H2 / エイチツー

H2 / エイチツー

『H2』とは、野球を題材にした日本の漫画作品である。作者はあだち充。タイトルである『H2』の意味は「ヒーローふたり、ヒロインふたり」。
『週刊少年サンデー』にて、1992年から1999年まで連載された。単行本は全34巻となっており、他にワイド版と文庫版も発売されている。シリーズ累計発行部数は5000万部を突破している。
高校野球をテーマとした作品であり、国見比呂と橘英雄という2人の野球少年と、雨宮ひかりと古賀春華という2人のヒロインを中心に、野球をめぐる青春と恋愛が描かれている。
比呂は中学時代、肘に爆弾を抱えていると医師に診断された。高校ではサッカー部に入るが、部員たちの野球を馬鹿にした態度が嫌になり、野球同好会に入会。中学でバッテリーを組んでいた野田も入会し、甲子園出場を決意。まずは同好会から部へ昇格させることを目指す。やがて野球部創設が認められ、甲子園を目標に本格始動する。
1995年にアニメ化され、2005年には山田孝之主演でドラマ化もされ、話題となった。

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H2 / エイチツー
10

それぞれのH2

H2はあだち充作品最多、コミックス34巻発刊の人気漫画である。他のあだち充作品と同様に「スポーツ」「ラブコメ」が融合した作品であり、あだち充らしく、「スポーツ」部分は熱過ぎず程よく力が抜けており、いわゆる「ラブコメ」でなく、「ラブ」と「コメ」が独立して描かれている。「スポーツ」の流れる汗、「ラブ」の涙は美しく描かれ読者を感動させるが、所々で「コメ」を挟み、クスッと笑わせる。そのバランスが絶妙で、決して読者を飽きさせないところがあだち充作品最大の魅力といえ、本作品でもその魅力が随所に散りばめられている。
(以下ネタバレあり)
H2 / エイチツー
そのタイトルの意味について、読者が様々な考察のできる作品である。
主人公は国見比呂(ひろ)。中学時代地区大会2連覇に導いたスーパーエース。高校入学前に肘を壊したことにより野球部のない千川高校に入学し、サッカー部に入部。
中学時代に比呂とともに投打の柱として地区大会2連覇を果たした超高校級スラッガーが橘英雄(ひでお)。名門明和学園に入学し、一年生から4番に君臨する。
比呂と英雄、ともにイニシャルがHの2人を軸にしたストーリーには違いないのだが、比呂の幼馴染で英雄の彼女ひかりもイニシャルH。比呂と同じ千川高校で、ともに野球同好会を作り、マネージャーとして比呂とチームを健気に支える古賀春華(はるか)もまたイニシャルH。
比呂は千川高校で野球同好会を部に昇格させ、春華や個性的な部員達とともに甲子園出場を果たす。
さらに作品の中盤から後半にかけ、この2人と英雄、ひかりを含めた四角関係が勃発する。
一度は春華と恋人同士になった比呂だが、ずっと幼馴染と思ってたひかりをある時から一人の女性として意識し始めてしまう。
比呂が選ぶのはひかりへの想いか、英雄との友情か。一方でひかりは英雄と比呂のどちらを選ぶのか。比呂は春華とひかり、本当に好きなのはどちらなのか。様々な形の「H2」に読者は想いを巡らせ、4人の恋の行方から目が離せなくなる。