チョコレートドーナツ / Any Day Now

チョコレートドーナツ / Any Day Now

実話から生まれた物語を2012年にトラヴィス・ファイン監督が映画化。数々の観客賞を受賞し、日本でも異例のロングランを記録した感動のヒューマンドラマ。
歌手を夢見るゲイのルディはダウン症のマルコと出会い、麻薬所持で逮捕された母親の代わりにマルコを育ることを決意する。しかし恋人のポールとともに家族になった三人の幸せな時間は、同性愛を犯罪とする当時の社会によって引き裂かれていく。

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チョコレートドーナツ / Any Day Now
9

永遠に忘れない三人の笑顔

ゲイカップルが、育児放棄を受けているダウン症の男の子を保護することで物語は始まります。こんな理不尽なことが許されるのか、そして血の繋がりが果たして本当に正義なのか。家族の在り方を考え直すきっかけになります。

三人は強い絆で結ばれており、幸せな家庭を築いて楽しく生活を送っているけれど、「差別」「偏見」によって破壊されることに…。虐待をしていた母親が男の子を奪い返しに来たわけです。裁判沙汰になるまで事は深刻になっていくのですが、正直、裁判をしなくてもどちらの親が愛情深いかわかります。

では、なぜ裁判が始まるのかというと、「男の子の親権」はあくまで建前で、同性愛者の二人を攻撃するのが目的だからです。
結果、「同性愛は悪影響」という理由で彼らは負けます。父親を奪われた男の子は、必死に一人で家族の元へ向かおうとするけど、その最中で亡くなりました。

法律ってなんのために存在しているのでしょうか。
「愛」「家族」は性別や、一緒に過ごした年月では図ることのできないくらい偉大なものです。これは子供の表情を見ればわかります。
見終えた後は、心に穴が空いた感覚。それはまるでドーナツの穴のよう。
甘いタイトルとは裏腹に苦い、苦しい映画になっています。