同じ生活をさせていてよかったのだろうか?
インクヴァルの弟ペートゥルは、あれはなんだとアダに訝しげな眼差しを向けてきた。弟はじきにアダと仲良くなったけれども、もし、山にやってきたのが弟じゃなくて登山や観光をしに来た赤の他人の集団だったら、アダの気持ちを考えない言動を平気でとられて踏みにじられていたかもしれない。そうなったら羊男の犠牲者がインクヴァルだけでないうえに地獄絵図になっていたとも考えられる。言い方が悪いのは承知の上だけど、普通から大きくかけ離れた存在を奇異の眼で見る人間のそばにいるよりも、アダは、同族の父親といっしょにいたほうが良いのかもしれない。

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