舟を編む

舟を編む

『舟を編む』は三浦しをんによる出版社の辞書編集部を舞台にしたヒューマン小説。女性ファッション雑誌『CLASSY.』に連載され、2011年に光文社から単行本が発行された。2012年には本屋大賞を受賞している。2013年には松田龍平主演で映画化、2016年にテレビアニメ化された。「玄武書房」に勤める馬締光也は、新しく刊行される辞書『大渡海』の編集メンバーとして辞書編集部に異動となる。辞書制作のために集まった個性の強い編纂者たちが奥深い辞書の世界にのめり込み、言葉に向き合う物語。

minato6664のレビュー・評価・感想

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5

本屋大賞を受賞した作品の映画化

もともと三浦しをんさんのファンで、この映画の原作を知りました。
小説では、主人公の馬締光也(まじめみつや)を始めとする登場人物たちの語りで物語が編まれていきます。この作風をどのように映画化するんだろうと期待していました。
辞書編集部に配属となった変人(?)な馬締は、編集部にとって大作である『大渡海』の辞書作りを任されます。彼を演じたのは松田龍平さん。馬締は、言葉作りには熱量が高いのですが、コミュニケーション能力がないのです。自分の世界を持ちつつ一生懸命言葉と向き合う馬締を、松田龍平さんはうまく演じていました。
同僚の西岡さんはチャラチャラした役で、馬締とは正反対。オダギリジョーさんが演じていました。オダギリさんと松田さんのぎこちないやり取りもリアルで、最終的には同志として絆が深まっていくのですが、そこまでの過程が面白い。
そして馬締が恋をする香具矢さんを、宮崎あおいさんが演じていました。彼女は小説の中のイメージとぴったりでした。純粋で、美しくて、2人の不器用な恋も見ていて面白かったです。
馬締と香具矢さんが観覧車に乗って話をする場面があるのですが、お互いに自分の仕事について語るシーンでした。香具矢さんも料理人として悩んでいて、そこを拙い言葉で励ます馬締が愛おしかったです。
我々は辞書作りとあまり縁がないですが、この映画を見ると、その仕事ぶりとそれに携わる人々の人生も垣間見ることができて、興味深い映画です。