ジョゼと虎と魚たち

naokinawal9のレビュー・評価・感想

レビューを書く
ジョゼと虎と魚たち
9

映像美に感動し人物の感情の機敏がうまく表現されていて良かった

2020年冬に劇場公開された「ジョゼと虎と魚たち」。原作は、1985年に発表された同名の小説です。「おおかみこどもの雨と雪」で助監督を務めた、タムラコータローが「ジョゼ」の監督を務めています。劇場版の舞台は現代。主人公の恒夫は、ある日道を歩いていると、車いすに乗った女の子「ジョゼ」に突撃されてしまいます。急な坂道で、自分で止まることが出来なかったジョゼは、恒夫のお陰で止まることが出来ました。それをきっかけに、恒夫はジョゼとジョゼの祖母の住む家に度々おもむき、少しずつジョゼと距離をつめていきます。「外は怖い」と祖母から教わっていたジョゼは今まであまり外出したことがなく、恒夫と電車に乗った時には瞳を輝かせます。二人で砂浜に行きましたが、ジョゼの車いすは砂に埋もれて倒れてしまい、砂浜を這うジョゼを恒夫は抱きかかえ、そのまま海に入ります。水しぶきが舞うシーンはとても美しく、これぞまさに「青春」といった感じです。しかし、幸せなシーンは長く続かず、ある日ジョゼの祖母が心臓発作で亡くなります。自宅に民生委員や町内会の人間が来て、ジョゼと話をします。絵を描きたいと望むジョゼに町内会の人間は「夢は夢。現実を見なさい」と諭され、ジョゼは自立することを決め、恒夫に最後の依頼をします。二人で一緒に行った海に再度訪問し、砂浜で話をします。今まで、ジョゼの祖母が恒夫に時給を支払っていましたが「もう恒夫にお金を払えないから」と告げるジョゼ。恒夫から離れ、横断歩道を渡っている時に電動の車いすが動かなくなり、走ってきた車とぶつかりそうになります。恒夫は彼女を守ろうと駆け寄りますが、スピード超過の車が恒夫が跳ね飛ばし、恒夫は緊急搬送されます。命に別状はなかったものの、足を解放骨折した恒夫。3月に留学する予定だったがそれも取りやめになり、自暴自棄になってしまいます。そんな状況を打破したのは、ジョゼでした。祖母に頼り、恒夫に頼りきりだったジョゼはたった一人で、図書館で仲良くなった受付の女性や恒夫の友人に声をかけ、恒夫のために物語を描き、図書館で子供たちを含め読み聞かせを行いました。恒夫は希望を取り戻し、辛いリハビリを終え、松葉杖で歩けるようになったタイミングで退院となりました。しかし、約束していたジョゼは迎えに来てくれず、電話をかけてもジョゼにはつながりません。心配した恒夫はジョゼの自宅にも向かいますが、そこにも誰もいませんでした。雪が降っているにも関わらず恒夫はジョゼに会いたい一心で町中をかけ周っていた所、出会った時と同じように急な坂道を転がるジョゼと再会、今度はジョゼを受け止め二人はようやく再会することができました。恒夫は無事に怪我を直し、留学の夢を叶えてハッピーエンドとなりました。途中恒夫が心配になりましたが、とても心が温かくなる良いお話でした。