闇金ウシジマくん

『闇金ウシジマくん』とは、2004年24号から2019年14号まで『ビックコミックスピリッツ』(小学館)で連載された、真鍋昌平による犯罪漫画である。コミックスは全46巻刊行され、累計発行部数は2022年3月時点で2,100万部を超えた。
物語は10日5割の闇金融業者の経営者である丑嶋馨(うしじまかおる)と従業員の日常や、闇金を訪れる客の人間模様と社会の闇を描いている。
作者は闇金業者という闇を突き詰めて描けば描くほど読者が離れるとして、2019年に連載を終了した。
本作は2010年に「第56回小学館漫画賞」の一般部門を受賞した。その後2020年には「文化庁メディア芸術祭」でソーシャル・インパクト賞を受賞した。テレビドラマは2010年10月から12月までシーズン1、2014年1月から3月までシーズン2、2016年7月から9月までシーズン3が放送された。またドラマをベースにした映画が制作され、4シリーズが公開された。ドラマ・映画共に丑嶋馨役を山田孝之が演じた。このドラマで山田孝之は「コンフィデンスアワード・ドラマ賞年間大賞2016」の主演男優賞を受賞した。

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闇金ウシジマくん
9

地獄をリアルに表現することで私たちに生きる希望を生み出す荒業

あなたはテレビ番組で一度はゴミ屋敷の映像を観たことがあるだろう。
それを思い出しながら自分の部屋を見てみてほしい。
少し部屋が散らかっていても綺麗だと思うことができるだろう。
これと同じ現象が闇金ウシジマくんでも起こっている。

闇金ウシジマくんに登場する人物のほとんどはバットエンドを迎える。
最終的には借金が返せずに拷問されて殺されるか、他にも違法薬物に手を染めて廃人になってしまう者も出てくる。
まさに地獄絵図だ。
読後には他の漫画では絶対に味わえない恐怖と疲労感を感じることだろう。
ではなぜ闇金ウシジマくんは、累計発行部数2100万部を超える人気コミックとなったのか。
それは読み終えた後の読者の現実世界に希望を生み出すからだ。

読む前は学校や会社が退屈で面倒なものだった人たちも、これを読み終えた後には「今」を必死に生きようと思えてしまう。
なぜならば退屈で面倒な生活から逃げてしまうと、この漫画のような地獄が待っていると思わせるからだ。
また闇金ウシジマくんに出てくる「地獄」はどこかフィクションとは思えないリアリティがある。
もしもこのリアリティが無ければ私たちに希望を見出せないのだろう。

人は地獄を見た後だと「今」の世界に希望を持てるのだ。
またこれを作者の真鍋昌平は狙っていないと感じる事からまさに荒業と言う他ない。