ドライヴ

tomo-mのレビュー・評価・感想

レビューを書く
ドライヴ
7

寡黙な天才ドライバーが抱く隣人への愛が物語を思わぬ展開へ導く

ライアン・ゴズリング主演のクライム・サスペンス映画。主人公は、カースタントマン兼・自動車修理工で、巧みな自動車運転スキルを持つ寡黙な好青年。しかし実は、車で強盗犯を警察や追っ手から撒く「逃し屋」という裏の一面も持つ。そんな中、隣人の母と子へ愛情を抱いていく。ある日、無償の愛をもって彼ら家族を守るため、強盗犯罪の逃し屋を請け負うことを決意。ところが、任務は思わぬアクシデントに巻き込まれ、予想だにしない展開へと進む。

劇中のカーチェイスは、荒々しくも冷酷かつ淡々と繰り広げられる。「銃は持たない 運転だけだ」セリフの通り、主人公は運転ひとつで依頼者を運びきり、任務を完遂していく。手に汗握る展開の中、冷静に研ぎ澄まされた運転で追っ手を見事に撒く主人公の職人ぶりは、観る人を圧倒する。
しかし、そんな主人公も結局は強盗犯罪に加担した1人にすぎない。泥沼化した強盗事件は、連鎖する殺人劇へと悪化し、主人公も容赦なく巻き込まれていく。殺すか、殺されるか。名前なき主人公は確かな覚悟を持っており、大切な人のために最後まで自分のやるべきことを貫く。物語の展開の激しさの中に映る主人公の静かさが絶妙に見栄えする作品だ。