からくりサーカス / Karakuri Circus / Le Cirque de Karakuri

からくりサーカス / Karakuri Circus / Le Cirque de Karakuri

『からくりサーカス』とは、藤田和日郎によって小学館『週刊少年サンデー』にて1997年~2006年にかけて連載されたアクション漫画。人間と自動人形(オートマータ)、そして懸糸傀儡(マリオネット)を操る人形破壊者「しろがね」の間に巻き起こる戦いを描いた物語。同時に才賀勝という少年が成長していく姿も描いており、敵との攻防だけではなく、様々な人間模様が同時並行的に進んでいる作品である。

goroのレビュー・評価・感想

レビューを書く
からくりサーカス / Karakuri Circus / Le Cirque de Karakuri
10

少年漫画の金字塔

『うしおととら』、『月光条例』などで有名な藤田和日郎先生の作品。
『少年サンデー』の読者やマンガ好きなら一度は聞いたことのあるタイトル達ではないだろうか。
その中で私が一番の作品だと自信をもってオススメできるのが『からくりサーカス』です。
この作品には三人の主人公が存在し、運命に巻き込まれてしまった少年「才賀勝」。
その勝のボディーガードである女性「しろがね」。
奇病に侵されながらも必死に生きている中国拳法の使い手「加藤鳴海」。
この三人が出会うところから物語はスタートします。
本作品はバトル漫画なのですがタイトルでもわかるように、この作品では人形が多く登場します。
敵もからくり、こちらもからくり使いとわかりやすい構図なのですが、その中で珍しく肉体を使って戦う加藤鳴海が、どう敵を凌いでいくのか、どう生きていくのか。
藤田先生の漫画ならではの熱いシーンが何度も見られるのがこの作品の魅力です。
絵がとっつきにくいとよく聞くことがありますが、いざ読んでみるとお世辞にも綺麗とは言えない、それでもだからこそ見られる登場人物たちの熱い表情、悲しみに満ちたシーンなど、この作品でないと味わえない技法や表現を存分に楽しむことができます。
私自身も『少年サンデー』コミックス版の1~3巻にあたる「勝編」はあまり盛り上がらないかなと思ってしまうのですが、それを乗り越えた先にある怒涛の展開にはもう読む手も止まらず、何度も泣かされてしまうシーンもありました。
読む際にはぜひとも序盤で止めないでほしく思います。

この作品はアニメ化もされており、そちらで見ようと思っている方も多いかもしれませんがアニメ版ではストーリーの大切な部分や構成が丸々抜けていたりと省略が目立ちますので、初見での感動を味わうためにも最初はぜひコミックスでこの作品に触れていただけたらなと思います。
電子書籍サイトでも配信されていますし、連載当時のカラーページ等を再現した「完全版」も発売されており、これから読む人はその完全版をお勧めしたいと思います。

皆様もぜひこの奇妙なからくり仕掛けの舞台に飛び込んでみるのはいかがでしょうか"