怪獣8号

怪獣8号

『怪獣8号』とは、『少年ジャンプ+』で2020年より連載している松本直也による漫画作品。シン・ゴジラやパシフィック・リム等の怪獣を自然災害に暗喩した作品の系譜にある。怪獣の発生する世界で、怪獣から国を守る防衛隊に入る事が叶わずに怪獣の死体清掃の仕事を続ける主人公・カフカが、もう一度防衛隊を目指そうと決意するも、謎の小型怪獣に体内へ侵入され、人知を超えた怪獣の力を手にする。「怪獣8号」と呼ばれるようになってしまったカフカがその力と怪獣の知識を駆使して、怪獣に立ち向かっていくバトル漫画である。

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怪獣8号
7

大人に見てほしい怪獣漫画

幼い頃に怪獣と戦うヒーローに憧れた人は多いだろう。この物語は、怪獣によって襲撃される日本を舞台に、防衛隊への入隊を夢見る32歳の男・日比谷カフカが怪獣と戦う物語である。

怪獣ものと言えばありきたりに思えるが、作品名の『怪獣8号』とはここに登場する主人公・日比谷カフカ自身のことを指す。防衛隊への入隊を夢見ながら清掃員として働くカフカはある日、謎の怪獣によって怪獣の力を手に入れる。カフカは怪獣の能力を隠しながらも、その能力を使って怪獣との戦いに挑む。
ヒーローでありながらも主人公自身が怪獣という、相反する設定が面白い。人類の敵である怪獣の力を持つことへの葛藤、夢に対する情熱が大人の読者を惹きつける。

この漫画は『ジャンプ+』に掲載されている人気漫画だ。『ジャンプ』ならではのダイナミックなバトルシーンは見ものである。
個性的なキャラクターたちも作品に色を足している。『ジャンプ』は少年が主人公であることがほとんどだが、成人を主人公としている作品は珍しい。怪獣と戦うヒーローに憧れて育った大人に見てほしい漫画だ。
自分自身を認めることや困難に立ち向かう勇気、年齢や過去の失敗に関わらず目標に向かって努力し変わっていく姿など、どこか共感する部分があると思う。普遍的なメッセージが読み取れ大人も見てほしい怪獣漫画。読みながらもう一度ヒーローに憧れてしまう、夢を追いかけたくなる、そんな作品だ。