血の轍

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血の轍
7

異才の漫画家、押見修造の描く歪んだ愛

実写映像化が決定しているコミックス『悪の華』の作者、押見修造氏が描く、歪んだ愛の形。主人公は中学2年生の、どこか頼りない依存体質な少年です。はじまりは彼の両親と従兄弟の一家で一緒に山登りに出ているときに起こりました。少年と彼の母親を「過保護」呼ばわりした従兄弟は、山の絶壁で悪ふざけをしていた最中に少年の母親に突き落とされてしまいます。意識不明になってしまった従兄弟。その経緯を知るものは少年と母親のみ。病院内で警察から事情を問われる母親は、少年の前でウソの証言をします。そして、少年はそのウソに乗ってしまい……。
毒親、という言葉が一般的になって間もないですが、本作で描かれる母と子の関係性は、母親が放つ甘ったるい毒気だけでなく、その甘さに苦悩しながらも、最終的にどこまでも浸ろうとする子の弱々しい毒も感じられ、親子関係の歪さ、そして脆さを痛感できます。
子が親に、親が子に依存するその醜態を、リアルな筆致で捉えている点が本作の魅力のひとつです。両親の元からなかなか離れられない人や子離れができない人、つい身内を甘やかしてしまいがちになる人は、この作品を読んで関係性を俯瞰して考え、危機感を募らせてほしいと思います。