ハクソー・リッジ

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ハクソー・リッジ
7

デズモンド・ドスの覚悟と信念の物語

主人公デズモンド・ドスは、熱心な信者である母親に育てられました。父親はアル中で常に酔っては、母親を殴るような人でした。それでも母親は「戦争に行く前の父さんを見せてあげたい」と、言います。父親は戦争で心を蝕まれていたのです。
デズモンドは恋人ドロシーに出会い、幸せな時間を過ごしますが、「国に奉仕したい」と軍隊に入隊を決めます。父親は「お前に出来っこない」と心配します。結婚の約束をして、デズモンドは入隊します。
同じ隊には屈強な訓練兵が揃います。鬼軍曹の元でしごかれながら、訓練をこなしていくのですが、デズモンドは武器訓練を拒否します。「人を殺す」のは信念に反するという理由です。上官たちは「戦争は殺人とは違う」と説得しますが、頑なに拒否をします。そして軍法会議にかけられます。絶対的に不利な中、父親が助けに入りデズモンドは「武器を持たない衛生兵」を認められます。
一通りの訓練の後、デズモンドの隊は戦地入りをします。そこは「ハクソー・リッジ」沖縄の戦地です。断崖絶壁の崖には長くおおきな網が張られており、そこを人が登って行きます。崖の上は戦地です。一進一退の攻防が続きますが、日本軍が総当たりしてきてアメリカ軍は撤退を余儀なくされます。しかし、デズモンドはその場に留まります。大勢の負傷者がいるからです。
デズモンドは負傷者を見つけては、応急処置を行いロープで負傷者を一人ずつ降ろして行きます。一晩で57人もの命を助けました。その中には、敵兵の日本人まで含まれていました。「もう一人だけ助けさせて下さい」と神に繰り返し祈りながら。
デズモンドの「国に奉仕したいが、信念は曲げられないという覚悟が見える作品です。敵国が日本であること、また信仰心が題材であることで理解に苦しむ部分がありますが、多くの命が救われたのも事実です。