時をかける少女(アニメ映画) / 時かけ(アニメ映画) / The Girl Who Leapt Through Time (2006 film)

時をかける少女(アニメ映画) / 時かけ(アニメ映画) / The Girl Who Leapt Through Time (2006 film)

『時をかける少女』は、筒井康隆の小説を原作としたSFアニメ映画。2006年7月15日公開。監督は細田守、アニメーション制作はマッドハウス。細田守がフリーになって初めて手掛けた劇場長編作品である。公開当初は単館系作品の扱いで、大々的な宣伝もほとんど行われなかったが、公開後に口コミで話題が広がり、徐々に動員数を増やしていった。そして各国の映画祭などで多くの賞を受賞し、高い評価を受けることになる。
小説そのものの映画化ではなく、原作の出来事から約20年後の世界を描いている。原作の主人公、芳山和子の姪である紺野真琴が主人公となり繰り広げる青春物語。 ふとしたきっかけで時間を越えて過去に飛べる「タイムリープ」の力を手に入れた高校2年生の真琴。 その力を日常の不満や欲望の解消に進んで使い始めるようになったが、タイムリープできる回数には限度があった。 かけがえのない時間を取り戻すために奮闘する女子高生の恋と友情を描く。
キャッチコピーは「待ってられない 未来がある。」。1972年~2016年にかけて5回、テレビドラマ化され、長く愛されている作品である。

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時をかける少女(アニメ映画) / 時かけ(アニメ映画) / The Girl Who Leapt Through Time (2006 film)
9

『時をかける少女』の本当の魅力とは?

一見、時空を超える系のありきたりな映画かと思うが、それだけではないのがこの映画の良い点である。
SF要素を含みながらも現実味があり、どこか共感できてしまう。
ストーリーだけでも十分に楽しめるが、何度か見ていくうちに物語の伏線に気づき、何度も楽しむことができるのがこの作品の本当の魅力であると私は思う。
例えば、物語に出てくる今野真琴の叔母(通称魔女おばさん)は、ただの脇役ではなく、実は原作の『時をかける少女』の主人公なのである。
なので、若き頃の叔母自身も時をかけていたと知ったときは、とても驚いた。
叔母の出てくるシーンでは、そんな魔女おばさんだからこそ、あのアドバイスができたのか、と納得して見てしまった。
他にも、最後の名シーン、千昭の「未来で待ってる」というセリフは、ただ単に千昭が真琴のことを未来で待ってるという解釈になりがちだが、そうではなく、物語の終盤にでてくる千昭が見ることができなかった絵画を千昭のいる未来まで残す、という解釈の仕方もできたり、と繰り返し見ることによって気づく面白さというのが、この映画にはある。
また、作品の中では奥華子さんの「ガーネット」「変わらないもの」の2曲が使われているが、この2曲は千昭目線と真琴目線で書かれた詩だと知りながら見ると、楽曲からも映画の理解を深めることができるので、それもまたお勧めしたい。