ドライヴ

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ドライヴのレビュー・評価・感想

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ドライヴ
7

寡黙な天才ドライバーが抱く隣人への愛が物語を思わぬ展開へ導く

ライアン・ゴズリング主演のクライム・サスペンス映画。主人公は、カースタントマン兼・自動車修理工で、巧みな自動車運転スキルを持つ寡黙な好青年。しかし実は、車で強盗犯を警察や追っ手から撒く「逃し屋」という裏の一面も持つ。そんな中、隣人の母と子へ愛情を抱いていく。ある日、無償の愛をもって彼ら家族を守るため、強盗犯罪の逃し屋を請け負うことを決意。ところが、任務は思わぬアクシデントに巻き込まれ、予想だにしない展開へと進む。

劇中のカーチェイスは、荒々しくも冷酷かつ淡々と繰り広げられる。「銃は持たない 運転だけだ」セリフの通り、主人公は運転ひとつで依頼者を運びきり、任務を完遂していく。手に汗握る展開の中、冷静に研ぎ澄まされた運転で追っ手を見事に撒く主人公の職人ぶりは、観る人を圧倒する。
しかし、そんな主人公も結局は強盗犯罪に加担した1人にすぎない。泥沼化した強盗事件は、連鎖する殺人劇へと悪化し、主人公も容赦なく巻き込まれていく。殺すか、殺されるか。名前なき主人公は確かな覚悟を持っており、大切な人のために最後まで自分のやるべきことを貫く。物語の展開の激しさの中に映る主人公の静かさが絶妙に見栄えする作品だ。

ドライヴ
10

2010年代最高にエモい映画

この映画の感想を一言でいうと、「最初から最後まで完璧な映画」でした。
ストーリーがよくできているのはもちろんのことですが、中でもこの映画の特徴は、台詞が極端に少ないことだと思います。
ほかの映画に比べ、演者が話している時間がとても短く、映像と音楽で物語が進んでいきます。
また、主人公(ドライバー)の名前が最後まで一度も出てこず、最後までミステリアスなまま映画が終わるところもこの映画の隠れた魅力の一つだと思います。

題名がドライブなだけに、主人公ライアン・ゴズリングとヒロイン役のキャリー・マリガンがドライブしているシーンは何度も見返してしまいました。
自動車整備工場で孤独に働きながら、アパートの隣人に恋をする主人公の姿や、性に溺れるのではなく、純粋に人を愛し人に命をかける姿は、多くの現代人が忘れてしまっていることなのかもしれません。
ストーリーも、一見ありがちなストーリーに見えながら、アクションとロマンスをちょうどいいバランスで融合しているなと感じました。正直私はこの映画を何度も見ましたが、見れば見るほど奥が深く、監督(もしくは著者)の伝えたいメッセージが伝わってきました。ほかの映画にありそうでない、針の穴に糸を通したような唯一無二の映画だと思います。