きみが心に棲みついた

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きみが心に棲みついた
7

親との関係に悩む人には参考になる

主人公は、下着メーカーに勤める女性。彼女は、親をはじめとして周囲との関わりが苦手だった。大学時代に、自分を認めてくれる男性・星名に出会った。今まで、家にも学校にも「居場所」を見いだせなかった主人公は星名に惹かれ、関わりはじめる。星名を好きすぎるあまり、星名の言うことなら何でもするほど依存していた。
しかし、星名は周囲の人間で遊ぶような人間で、主人公のことも例外ではなかった。さすがに危機を感じた彼女は星名から逃げるが、最悪なことに職場で再会してしまう。逃げられたことに恨みを感じている星名は、彼女の人間関係だけでなく仕事にまで踏み込んでくることになった。だが、周囲の信頼する先輩や仕事仲間の助けを得て、彼女は星名に立ち向かう。その過程を経て、主人公は職場でも周囲との関わりでも成長していく。
また、星名にも家庭の問題があることが明らかになっていくのだが…。

一見、主人公だけに焦点が当たりがちだが、主人公を苦しめてきたはずの星名にも衝撃の過去があることが判明していく。
さらに、星名や主人公の周囲の人間の執着心・プライドなどや、幼い頃からの家族・周囲との関わりが将来の人間関係に与える影響だけではなく、誰の心にでも“棲みついて”いそうな「心の闇」を描いた作品である。