おおかみこどもの雨と雪 / Wolf Children

『おおかみこどもの雨と雪』は2012年に公開された、細田守監督が手掛けたアニメーション映画である。脚本は奥寺佐渡子。
ヒロインの19歳の大学生の花がおおかみおとこと恋をして結婚し、その後、雨と雪という姉弟が誕生する。姉弟は人間とおおかみの両方の血を引くおおかみこどもとして生まれたのだが、それを隠し、人目を忍びながらも家族4人で暮らしていたところ、一家にある不幸が訪れる。悲しみに暮れながらも花は、2人をしっかりと育てることを心に誓い、子どもたちが将来「人間」として生きるか「おおかみ」として生きるか選べるように都会を離れ、豊かな自然のある田舎町に移り住む。
雪と雨は「人間」と「おおかみ」のどちらを選ぶのか。そのとき花は2人のおおかみこどもの選択をどのように見守り、何を思うのか。
花とおおかみこどもの3人の13年間の成長と強い絆の物語。
花を宮崎あおい、おおかみおとこを大沢たかおが演じる。
第36回日本アカデミー賞において「最優秀アニメーション作品賞」を受賞した。

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おおかみこどもの雨と雪 / Wolf Children
10

ファンタジーなのにリアルさがとても秀逸な作品

オオカミ男と人間の女性の間に生まれた2人のおおかみこどもの物語。
物語の序盤で父親となるオオカミ男は死んでしまい、シングルマザーとなる花と姉の雪・弟の雨との生活がメインの物語となるが、
妊娠するところから描かれているのでオオカミこどもと生活することがどれほど困難が待ち受けているのかとてもリアルに感じるように描かれている。
オオカミこどもとはいえ、育て方は人間の赤ちゃんと同じ方法で育てられているので夜泣きや授乳の難しさのシーンは、
出産育児を経験している私にはとても身近な内容で母親の花の苦労は涙なしには見られなかった。
都会で暮らす難しさの末、田舎へと引越しそこで花は人間としてもオオカミとしてもどちらの道でも生きていけるように生き方を花なりに教えていく。
雪と雨も成長とともに体の変化や心の変化があり、話は展開していく。
幼いころは姉の雪の方が活発でオオカミの姿にすぐなってしまったり虫や動物を取ったりオオカミ要素が濃かったのに、成長とともに一人の人間の女の子として成長していき、
逆にとても泣き虫で気が弱く悪者にされがちなオオカミなんか嫌いだと言っていた雨の方が次第にオオカミとしての生き方へ進んでいく。
タイトルが『オオカミこどもと雨と雪』で雨が先にきているのは結末と繋がっていたと考えると、とても秀逸に感じた。
母親の花の聡明さと寛大な心、二人のオオカミこどもの成長物語はとても見ごたえがあり、自信を持ってオススメできる作品である。