ブレット・トレイン

ブレット・トレインのレビュー・評価・感想

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ブレット・トレイン
8

ブラットピットのカタコトの日本語が尊い!ブラピファンは必見!

伊坂幸太郎作品の『マリア・ビートル』をハリウッドで映画化したものです。
伊坂幸太郎作品というと独特で軽妙な会話のテンポと、残虐なシーンが沢山あるのに、それが日常生活と紙一重のところにあるというヒリヒリ感がたまらないのですが、日本でいくつか映画化されたものは、けっこう残念な感じになってしまった作品が多かった印象があります。

この作品は、全編日本が舞台で日本人しか出てこない原作に対して、なんと本当の日本人は真田広之演じる木村だけ(息子も日本人設定だけど俳優は日系人)という斬新さに驚かされました。
映画評論家界隈では、「ミスキャスト」とか「有色人種と非有色人種を差別している」と評価が分かれるところではありますが、そんなことはどうでもいい、と思わせる力がある作品です。

まずアクションがスゴイ。ともすれば残虐にも映るのですが、日本の暴力的な映画が湿度が高いのに対して、この作品のアクションシーンは非常にカラッとしています。
また、伊坂幸太郎作品には欠かせないユーモアをアクションシーンに織り交ぜるのが非常に上手です。さらにブラピ使いの秀逸さといったら、もうたまりません!「ブリーフケースを回転させるだけでカッコイイとかどういうことなの!?」と思ってしまうような軽快なアクションと、時々織り交ぜられるブラピのカタコトの日本語が尊い!これは吹き替え版で観てはいけません。吹き替え版ではカタコトなんだかどうなんだかも分かりません。全部日本語なのはもったいないので、ぜひ吹き替え無しでみてください!

この原作はそれぞれの登場人物の記憶をさかのぼることや、それぞれの視点でのシーンが切り替わるのも伊坂作品あるあるでよいのですが、その部分は多くの映画で失敗してきたと私は思っています。しかし、この作品はお見事としか言いようがない切り替え方をしています。
軽妙で時々「ウヒィ」と言ってしまうようなシーンが沢山あるのに、読んだ後にはなんだかニヨニヨしてしまう伊坂幸太郎作品と同じく、観終えた後にはところどころ気になることがあったっていいじゃない、とニヨニヨしてしまえるおかしさがあります。「ハリウッドすげーな!」と改めて思わせてくれる作品です。

ブレット・トレイン
8

『キルビル』みたいだけど伏線回収あり

ブラッド・ピット主演、伊坂幸太郎原作の、東京が舞台のハリウッド映画。
予告で観た限り『キルビル』感あるアクションコメディと予想。コテコテの日本演出(舞妓さん、ヤクザ、刀、桜、新幹線)で日本人には違和感ありまくりなとこからスタート。

悪運に見舞われたブラピが、悪の親玉ホワイトデスを巡るあれこれに巻き込まれていく話なんですが…。
登場人物も、レディバグ、みかん(タンジェリン)、レモン、王子などおもしろいコードーネームで良き。後半に行くにつれ「これはあれの伏線だったのか!」「こことあそこがつながってんのか!」とワクワク展開が続々。
さすが伊坂幸太郎原作。原作本も読みたくなってきます。逆に原作から入ったらどうだったんでしょう。

アクションシーンや殺人シーンは「あり得ない&あり得ない」てんこもり。新幹線に飛び移ってフロントガラス割って侵入したり、新幹線のドアが吹き飛んでも中のものや人は飛び出さないし、もちろん血がめちゃくちゃ飛びます。ぷしゅーっと吹き出ます。
「そんなに切られてんのに死なないの?」って思ったかと思えば、「それぐらいで死ぬの?」とも思います。

でも結論として評価は割れると思いますが、私はなぜかすんごくおもしろくてもう一回観たくなりました。サンドラ・ブロックとチャニング・テイタムが出てきたのが映画ファンとしては面白ポイント。
ブラピがちょい役で出たあの映画からのキャスティングでしょう。